今回は、社会貢献のためM&AアドバイザリーファームのFAから大手FASのコンサルタントへと転職されたS.Kさんにお話を伺いました。
S.Kさん(32)
M&AアドバイザリーファームのFAから大手FASのコンサルタントに転職。
年収650万円→650万円に。
転職の目的は社会貢献。
堀江 大介 |Daisuke Horie
野村證券、ITスタートアップ、コンサルティング業界専門の人材紹介会社を経て、ヤマトヒューマンキャピタル創業。これまで、同領域に200名以上の方を支援した実績をもつ。
事業承継問題の解決には投資資金に加え「経営人材」を輩出するエコシステムが必要であると考え、一般社団法人日本プロ経営者協会をPEファンドパートナーと共同で設立し、代表理事を務める。
経歴と転職理由
これまでの経歴と、企業再生コンサルタントを志した理由について聞かせてください。
大学卒業後、上場企業の経理部門を経て、M&Aアドバイザリーファームに転職。デューデリジェンスやバリュエーション、トランザクション、上場企業の業務改善コンサルティングなどを手掛け、大きなやりがいを感じていたのですが、あるときふと思ったんです。私の故郷は宮城県石巻市なのですが、帰省するたびに地元がどんどん寂れているという実感がありました。上場会社のコンサルティングを通して培った経験やスキルを、苦境に喘ぐ中小企業のために活かすことができないか。地域経済を立て直し、地元を元気にするために何かできなることはないか――。企業再生コンサルタントの道を志し、日系の総合コンサルティングファームに転職しました。
仕事内容について
現在の仕事内容について聞かせてください。
会社の経営に行き詰まり、自力での再生が厳しくなった企業に対し、苦境に陥った原因の分析を踏まえて、事業再生計画の策定や実行をサポートします。入社からおよそ半年間で、現在進行中のものを含めて8つの案件を手掛けました。時期にもよりますが、だいたい4つの案件が同時進行で動いています。案件の規模にもよりますが、2、3人でチームを組んで案件を動かすことが多いですね。1日のスケジュールでいえば、朝、お客さま先に直行し、午前中に打ち合わせやインタビューを行う。午後はオフィスに出社して、午前中の打ち合わせ内容などを計画に落とし込んだり、デューデリジェンスのまとめをする。そして、夕方にお客さまと電話会議で打ち合わせをするといった流れが多いですね。
再生案件の主な業界
どのような業界の再生案件を手掛けることが多いですか。
ターゲットは特に絞っておらず、食品卸から中古車の輸出販売、建材の卸売、ホテルのリネンの卸売など多岐に渡ります。常に新たな知識を学べるのは楽しいですね。規模は売上10億円から大きいところで500億円程度です。また、2カ月から3カ月弱で完了するプロジェクトが多いのですが、一週間以内に話をまとめなければ資金がショートしてしまうという緊急的なプロジェクトもありました。
身に付くスキル
企業再生コンサルティングの仕事は、どのようなスキルの向上につながりますか。
中小企業を対象にしていることもあり、会社全体、経営全体を見る力が養われますね。再生案件では、会社がなぜ危機に陥っているのか、その要因を把握することが不可欠なのですが、部分的な情報を切り取っているだけでは全体像は見えてきません。財務はもとより事業の状況、会社の沿革、外部環境など、さまざまな要因を総合的に理解する必要があるのです。また、経営トップと会って話をしたり、一緒に仕事をするなかで経営者の視点を学ぶことができるのも、この仕事の魅力だと思います。
役立つ経験と仕事の難しい点
前職までの経験は役立っていますか?また、中小企業ならではの難しさを感じることはありますか。お考えを聞かせてください。
財務や税務の面では、前職までの経験をダイレクトに生かすことができていますが、地方の中小企業のなかには、財務や会計のデータが十分に揃っていない会社が少なくありません。“パワープレー”で情報を引っ張り出してきて、整理・分析するのはとても骨の折れる作業ですが、大きなやりがいを感じられますね。会社の再生の方向性が見えたときや、お客さまが会社の現状に気づいてくれた瞬間に立ち会えるのは本当に嬉しいですね。
ヤマトヒューマンキャピタルを利用して良かった点
エージェント選びに関してアドバイスをお願いできますでしょうか。また、ヤマトヒューマンキャピタルの転職支援サービスを利用して良かったと感じられている点があれば聞かせてください。
私は、この業界について大した下調べもせずに相談に伺ったのですが、ヤマトヒューマンキャピタルの担当者は、本当に親身になってアドバイスをくれました。社会人生活が10年を超えて惰性に流されていたといいますか、マナーや立ち居振る舞いがいい加減になっていた部分があったのですが、ヤマトヒューマンキャピタルの担当者だけがビシッと指摘してくれた。キャリアのみならず、私の人となりを見てくれたのも本当にありがたかったですね。
エージェント選びに関しては、業界の事業に精通しているか否かも重要なポイントですが、最終的にはエージェントをいかに信頼できるか、自分の感覚にマッチするかだと思います。
キャリアプランについて
今後のキャリアプランについて聞かせてください。
現在は目の前の仕事をこなすので精一杯というのが正直なところですが、できるだけ早いうちに再生案件を確実に実行できるようになるのが目標です。将来的には、地元に戻って独立したいと思っています。
企業再生コンサルティング業界を目指す方へのメッセージ
最後に、企業再生コンサルティングへの転職を考えている「未来の同志」にメッセージをお願いします。
非常にハードであることは間違いありませんが、ほかでは得られない経験を積み、大きく成長するチャンスに溢れた業界であることは間違いありません。地方創生ひいては日本経済の活性化に向けて力を尽くしたいという、志ある方にぜひ挑戦いただければと思っています。