今回は、証券会社・生命保険会社勤務を経験し、未経験からベンチャーキャピタルへ転職された経験を持つ元ニッセイキャピタルの飯田氏をゲストにお招きし、ご自身のキャリアと、ベンチャーキャピタリストという仕事の実情について対談形式でお話しいただきました。
飯田 健登|Kento Ida
経歴
慶應義塾大学卒業後、VCを退職してフリーのウェブコンサルタントとして独立。野村証券、プルデンシャル生命保険、SBIインベストメント・SBIwefox Asia、ニッセイキャピタルでの勤務経験を持つ。現在は「Youtubeチャンネルの運用代行」「マッチングアプリの運用代行」を行う。
自身も出演中のYoutubeチャンネル「年収チャンネル」登録者数は16万人
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皆さんこんにちは。今日はキャリアインタビューということで、VC(ベンチャーキャピタル)業界で働かれたことのある元ニッセイキャピタルの飯田さんにいろいろ教えてもらいたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
弊社では飯田さんのような未経験からキャピタリストになれる求人情報もいくつか取り扱いがありますので、VC業界に興味のある方はお気軽にご相談いただければと思います。
飯田さんの経歴
簡単に自己紹介をしてもらってもいいでしょうか。
一番わかりやすいのが、今「年収チャンネル」というYoutubeチャンネルに出演しておりまして、かつ代表として企業のYoutubeの制作だったり、運営代行、広告代理店もやっております。
新卒、野村証券におられたということで、そこからどういう経緯があって、Youtubeの世界にこられたのか教えてもらえますか。
僕の経歴からお話しすると、野村証券に新卒で入って、1年半ぐらい働いた後にプルデンシャル生命に転職しまして、プルデンシャルでは3年半くらいいて。
その後SBIインベストメントというSBIグループのベンチャーキャピタルに入りました。
その後、ニッセイキャピタルに入って独立、というような流れです。
飯田さん、初めてベンチャーキャピタルでお仕事されたのは、SBIさんのときでしたっけ?
そうですね。ただ、SBIインベストメントでは主にファンドレイズをメインにやっていて。
なのでやっていることは本当に資金調達の営業ですね。
SBIインベストメントの投資資金をLPさんから集める仕事ということですね。
そうです。
事業会社や証券会社など、機関投資家と呼ばれる人から集めていましたね。
投資はやっていなかったんですかね。
投資はやってなかったですね。
ニッセイキャピタルさん時代に初めて投資されたということですね。
そうですね。
VC業界に転職したいと思ったきっかけ
VC業界に行かれたいと思ったのはどういう理由だったんですか?
元々僕はずっと新卒の頃から、独立したいっていう思いがありました。
ずっと「独立するにはどうしたらいいのかな」というのを考えた中で、プルデンシャルでも結局個人事業主みたいな働き方をしていたわけですが、自分で事業を作ることもできず…
「どうしたら事業を作れるんだろう」と考えた時に広く事業を作る様子を見れるというか、事業が成り立ってかつスケールしてきちんと上場していくところを幅広く見れるようなポジションがいいと思ってVCに入りました。
VC業界の仕事内容
VC業界は中身はよく分かってないけど、憧れる人がめちゃくちゃ多いです。
僕たちが支援してる業界の中では「最も中身が分からず憧れる人が多い業界がVC」なんです。
なので、内情を、ぶっちゃけこんな仕事だよというのを皆さんにお伝えしてもらっても良いですか。
本当にやりたい人が行く業界になったらいいなと思っているので、VCの仕事内容を細かく素人でもわかるように説明するとどんな説明になりますか?
細かくもちろん話すんですけども、一言で言うと本当に営業なんですよね。
VCの仕事ってソーシングから始まって、その後投資実行フェーズがあり、その後、投資先の企業と伴走というか支援をして、イグジットっていうところまでが一連の流れです。
その業務の中で7割がソーシングなんですね。
ソーシングでは何をやっているかというと、要は本当に自分が投資したい、かつ有望なベンチャー企業を見つける活動をソーシングと言います。
ソーシングをするためにいろんな営業をしていくわけですけど、営業もいろいろあって、もちろんコールドコールって言ってベンチャー企業に資金調達の需要はありませんかという形で電話をする人もいますし。
同業界のVCからはニッセイ・キャピタルはシードアーリーに強いという印象を持たれてますので、「シードアーリーの銘柄なんかないですか?」とレイターをやってる人たちとかに対して聞いて、僕らだったらシードアーリーを支援できます、逆にレイターの案件が来た時はあなたに紹介しますよ、みたいな感じのネットワークづくりをすることもあります。
起業家のコミュニティに入って、起業家と仲良くして資金調達の相談とか、ファイナンスの流れがあればいつでも声かけてね、みたいなポジションをつくるとか、本当にあらゆるネットワークを作って、ソーシング先をどんどん見つけていくという感じですかね。
ソーシング方法は大きく3種類なんですね。
テレアポとか、自分で見つける、VC界隈の紹介のしあい、起業家のコミュニティとかね。
そういったコミュニティを自分で作ったりする人もいますよね。
3種類ということで今お話ししましたけど、本当に細かく話すといろんな企業や、会計士事務所、税理士などからの紹介。
あとエンジェル投資家からの紹介もあります。
僕の場合、一番多かったのは、同業界のVCやエンジェル投資家、士業の方からの紹介です。
この3つをメインにやってた感じです。
VC業界に必要なマインド・スキル
それだけ聞くと営業よりの仕事に聞こえますがそのわりに採用ターゲットは営業職の方じゃない。
それって何でだと思いますか?
これは、投資してからの会社を成長させるっていう支援でいうと、営業のスキルは活かしにくいということもあるので、別のスキルを求められやすいかなと。
投資を検討してくれる経営者を見つけてきて、事業と財務の観点で分析して、その資料を上司に見てもらう。
それを上司が判断し、YESだったらちゃんと投資委員会かけてっていう流れでしたか?
そうですね。はい。
財務DDと事業DDがある程度できないと難しいんですか?
この辺はもちろんできないと難しいんですけど、会社によっては正直、そんなにできなくても先輩が教えるよっていうVCって今は結構出てきたと思うんですよ。
ぶっちゃけ、専門的なとこは教えるので若手は案件のソーシングでバリューを出してくれよ、という感覚。
事業会社の経営企画出身や投資銀行の方だと、地頭も良いし、事業や財務分析の基礎力や肌感覚があるのでキャッチアップは早いということで重宝されるんじゃないかなと思いますね。
コロナになってから、若手がコミュニティに参加したりとか、人に会いに行くというのがしにくくなったので、若手が全然ソーシングできなくなってすっげー困ってます。。
中堅はこれまで作ってきたネットワークで大体何とかなってるけど…っていう話を聞くんですけど、若手が案件取れなくて困っているということが起きてるんですか?
この間、前職の同僚と飲んだんですけど、やっぱりそういった事例が出てきてるみたいですね。
ただ、その中でも別にオンラインで交流しようと思えば交流できますし、多分そこは結構営業力だと思うんですけれど。
VCの仕事の面白さ、大変さ
VCの仕事をされてみて、やっぱりここは面白かったなっていうポイントと大変だったなとか、やってられるか!みたいなポイントのようなものはありました?
VCというポジションであるからこそ、本当にいろんな起業家と会わせていただいて、起業家の野心・野望やたくさんのスタートアップの事業内容を聞けたのは、すごく見識も広がりましたし、すごく面白かったなというふうに思いますね。
実際に投資してからも、会社が伸びていくというようなところを間近に見れたというのはすごく面白かったです。
大変だったのは、投資した後になかなか事業が伸びないというところで、役員に問題があるならば、その役員をこっちが一応株主なのでクビにしたこともあるんですよ。
だから、そういうのを経営者に伝えて、何とか変えさせるっていうところはすごく労力を使いましたし、そういう時はちょっと大変ですよね。
VCのビジネスモデルについて
VCは大体何パーセントくらいの株を持つんですか?
これもVCによるんですけど、ニッセイキャピタルの場合は大体リードインベスターとして投資していたので20%くらい持つことが多かったですね。
シードアーリーに関しては20%ですね。
その後のステージでも、10%~15%は持つ形で、そうでないとリードインベスターっぽくもないので。
そのくらい持ってれば影響力はありそうですね。
最初に入られて、IPOまで持ち切るケースと、別の投資家さんにバトンタッチしていくケースとあるじゃないですか。
それはIPOまで持ち切れるなら持ち切った方が、上場がうまくできたら儲かるわけですか?
そうですね。
その資金の回転とか、リスクリターンの問題で途中で売るVCが結構あるってことですか?
そうですね。
結構これも投資した会社によってもだし、投資先と投資元との関係性で変わってきます。
やはり、リードとしてシードアーリーに入って、ちゃんと次のステージに導いてくれて、ちゃんとほかの投資家も集めてくれる、いわゆるリードとしての役割を果たしてくれて、本当にこの必要不可欠な人だなというような信頼関係があればずっとリードでいくと思います。
しかし、途中でリードとしての役割が果たせないとか、投資家なんかちょっとイケてないなみたいな風にやっぱり信頼が損なわれてしまうと、じゃ別の投資家を持ってきて、今回はリードをこっちにするので御社はちょっと比率下げてくださいね、みたいな形でいつの間にかリードが逆転してその後もどんどん下がってしまうみたいなケースもあります。
それはVC側としては嫌だとは言えないんですか?
もちろん嫌だと言えます。
嫌だと言えますが、経営者の判断ですし、逆に本当にこじれてしまうと別の投資家が交渉してきて…みたいな感じで、しかたなく渡してしまうみたいなこともあります。
リード投資家の役割
あらためてリード投資家の役割とはなんでしょうか?
リード投資家の役割は大きく二つかなと思ってて、一つ目はきちんとラウンドを組成するっていうところですね。
自分が次のステージを出すというか、そのラウンドで一番大きな割合を持ち、かつ一番リスクを負うと、そして他の投資家にも声を掛け、そこからも資金を調達させる、ところは一つですね。
二つ目はきちんと次のステージに行くためにKPIを達成させ、事業を伸ばせるかというところだと思います。
起業家がVCに求めること
転職相談を受ける方で、お金を出すことに価値があると思っている候補者さんはすごく多くて。
お金を出す側だから、立場が強くて偉そうな印象を持っている方も多い。
ただ、すごい良い起業家からしたら、お金出してくれる人なんかうじゃうじゃいるという実情もあるじゃないですか。
イケてる起業家だったり、良い事業からしたらベンチャーキャピタルに何を求めてるんですか?
イケてる起業家は、イケてる投資家を求めているんですよ。
ちゃんとイグジット経験がこの投資家にはあるのかとか。
もちろんその後ちゃんとお金の余力があるのか、というのは見ますね。
評価の高いVCというのはどういう要素があるんですか?
VCは実績ですよね。
今までのイグジット実績がちゃんとあるかっていうところと、人対人の商売でもあるので、きちんと責任を持って厳しい場面でも見捨てずに、誰も投資してくれなかったけど、ここだけは何とか男気でちゃんと投資してくれたとか、そういった投資家は起業家からも信用されますね。
そういうキャピタリストがたくさん所属し、投資とEXIT実績が豊富なVCが評価されるVCと言えると思います。
VCの経営支援の内容
バイアウトファンドとの比較で、ベンチャーキャピタルって投資先の経営支援どのくらいやるのかと何をやるんですかっていう質問がすごく多いんですけども、ベンチャーキャピタルがやってる経営支援の中身について教えてください。
これも結構、そのステージによっては変わるんですが、シードアーリーだと本当に何でもやるっていえばやるんですよ。
例えばシーズAの人たちがシーズBに調達するってなった時に、CFOがそれなりの人じゃないと、ここからやっていけないです、ってなったらCFOの面接もやるんですけど、VCとして面接に同席してちゃんとした人かってのをVC観点でも見定めることもうやりますし、Saasの会社とかだったら営業が結構大事なので、営業もやったりします。
営業をVCがやるんですか。
営業をやっている人もいますよね、キャピタリストで。
社員の一部になって働く人もいれば、結構関わり方は人それぞれのスタイルがありますね。
投資銀行出身の人とかだったら、やっぱりファイナンスが得意なので、バリューを出すとしたら、レイターの方とかになってくるんで、では大型の調達をする時にどういう金融スキームを作ったらちゃんとしたその調達ができるか。
やはりこれまでの経験をそこでフルに生かされるわけなので、そういう支援をしている人もいます。
VCのビジネスモデルを考えると、投資先の経営支援をやればやるほど自分のリソースがなくなってくるじゃないですか。
次の投資案件を探す時間がなくなったりということが起こると思うんですけども、その辺はどういう風に考えられていますか?
ここは本当にバランスを保ってやっていくしかないと言えばないんですけど、同時に皿を回す感じですね。
一人当たりの年間予算が与えられて、その中から投資をするっていうやり方をしている人がほとんどだと思うんですけど、その中にあとこれだけの予算があるから、これを新規に回すのか、それとも自分が持っている既存の投資先に回すのかっていうのは、そのキャピタリストの判断によってできるので、自分が今は新規をやめて既存に集中したい、ということであれば、新規の活動、ソーシングの活動はちょっと抑えることもできるんですね。
そんな感じでうまくバランスを保っている人が多いですね。
キャピタリストとして評価されるポイント
キャピタリストの所属会社からの評価は投資額ですか?
なにで評価されるんですか?
これはもちろん、イグジットがでればそれが評価されるわけなんですが、出るまで3年4年、短くてもかかりますよね。
なので、ニッセイキャピタルの場合なんですけど、投資額というよりは投資してその会社がイケてる会社に成長しているかっていうのは結構見られます。
結構定性的な部分もあるんですね。
結構定性的ですね。
もちろん案件を見つけてきて、バンバン投資委員会を通して投資してるってことであれば、それはもちろん評価されますけど、結果全部ダメでした、みたいな感じだったら全然評価は下がりますね、いくら投資したとしても。
投資後の伸びが結構見られますね。
バイアウトファンドですと10社投資して2社とかあるいは3社赤字になったら、もう相当そのファンド厳しい印象があります。
VCの場合そういう世界じゃないと思うんですけど、投資して何社中何社くらいIPOできたら、あるいは何社中何社ぐらい黒字で売却できたらまあオッケーかっていうラインはどのくらいの感覚ですか?
10社投資して1,2社上がればオッケーみたいな感じですね。
ネットとか見ると100件に1件の世界みたいな感じで言われてますけど、そこまでじゃないんですよね。感覚的に。
多分、それは本当に超ドシードをやってるファンドだと思います。
数百万とか一千万とか、もう大学生にお金を出してるようなケースはそうだってことですね。
そうですねあの辺のシード VCは金をばらまきまくってるんで、それは100分の1ぐらいの確率だよなって感じですね。
VCをやめた理由
どうしてVCをやめられたんですか?
独立するタイミングというか。
今、僕がやってる事業の案件を担保してくれる先が見つかったので、今は別に独立しても死なないかな、ということで踏ん切りをつけたっていう感じですね。
かなり細かくVC業界の内情を話していただいて、僕も本当に勉強になることが多くて楽しかったですね。
失礼ですけど、飯田さんのご経歴を考えたらなかなかVC受かりづらいですよね。
本当にすごいと思うのですが、なんで受かったんですか?
運って言ってしまえば、まあそれもあるかもしれないんですけど。
ニッセイキャピタルさんで、ポテンシャル採用をたまにしていますけど。
そうですね。
もうちょっと経験ある人を採ってますよね。
多分採ってますし、何なら今まで僕は入社してから、何人も面接に来て書類もバーッと来てたんですけど、明らかに僕の経歴が一番低いですから笑。
みんなもっとピカピカの人たちが来てるんですけど、多分それは、会社の中の当時の部長だった人が求めているものが、さっきおっしゃったようにいかに投資できるか、じゃなくて、いかにいい案件を見つけてきて、いかに投資先とのリレーションを築けて、ちゃんと支援してくれる人か。
スキルじゃないじゃないですか、そこって。
結構ソフト面というか、ある意味営業面みたいなところはVCの本質だと思うので、そこを見てくれる人が、たまたま僕の上司で、たまたま僕がフィットしたっていう感じですかね。
まとめ
ということで今日はベンチャーキャピタリスト出身の飯田さんにお話を聞かせて頂きました。
私もより業界の理解が深まりました。視聴者の方にとっても価値ある時間だったのではないでしょうか。
一部ですが、弊社でも未経験者からチャレンジできるベンチャーキャピタルの求人の取り扱いがありますので、飯田さんのようなキャピタリストのキャリアをスタートさせたいという方は、お気軽に転職のご相談いただければと思います。
飯田さん。今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
転職相談頂いた方にはメディア記事では書けない下記情報をお伝えします!
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