プロ経営者として製造業社長ポジションへ転職

今回は、組織風土・労働環境、仕事内容の魅力のため金融業界の取締役からファンド投資先の経営者代表取締役へと転職されたI.Kさんにお話を伺いました。

プロフィール

I.Kさん(29)
金融業界の取締役からファンド投資先の経営者代表取締役に転職。
年収1,000万円→1,200万円に。
転職の目的は組織風土・労働環境、仕事内容の魅力。

担当コンサルタント

堀江 大介 |Daisuke Horie

野村證券、ITスタートアップ、コンサルティング業界専門の人材紹介会社を経て、ヤマトヒューマンキャピタル創業。これまで、同領域に200名以上の方を支援した実績をもつ。
事業承継問題の解決には投資資金に加え「経営人材」を輩出するエコシステムが必要であると考え、一般社団法人日本プロ経営者協会をPEファンドパートナーと共同で設立し、代表理事を務める。

目次

経歴と転職理由

堀江

これまでのご経歴と転職のきっかけを聞かせてください。

I.Kさん

大学卒業後、新卒で東証一部上場企業に入社し、20年以上にわたり、小売の実務や金融事業、広報・宣伝、経営企画などに携わりました。

その後、流通業界大手グループのファッションブランドの代表、総合商社グループのカジュアルファッションブランドの副社長を歴任しました。さらに、ファンドの投資先企業の経営者として、玩具・雑貨メーカーのターンアラウンド、複数の繊維・アパレル企業の経営に携わった後、現在は印刷や機械加工に強みを持つ、地方の中小製造業の代表取締役を務めています。

株主は、長期的に株式を保持しながら、投資先とともに成長戦略を実行することで定評のあるファンドで、社員数は約50名です。株主にも従業員にも恵まれ、非常に経営しやすい環境が整っています。

これまではジョインから2、3年でイグジットになるケースが多かったのですが、今回はもっと長くなるでしょう。本当にいい会社に入らせてもらったと思っていますよ。

現在の状況について

堀江

代表就任から約半年が経ちました。現在の状況について聞かせてください。

I.Kさん

“よそ者”から“仲間”として受け入れられつつある段階です。

既に全従業員へのインタビューは完了し、各ポジションの問題点、従業員一人ひとりの課題について把握できたので、現在は「組織の一体化」に力を入れています。全従業員が一つの方向に向かって突き進むことができる体制をつくるべく、新たな成長戦略の策定、ガバナンスを効かせられる仕組みの構築、組織変更、新たな事業領域の設定、取引先の見直し・新規開拓など、次なるステップに進むための施策に取り組んでいます。

ちなみに、代表就任にあたり、私は家族とともに、会社の近くに引っ越してきました。プロ経営者の仕事そのものは東京からの出張ベースでもできないことはありませんが、それでは本気度に疑いの目が向けられてしまいます。従業員に“仲間”として受け入れてもらうためには、同じ土地に住み、生活環境を共有しなくてはいけない。従業員と一体になることが必要なんです。

これは経営者として取るべき“覚悟”の一つだと思っています。

プロ経営者に必要なスキルセット

堀江

プロ経営者に必要なスキルセットとは何でしょうか。

I.Kさん

財務や経営に関する知識やスキルはさることながらでしょうか。

そして、何よりもヒューマンスキルが欠かせないと思っています。経営者の仕事の根幹は、会社の方向づけと、経営資源の最適配分、そして。

一言でいえば、最後に「人を動かす」ということです。人間に対する理解や見識に磨きを掛けるとともに、自らの人格を高める努力を積み重ねることなしに経営者の仕事は務まらないと思います。

財務力や経営力、人間力を身につけた方法

堀江

財務力や経営力、人間力を、どのようにして身に付けられたのでしょうか。

I.Kさん

私の場合は、30代前半で経営者の道を志し、財務や経営の本格的な勉強をはじめました。ファイナンスの知識は書籍やセミナー、プライベートでの株式投資を通じて身に付けたほか、“利益感覚”に磨きを掛けようと、サラリーマン時代から、売上のみならず、利益やコストをしっかりと意識して仕事に臨みました。いかにして儲けを出すかという視点で物事を考える癖を付けておかないと、経営者の仕事は務まらないと考えたからです。

一方、ヒューマンスキルに関しては、社内外を問わず人脈を広げる努力をし、人との出会いを通して向上を図りました。

幸いなことに40代中頃から経営に携わるチャンスを得ることができたので、それまでに学んだことを実際の経営の現場で一つ一つ確かめるとともに、足りない部分は実践を通して身に付けていった感じですね。

いずれにしても、この道を目指そうという方には、プロ経営者として生きていくという意思決定をできるだけ早い時期にして、然るべき準備を進めていただきたいと思います。会社の規模にかかわらず、トップマネジメントになるということは、従業員とは全く違った立場に身を置くことを意味するからです。

仕事のやりがいについて

堀江

プロ経営者の仕事のやりがいについて聞かせてください。

I.Kさん

私のことを“よそ者”として拒絶していた従業員とだんだん打ち解け、“仲間”として想像を絶するような困難をともに乗り越え、会社の成長に貢献する。

最終的にイグジットを果たし、経営者のポジションを退任するときに、従業員から「一緒に頑張ってよかったです」といった声を掛けてもらったとき。

これこそまさしくプロ経営者としての喜びであり、最もやりがいを感じるところです。経営者冥利に尽きますね。従業員の評価は、自分の仕事に対する“通信簿”として捉えています。

ヤマトヒューマンキャピタルを利用して良かった点

堀江

ヤマトヒューマンキャピタルの転職支援サービスを利用して、よかった点について聞かせてください。

I.Kさん

ファンド業界に非常に強いという印象を持ちました。

ヤマトヒューマンキャピタルのエージェントは、独立系、銀行系を問わず、国内のファンドの大半とネットワークを築いておられますし、各ファンドの特徴を実に的確に捉えています。

プロ経営者候補それぞれのキャリアや経験に応じて、フィットする案件をご紹介いただけるのではないでしょうか。

プロ経営者を目指す方へのメッセージ

堀江

最後になりますが、プロ経営者の道を志している方にメッセージをお願いします。

I.Kさん

必要なのは、一にも二にも「覚悟」です。会社を経営するということは、従業員の生活を背負うということです。覚悟のない人が経営者になると、従業員を不幸にしてしまいます。会社を経営するということは、とてつもなく強い覚悟を持っていないとできるものではないんです。

プロ経営者を目指す方には、単に経営者というポジションに就くことを目標とするのでなく、「どのようなことがあっても従業員を守り抜く。そのためにも、なんとしてでも改革をやり切り、会社の業績を向上させる」という覚悟を持ってほしい。

そして、従業員を幸せにするための明確なストーリーを描く力を身につけていただきたいですね。

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