昨今「USCPAを活かして仕事がしたい」、「海外で働く道を切り開きたい」というニーズの高まりに合わせて、USCPA(米国公認会計士)の名前も徐々に存在感を増してきています。
本特集記事では、USCPAのスキルを活かした転職について
「USCPAを活かした転職は、実際どうなの?」
「仕事をしながら獲得できる資格?」
「USCPAを取得した後のキャリアはどんなものがあるのだろう??…」
といった転職での実情や、仕事内容、やりがい・魅力、大変なところなどを、BIG4 FASや会計士、外資系戦略コンサルティングファームへの転職の支援実績が数多くある、村上が具体的に解説していきます。
ただし、弊社ヤマトヒューマンキャピタルは転職エージェント会社ですので、業界や個別企業のマイナス面はこのような場では申し上げられません。
本記事をご覧いただきより突っ込んだ業界の実情や転職ノウハウ、個社ごとの実情や対策、転職事例などをお知りになりたい方はこちらより無料キャリア相談にお申し込みください。
- 米国公認会計士(USCPA)からの転職先・キャリア
- 米国公認会計士(USCPA)からの転職で活かせるスキル
- 米国公認会計士(USCPA)からの転職事例
監修者
ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
一般社団法人日本プロ経営者協会 代表理事
堀江 大介 | Daisuke Horie
野村證券、ITスタートアップ、コンサルティング業界専門の人材紹介会社を経て、ヤマトヒューマンキャピタル創業。
これまで、同領域に200名以上の方を支援した実績をもつ。
事業承継問題の解決には投資資金に加え「経営人材」を輩出するエコシステムが必要であると考え、一般社団法人日本プロ経営者協会をPEファンドパートナーと共同で設立し、代表理事を務める。
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米国公認会計士(USCPA)は転職に有利?
USCPAは転職に有利になります!
背景としては以下のような理由があげられます。
- 英文会計関連業務の知識やスキルを証明する最高レベルの資格である
- 「欧米流の学問的バックグラウンド」を持つ人材としての安心感や信頼感が大きい
また、転職におけるUSCPAを取得のメリットとしては
①グローバルに活躍できる
USCPAを活かした会計業務は、BIG4(EY・PwC・KPMG・デロイト)系を中心とした監査法人・FASで実現できます。
また、海外移住しての業務の道も開けてきます。
USCPAの資格を取得して、米国現地の監査法人や会計事務所で働く方も一定数いらっしゃいます。海外勤務にも活かせる資格と言えるでしょう。
②英語力向上、会計知識のアピールに使うことができる
USCPAは会計知識と英語力の双方が問われる資格です。会計力だけでも、英語力だけでも取得できません。
取得できれば、外資系企業や会計事務所・監査法人では大きなアピールポイントの1つとなります。科目の合格から履歴書に記載できますし、USCPA勉強中という意欲をアピールすることも可能です。
転職におけるUSCPAの位置づけとしては、
①、②で記載した通りグローバル企業を中心に以下のような企業で求人がオープンになっています。
- BIG4監査法人
- 外資系企業(米国・欧州中心)
- 日本に本社を持つメガベンチャー
- 海外(米国・欧州)進出を狙う日本の事業会社
- アメリカ市場に上場している、あるいは上場を目指している企業
- アメリカを中心に海外に連結子会社を持つ企業
- 日本企業の現地拠点スタッフ・管理部長候補
- 海外企業の合併・買収を手掛ける企業
- クロスボーダーM&Aを行う、銀行・投資銀行
- 戦略・総合コンサルティングファーム
- 総合商社
- M&Aブティック
後述もいたしますが、上記のポジションへの転職においてUSCPAはプラスに評価される資格といえます。
そもそもUSCPA(米国公認会計士)とは?
概要
USCPA(米国公認会計士)は、
- FAR:Financial Accounting and Reporting(財務会計)
- BEC:Business Environment and Concepts(ビジネス)
- REG:Regulation(諸法規)
- AUD:Auditing and Attestation(監査・証明)
の4つのカテゴリーに分かれた能力について、米国公認会計士協会が認めた会計士の資格を指します。
CPA(Certified Public Accountant:公認会計士)と略され、日本の「公認会計士資格」と区別するために、USを付けて「USCPA」と表されます。
日本の公認会計士資格が日本のみで有効な一方で、
USCPAはアメリカ以外では、
- 南アフリカ
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- アイルランド
- メキシコ
- スコットランド
でも有効です。
試験の概要は以下の通りです。
受験日程 | 年に8回(1・2・4・5・7・8・10月) |
受験地 | 日本:東京・大阪会場 米国:米国内の希望の場所で受験可能 |
受験資格
米国公認会計士試験を受験するには、以下の要素を満たす必要があります。
■学位要件:4年制大学卒の学位である「学士号」を取得していること。
■単位要件:大学、大学院、短大などで、「会計単位」「ビジネス単位」を一定数以上取得していること。
試験形式はパソコンを使った、問題の入力方式です。
資格取得の難易度
日本の公認会計士試験とUSCPAの難易度の比較をしていきましょう。
日本・公認会計士試験
最新の2022年の試験では全体の合格率は7.7%となっています
引用:令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/ronbungoukaku_r04/01.pdf
試験毎の合格率は
短答式試験は約20%、論文式試験は約35%、全体の合格率は約7%です。
※合格者の定義: 合格者 51.6%以上の得点比率を取得した者
ただし、試験科目のうち1科目につき得点比率が 40%未満のものがある場合は不合格
米国公認会計士:USCPA
USCPAの合格率は例年50%前後です
引用:https://www.aicpa.org/resources/article/learn-more-about-cpa-exam-scoring-and-pass-rates
4科目の合格率は約45-60%前後です。
※日本人のみの合格率は20-30%と想定されております。
上記のように公認会計士資格は医師・弁護士とならんで、「三大国家資格」と呼ばれ超難関な資格ですが、USCPAは比較的取得しやすい資格と考える事もできます。
一方で、USCPA試験は全て英語で行われることから、相当の英語力は求められます。英語に全く触れてこなかった方は、難易度が大きく上がると言われています。
勉強時間
USCPA取得に必要な勉強時間は、一般的に1,200〜1,500時間と言われることが多いです。
あくまで目安の勉強時間であり、英語を苦手としている方は、ここにプラスして英語の勉強が必要です。TOEIC700‐800点を目指しましょう。
TOEICの点数について各点数から100点ごとに得点を上げていくための勉強時間は以下です。
400点から500点:約200~250時間
500点から600点:約200~250時間
600点から700点:約200~250時間
700点から800点:約200~300時間
引用:https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/90/column/column04.html
仮に現在TOEIC500点の方は、600-800時間の勉強時間が必要となりますが、会計知識特有の英単語を覚えながら、USCPAの勉強を行いましょう。
各試験の想定勉強時間については、以下の通りです。
簿記2級 | 350〜500時間 |
FP2級 | 150〜300時間 |
行政書士 | 500〜1,000時間 |
中小企業診断士 | 1,000時間 |
米国公認会計士 | 1,200〜1,500時間 |
公認会計士 | 4,000時間 |
司法試験 | 3,000~8,000時間 |
引用:https://shikakutimes.jp/topics/2623
業務後の勉強は大変ですが、土日も利用し、しっかりと勉強時間を確保したうえで資格取得にのぞみましょう。
米国公認会計士(USCPA)のニーズは?
日本の企業でも役に立つの?
日本の企業でもニーズは高まっております
米国に本社・資本がある企業を除けば以下のような企業で求人がでております
- BIG4監査法人
- 日本に本社を持つメガベンチャー
- 海外(米国・欧州)進出を狙う日本の事業会社
- アメリカ市場に上場している、あるいは上場を目指している企業
- 日本企業の現地拠点スタッフ・管理部長候補
- 海外企業の合併・買収を手掛ける企業
- クロスボーダーM&Aを行う、銀行・投資銀行
- 戦略・総合コンサルティングファーム
- 総合商社
- M&Aブティック
詳しい求人や、キャリアステップについては弊社にお問い合わせください。
キャリアの様々な可能性も含めて、お話させていただきます。
海外の企業で働くには?
海外で働く際には、以下のような3つのパターンが考えられます。
- 日本企業の現地法人・現地拠点で働く(駐在員)
- 海外の企業で採用されて働く
- 現地の外資企業で働く
①日本企業の現地法人・現地拠点で働く
日本で転職し、現地拠点での勤務を目指すパターンです。
- 事業会社、メーカー
- 総合商社、専門商社
- メガベンチャー
等での求人がオープンになっております。
一方で、USCPAがあれば有利となりますが、英語力と意欲が重視されます。
②海外の企業で採用されて働く
USCPAを持っていると有利とはなるかもしれませんが、英語がメインの国(カナダ・米国)や欧州では稀です。
就労ビザ取得難易度が高く、日本人以外を採用するケースが多いためです。
求人数は多くないのが現状です。
③現地の外資企業で働く
英語圏以外の国の、中国、東南アジアやアフリカ等では、現地での就職では有利となります。
現地企業が日本人を選考する際に、USCPAがあるとアピールになります。
USCPA有資格者が活躍できるエリアは?
USCPA取得者が活躍できる地域は、日本以外ではMRA(国際相互承認協定制度)が導入されている国々で活躍できます。現状は7か国です。
- 南アフリカ
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- アイルランド
- メキシコ
- スコットランド
(2024年3月時点)
引用:AICPAウェブサイト(アメリカ公認会計士協会)https://nasba.org/international/mra/
もちろん、アメリカに資本がある企業の現地法人等であれば、東南アジアや欧州でも活躍可能です。
米国公認会計士(USCPA)資格保有者は未経験でも転職できる?
USCPAが活躍できるフィールドは数多くございます。
①FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)
企業買収やM&Aが盛んに行われているいま、BIG4と呼ばれる外資系監査法人を母体とするFASや、日本国内のブティックの形態のFASも登場しています。
会計士資格の方々に人気の業界となっています。
特にクロスボーダーM&Aや、海外との連携が必要とされる案件では、USCPAの資格が強く活かせることでしょう。
②監査法人
監査法人とは、上場会社などの大企業の監査を組織的に行い、公認会計士によって設立された法人のことです。
特に外資系大手監査法人BIG4系と呼ばれる企業では、特にUSCPAの取得を条件に掲げる企業も増えています。
③事業会社
海外事業部、海外拠点、海外子会社を持つ企業では、現地の経理・財務情報が正しいか評価するポジションでUSCPAが大きな影響力をもちます。
アメリカ市場にも進出している企業では、英語での財務諸表の作成が必要となるため、USCPA取得者の活躍の場が用意されています。
外資系企業ではUSCPAは広く知られておりますので、経理・財務ポジションを中心に幅広くキャリアアップの材料として利用できるでしょう。
④総合商社・専門商社
グローバルにビジネスを展開し、全世界の各国に拠点がある総合商社・専門商社ではUSCPAはニーズが強くあります。
経理・財務はもちろんのこと、経営企画やCFOポジションでもUSCPA資格を持っている方が活躍されています。
★よくあるUSCPA資格をもっている転職者のキャリアステップの例
- 事業会社経理・財務→BIG4 FAS
- 事業会社経理・財務→総合コンサルティングファームの経理・財務コンサルタント
- 監査法人→BIG4 FAS
- 総合商社投資担当者→PEファンドやベンチャーキャピタル
- 事業会社・法人営業→M&A仲介
- 事業会社・法人営業→戦略・総合コンサルティングファーム
- 投資銀行→総合商社投資担当者
- 投資銀行→ベンチャー企業のCFO
転職事例
あくまで一部ですが、USCPA取得者では以下のような転職をなされている方がいらっしゃいます。
- 年齢:24歳
- 性別:男性
- 転職先業界:大手独立系M&Aブティック
- 年収(転職前、転職後):700万円から585万円+賞与
- 年齢:28歳
- 性別:男性
- 転職先業界:国内大手M&A仲介
- 年収(転職前、転職後):850万円から650万円+インセンティブ
取得した年齢によって転職先は異なる?
USCPAの試験合格者は幅広い年齢層に分かれています。
第二新卒:
第二新卒ではBIG4の監査法人を中心に、FAS、外資系経理ポジションでのニーズが強くあります。
未経験可能なクロスボーダーM&A案件に関われる、ポジションもありますので、お声がけください。
若いうちのフットワークの軽さを活かして、アメリカはもちろんカナダやオーストラリアに移住して現地の会計士として働くという選択肢もあります
20代:第二新卒と同じく、BIG4の監査法人を中心に、FAS、外資系経理ポジションでのニーズが強くあります。
30代:20代とは異なり、マネジメント経験を必要とされる場合も多くなります。
経理・財務や経験を積んだ方であれば、PEファンドやベンチャーキャピタルの投資管理業務のポジションもチャレンジ可能となります。年収も1,000-2,000万円と高額であり、キャリアの幅も広がってきます。
40代以降:転職の難易度は高くなることは事実です。
とはいえ、業務で得た経験、現場でコツコツと積み重ねてきた実績とUSCPAの掛け合わせは高評価となります。
特に「海外勤務可能」を売りにすると、新しい武器となります。
現地で働くシニア層として、部署や拠点の立ち上げに任されることがあります。
通常の転職のように「管理職経験」も求められる場合もありますが、
「これまでの実績×会計知識×高度な英語力」のアピールにもなりますので、USCPAが求められるポジションでは必須ではないこともあります。
日本全体が人口減に陥っている中で、シニア層の経験豊富な経験は必ず必要となってきますので、40代の転職の道も昔ほど難易度は高くなく、冷静に強みを分析しキャリアアップを目指しましょう。
米国公認会計士(USCPA)有資格者の転職での失敗例は?
ここではUSCPAを取得しての失敗を記載します。
USCPA(米国公認会計士)もあくまで数ある資格の一つでしかありません。
大事なのは
- 自分の強みは何か
- キャリアの方向性は定まっているか
- 納得いくまで入社を希望する企業と業務のイメージができているか
3点です。
失敗例①:仕事内容・業務内容での失敗
・海外事業に携わりたいけど、日本の案件しかできていない
・海外事業に携わりたいけど、入社直後に海外事業が撤退しまった
入社してみて、想像していた働き方と違ったということは大変もったいないものです。
選考時やオファー面談で、現状の海外事業の状態はどうなのか、社員の方はどんな方か、入社後はどんな案件にアサインされていくかを具体的にイメージできるまで、質問をしましょう。
失敗例②:転職者のスキル面での失敗
- 仕事のスピードに全くついていけなくて、毎日深夜まで残業している
- USCPAを取得したが、Excelを全く使ってこなかった為、業務のキャッチアップに時間がかかっている
- 会計知識以外の面で、周りの社員に見劣りしており働きづらくなっている
もちろん選考では、企業と転職候補者とのマッチングや、スキルのチェックが行われます。
けれども、入社後のミスマッチがないように自分のありのままの強みやスキルをしっかりと伝えましょう。
失敗例③:働き方や条件面での失敗
- 入社前に聞いていたよりも業務が多く、深夜まで毎日残業を行っている
- USCPAを活かせることに重きを置いたために、前職よりも年収が大幅にダウンした
- 海外勤務希望は叶えられそうだが、希望していなかった発展途上国への赴任を命じられそう
USCPAを活かすだけでなく、条件面・福利厚生にも目を向けましょう。
とはいえ、①〜③を同時に見ながらお1人で転職活動をされるのも難しい面があります。
弊社のコンサルタントを存分に活用して、納得のいく転職活動をなさってください。
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国内外における企業間のM&A(合併、株式交換、会社分割、買収、売却、資本提携)に関するアドバイザリー業務
報酬:450-1,000万円以上+賞与
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まとめ
以前と比較して認知度も高くなってきており、外資系企業やFAS、監査法人を中心にUSCPA取得者の活躍の場は広がっています。
もちろん取得難易度の高い資格ではありますが、取得すればキャリアの幅を広げることのできる、一つの資格となるでしょう。
一方で、USCPAはキャリアアップやより良い人生にするための手段の一つでしかありません。
キャリアの目的地の為にUSCPAをどのように活かしていくのか、人にアウトプットしていくことは大事なことです。
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