PEファンドの仕事とは?実際の業務についてファンド経営者に聞いてみた!【Youtube対談文字起こし】

※経営×ファイナンスの転職情報を発信するYoutubeチャンネル「キャリアDD」の動画内容を文字起こしした記事です。

今回は、証券会社・金融機関での勤務を経験し、PEファンド業界へ転職、現在はマラトンキャピタルパートナーズの取締役を務める和田氏をゲストにお招きし、ご自身のキャリアと、PEファンド業界について対談形式でお話しいただきました。

和田 耕太郎|Kotaro Wada

マラトンキャピタルパートナーズ
取締役 共同パートナー

早稲田大学商学部卒業後、野村證券にて資産運用業務や事業承継支援、米国ゼネラル・エレクトリック(GE)の金融部門であるGE Capital、国内独立系ファンドである日本創生投資に参画。その後、製造業のM&Aを推進するセイワホールディングスにてM&A部門の責任者に就任。合計15件(スモール・マイクロキャップ中心)のバイアウト投資を経験。

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堀江

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Youtubeチャンネル動画はこちら

(前編動画)【野村證券→PE】ファンドマネージャーになる方法【転職】

(後編動画)【徹底解説】PEファンドの仕事内容大公開

目次
堀江

皆さん、こんにちは。
ヤマトヒューマンキャピタルの堀江です。
今日は皆さんもご関心がある方が多いんじゃないでしょうか?
PEファンド出身の方にキャリアインタビューをしたいと思います。
マラトンキャピタル取締役の和田 耕太郎さんです。
よろしくお願いします。

和田氏

和田です。よろしくお願いします。

堀江

和田さんとは、野村證券の同期でもありまして、過去ファンドに転職支援させていただいたこともあるご縁で今回お時間をいただきました。

では、簡単に自己紹介をお願いしていいですか?

和田さんの経歴

和田氏

改めまして、マラトンキャピタルパートナーズの和田と申します。

新卒は堀江さんと同じ野村證券に入社をいたしまして、その後、金融機関の転職を経て堀江さんの紹介で、PEファンドの業界に入りました。そして去年、代表と一緒にマラトンキャピタルパートナーズというPEファンドを立ち上げまして、ちょうど1期終わったところです。

現在2期目に入り、何とかやってきているという形でございます。

堀江

素晴らしいですよね。ありがとうございます。
ファンドの取締役で和田さんと同じくらいの年代の方っていますか?

和田氏

役員だといないかもしれないですね。

VCだったらむしろほとんどがこれぐらいの年代だと思うんですけど、バイアウトかつファンドではあまりいないかもしれないですね。

堀江

ご経歴を詳しく教えてほしいんですけど、野村證券は3年ぐらいでしたっけ?

和田氏

そうですね、3年半です。
そして4年半くらいで辞めました。

堀江

その次がGEですよね。それって結構珍しくないですか。

和田氏

珍しいと思います。
たぶん僕と僕の代の友人、その後もう一人入ったんですけど、それぐらいですね。

堀江

どういう経緯でGEキャピタルに入ったんですか?

和田氏

リクルートエージェントの求人で出てきたのがきっかけですね。
GEキャピタル、会社名が日本GEって会社だったんですけれど、GEって言ったら証券マンからしたらすごいゼネラルエレクトリックだから。

堀江

よくわからないけど多分すごい。

和田氏

よくわからないけどコングロマリットだし、よくわかんないけど何かすごいって思って当時他のリクルートキャリアの求人とかもあったし、リクルートグループの求人とかもすごいいっぱいあったけど、「GEか」ってGE受けて。

普通にリースとかファイナンスの営業なので、野村でも営業をやってというのもあり、わりと親和性がある転職っていうか。

それでGEキャピタルに入りまして、そこでも3年半過ごしました。

堀江

3年半務めた後は。

和田氏

そこからは日本創生ファンドです。

一般的に投資銀行とか戦略コンサル出身の人がファンドの業界に入るんですよ。VCはちょっと置いといてPEファンド。

僕は野村でリテールの営業からGEキャピタル、法人営業とはいえ営業なんですよね。
なので、あまり自分で財務の分析を深くしてローンを返すモデルを組むとか、そういうこともフロントの営業はやらないんですよ。
あくまで審査部とかがやることなんで、本当フロントの営業って感じだった。

レアですよ。

堀江

日本創生投資を創業少ししたぐらいで経験者採用とか、いろいろやってたんだけども、一人ぐらい未経験ポテンシャル採用して伸び代ある人を育てた方が総合的に考えていいんじゃないですかって話をちょうどしていて、和田さんに相談を受けたタイミングでした。

和田氏

ご縁ですよね。

堀江

結構チャレンジングですよね。

和田氏

受かったり縁があったのも本当にたまたまですね。

自分がそういった方向に行きたいという相談したタイミングで、堀江さんが日本創生投資の水戸さんと仲良くなって、未経験でも良いと。

未経験のポジションはほとんどないんですね。
なんか活きのいいやつがいたらみたいな感じで、ミトさんのキャラとかもあいまって。

堀江

そうですよね。

和田氏

そんなにいっぱいライバルはいなかったんじゃないかな。
僕が受けた時って。
たぶん数人くらいだったと思うんですよね。

堀江

そうですね。

最初に苦労したポイント

堀江

はい、ということでファンドに入られました。
そこで投資に入りまして。何年でしたっけ?

和田氏

ぴったり3年ぐらいですね。

堀江

3年間、相当ご苦労もあったんじゃないかなと思いますけど。

和田氏

全くM&Aの業務の経験もないですし。
デューデリジェンスとかそういうのも全く知らなかったんで。
しかも日本創成投資って再生案件とかもやってたので、これはこれで結構難しいんですよ。

で、入社する前に本当に知識がないだろうからって言われて、水戸さんから課題図書みたいなのが5冊ぐらい出たんですけど、専門書なんでその5冊合計すると3、4万円ぐらいする。

こんな分厚い再生案件の本が来て、これどうしようとか、年収も半分ぐらいになってるし、当然そんな貯金とかないんで、どうしようかと思ったんですけど、買って。

入社までに1ヶ月ぐらいずっと読み込んで勉強して入ったところが、まず入社前の苦労ですね。

入ってからいきなりM&Aのエグゼキュージョン入るし、投資先で既にイグジットしそうなところとかもあったんで、イグジットももう、すぐ始まったんですよ。

イグジットって超難しくて、イグジットするには、その投資先のビジネスはよく分かってないと資料ができないですし。
あと買い手が結構、細かい買い手とかであれば、DDでものすごいレベルの質問が来たりするんですよね。

日本創生投資ってインハウスでやってて。
外注しないんで、僕が投資先に色々「この情報ってどうですかね」とか聞いて。

しかも社長が全部把握してない場合は、総務の人とかに聞かなきゃいけないんですけど、売却の事実がバレたらまずいので「ちょっと今こっちのファンドへの投資家へのレポートで必要なんで」とか言いながら情報を取ったりとか、そういう苦労もありつつ、知識も足りないから、出てきた情報が何なのかも分からないまま買い手の仲介の方に渡して、「いや、それじゃないです」って言われて「どうすればその情報出てきますかね」って聞いたりして。

そういう苦労を初手からしました。

(堀江さんに)相談もしたんですけど、正直こんなの絶対自分じゃ務まらないって思って。
最初の半年契約社員だったじゃないですか。
これでクビになるなって思ったんですよ。
そんなにうまくリードも回せなかったですし、結構怒られることもあったんで。

相談しましたよね?

堀江

そうですね。

和田氏

当時だったら仲介さんは凄く儲かってるし、早く儲かるし。
営業で乗り切れる要素が多いかなとか思って。

堀江

めちゃくちゃ稼いでる人も周りにいてね。

和田氏

周りにいっぱいいて。

堀江

そういう人生もあるんじゃないかってね。

和田氏

年収半分ぐらいになってこんなに訳の分からないことで苦労してやって、このファンドマネージャーなんて絶対僕に務まらないですよみたいな感じでなったんですけど。

一応半年間が契約社員の期間で、水戸さんとの面談になった時に「全然正社員でやってよ」って言われて、ああ残っていいんだ、と。

堀江

許容範囲のアウトプットしてたんですね。

和田氏

多分そうですね。
自分では今こうやって未経験を採用する側ぐらいになって思うんですけど、結構やってましたね、しっかり。
自分で言うのもあれなんですけど、それなりに頑張ってたと思いますね。

堀江

くらいついていたもんね。

和田氏

そうですね。
きつかったですね。
野村證券の時のリテール営業の苦労とはちょっと質が違っていて、ぶっちゃけ僕はこっちの方がきつかったですね。

堀江

それはそうだと思う。

和田氏

逃げ場がないって言うか。

野村證券の時だったら、気合いと一生懸命さで何とかなる部分も一部あるし、マーケットが悪くなったらみんな一気にできなくなるっていうのがあったんですけど。

一人で全部エグゼキュージョンも回して、投資先の従業員の人生とかも究極的には関わってくる

堀江

相談する人も居なくてね。

和田氏

いないですよね。
この環境はなかなかにしびれましたよね。
逃げなくて良かったです。
ギリギリ、紙一重。

逃げてたかもしれないですよね。

堀江

ギリギリってのがすごい伝わってくるよね。もう本当に。

和田氏

結構深刻に相談してましたよね。
ほんと、仲介いった方がいいと思うんだよね、って。

堀江

めっちゃ悩んでた、仲介を推すか。
確かに目先のこと考えたら全然仲介でいいし、稼げるし、年収数倍になると思うから、ぜんぜん仲介でいいんだけど。

折角ファンド入って、すごいキャリアになれる可能性を秘めていたからね。

和田氏

今思うと、本当にそうで、当時はちょっと分からなかったけど。
それで一応評価してもらえたっていうのがあって。

そこから徐々にM&Aを分かってくるんで、2、3件全部やり切ったら「回せるかもな」みたいになっていった感じです。

堀江

3年で何件ぐらい投資したんでしたっけ?

和田氏

投資実行をやった回数は6件で、イグジット4件ですね。

事業会社のCFOに

堀江

なるほど。その後は?

和田氏

その後、セイワホールディングスっていう名古屋で製造業のグループをやってる野見山さんという方と本を書いた繋がりで出会って。

日本創生投資やりながら、副業で野見山さんのM&Aのアドバイスとかをしてたんですよ、1分いくらみたいな契約で。

副業をやってる中でセイワホールディングスがどんどんどんどんM&Aでこれから拡大していくから、M&Aのチームの立ち上げとCFO的なのやってくれる人を探してるんですよね、みたいな話ももらって

自分としても、独立とかしつつセイワホールディングスみたいなこう事業会社のM&Aにも関わってやっていくのも面白いんじゃないかみたいなのがあって。
本当くだらないところで行くと、GEキャピタルの時に名古屋に住んだことがあって、名古屋めっちゃ好きなんですよ。

堀江

名古屋、いいよね。

和田氏

セイワホールディングスだと名古屋住みになりますし、一旦ここらで名古屋に住んでM&Aをガンガンやって。事業会社のCFOというのもすごくいいなと。

まあ、最終的にはCFOという役職ではなくって感じだったんですけど。
セイワホールディングスに入ったっていうのが日本創生投資をやめた理由ですね。

堀江

どれくらいいたんですか?

和田氏

1年ですね。
その過程で今の代表の小野と、セイワに移って、日本創生投資を辞めた、だったらちょっと話してみたいなのがありつつ、話していきながら立ち上げに至ったっていう感じですね。

堀江

すごいチャンスですよね。
ファンド立ち上げの一緒にやらない?って声かかるって。

和田氏

そうですね、そんな機会なかなかないですよ。

堀江

相当経験積んでたらわかるけど、そうは言っても3年ぐらいだもんね。

和田氏

そうですね。
投資の経験数は多分かなり多い方だったんですけど、特にこのスモールキャップのマーケットだと。
多分他にあんまり確かにいないっちゃいないんですよね。

それこそ小野がいた日本グロースキャピタルとかであれば、かなりの経験を積んでる若手多いんですけど。
そこを引き抜いて、引き連れて独立なんかちょっとできないんで。

外部を見渡した時には、確かに僕とかあと数人ぐらいしかいないかなっていう気がします。

堀江

珍しいポジショニングというか、あんまりない行動をすると、稀有な人材になるよね。

和田氏

でもノリですよね。チャンスと思えるかどうかみたいなところっすかね。

堀江

そうなんです。
これなかなか意外とみんな動けないから、そこを動けるかどうかが、その時歴史は動いたみたいな。

和田氏

よく言いますよね、日本だったらチャレンジしたもん勝ちみたいな、リスク取ったもん勝ちみたいなところはみんなあるとは思うんで。

堀江

能力じゃない。

和田氏

全く能力じゃない。

堀江

性格だね。

PEファンドの業務内容

堀江

では、PEファンドの業務内容をそんなに分かってない人もいると思うので、ちょっと詳しめにどんな仕事を日々やっているのかをお聞きしてもいいですか。

和田氏

PEファンドはプライベートエクイティファンドの略で、プライベートエクイティーって何かというと、未公開株のことなんですよね。
だから、要は、上場株と未公開株の分かれで、上場株以外をやりますっていうだけの話です。

その中でバイアウトとVCっていう分け方がその次に来るんですよ。
PEファンドの中でバイアウトVCですね。
よくPEファンドとVCは違うみたいな言い方をする人がいるんですけど、くくり的にはPEファンド、バイアウト、VCです。

VCはベンチャーキャピタルなんで、本当にスタートアップとかアーリーステージの会社にちょっとだけ投資して、相場はわかんないですけど、複数社投資した中で1社か2社ホームランになったらすごくいいよねっていうようなところが基本スタンス。

バイアウトの方は基本マジョリティを取得します。
基本的には3分の2以上なので、特別決議を単独で可決できるぐらいは取るんですけど、基本的には100パー買いますね。
まるまる買います。

VCとPEで違うのは、VCは会社の株を発行してもらって、会社にお金が入るっていう感じなんですよね。
なので、会社のベンチャーの資金調達のために投資をするファンドという感じで、バイアウトファンドは持ってるオーナーから丸ごと譲り受ける。

ここは結構違うんですよね。

バイアウトファンドの方が、今日本で一番言われている事業承継の問題、経営じゃなくてエクイティ、株の事業承継の問題のところに一番フィットするっていう形で、我々がメインでやっているのは事業承継の案件、100%の株を譲り受けますというのが投資のスタイルの違いです。

我々のお客さんって誰なのかというと、ファンドのお金は我々の個人マネーじゃないんですよ。
個人マネーももちろん入れてるんですけど、大金持ちとか金融機関、機関投資家とか言ったりしますけど、そういう人たちがお金を増やすために我々に預けてるんですよね。
なので、我々のお客さんは投資家です。

我々は未公開株に投資することによって、増やして返すという仕事をしています。
世の中のファンドって全部そうなんですけど、不動産ファンドもそうだし、ディストレストファンドっていう再生系のファンドとかもそうですけど、要は預かったお金を増やす手段として何に投資するかっていうので分かれています。

我々はたまたまプライベートエクイティーでバイアウトという形で中小企業を丸ごと買って、例えば5 億で買った会社が10 億で売れたら5 億儲かりましたよね、この5 億のうち、成功報酬を除いた分を投資家にお返しさせていただきます、っていうのがビジネスモデルになりますね。

堀江

和田さんの仕事内容はどんなことですか?

和田氏

日々の仕事っていうのは、今はまだファンドを募集してる期間でもあるので、ファンドを集める仕事ですね。
まず、お金がないと我々は投資ができないので、これが一番最初なんですね。
これをファンドレイズ業務って言いますね。
ファンドレイジングとかファンドレイズです。

これは主にファンドの中でも代表とか役員クラスとかパートナークラスとかがそれまで培ってきた人脈ですとか、あとは過去のトラックレコードとかを使ってメインで担当しますので、うちのファンドだと小野、僕、あと弁護士の砂田。
この3人が役員なんですけど、この3人がメインで動いていますので、この業務があります。

どういう業務かというと、金融機関とかにアポを取ってうちのファンドに入れてくださいっていうのをひたすら営業する
野村の営業とほぼ変わらない感じで「投資信託買ってください」というのと一緒です。

集まったら、次は投資する案件を探さなきゃいけないので、これはソーシングですね。

ソーシングは大体仲介さんとかFAさんからガンガン来るので、それを来た資料を見て分析するっていう感じです。
ここは、仲介さんとのネットワークができていないファンドだと仲介さんに営業するところから始まります。

堀江

なるほど。案件紹介してくださいっていう営業ですね。

和田氏

そうですそうです。
M&Aセンターさんとか、M&Aキャピタルパートナーズさんにアポを取って訪問して、「うちこういうファンドで、これぐらいの投資のイメージがあるんで、ハマる案件あったらぜひ紹介してください。お願いします」っていうのがその営業ですね。
ソーシングはそんな感じです。

ファンドによっては直接自分たちでソーシングする形をとっているファンドも存在はします。
少数派だと個人的には思いますが。
これがソーシングですね。

来た案件全部投資するわけにはいかないので、その中でいい案件を見つけるために分析するって感じですね。

堀江

最初は財務DD、事業DDってあると思うんですが。

和田氏

そこまでいかないですね。

まずは投資のフロントメンバーだけでこの案件どうかなっていうのを簡易な判断をして、そこで進めそうな案件は次のトップ面談っていう形で、オーナーと直接会わせてもらって、色々ビジネスとか聞いて。

なお良さそうであれば意向表明、LOIってレターオブインテントっていうんすけど、是非買わせてくださいっていうラブレターを送るフェーズがあって、それでオーナーがOKって言ってくれたら独占交渉権っていうのが取れるんですよ。

通常は買い手側も複数最初の頃は走ってるんですけど、そうなると要はどこが買えるか分からない状態が前半あるんですね。

そうなるとデューデリジェンスのコストってかけずらいんですよね。
数百万から数千万するので。
2、3社で同時にデューデリジェンスが入ったら、各社一千万とかかけてるのに、1個しか選ばれないんだみたいになっちゃうんで。

多分今だと同時並行で進めていくのって、相当大手のミッドキャップ以上のファンドしかやらないと思います。

投資判断のポイント

堀江

最初は簡易の投資判断する時に、どこをどういう観点で見るんですか?

和田氏

基本的にはオーナーの株価条件とこっちのバリュエーションが合うかどうかという条件面が大きくて。
というのはファンドなので、どんな業種であっても別にシナジーはないんですよ、我々って事業をやってるわけではなくて、あくまで金融投資家なので。
なので一番にくるのは数字になります。

めちゃくちゃいい会社だったとしても、オーナーの希望がそれに応じて非常に高いバリュエーションがマルチプル何十倍とかを希望してるってなったら、もうその段階で案件としては難しいですね。

利益がそういった会社よりも小さかったとしても、オーナーの希望としては凄く安い、なぜなら後継者を早く見つけてくることが重要だとか、従業員の声をより守ってくれるところに売りたいから、俺の値段は気にしないっていうオーナーとかそういう場合もあったりするんで、そういうのを積極的にやっていくっていう感じですね。

仕事としては、検討のところはEXCELのフォーマットがあるので、そこにオーナーの希望株価とか今の実質的なEBITDAを入れるところとか、あとバランスシート入れるとキャッシュフローが出るみたいなシートがあるので、それに入れながら分析して、投資のシナリオを「この業種なんで、周辺でロールアップができそうだから、これぐらい見込めるかもしれない」とか、「今伸び続けてるんで、この流れでいったらこうなるから、この株価は出せるんじゃないか」とか、そういう投資シナリオも立てつつ、みんなの会議みたいなのがあるので、そこで「こういう案件トップベンダーに行きたいと思うんですけど」「いやいやでも」とか「確かに」とかっていう感じで進みますね。

堀江

で、その後社長と会って。

和田氏

会いに行くっていう業務ですよね。
会いに行くのは小野と僕は投資委員なので、ほぼ必須で参加するようにしてて、案件担当者は僕が単独でやってる案件とかもあるんですけど、今新しく入ってきたディレクターの堀越とか、アソシエイトの佐藤とかも常に案件リードとかやってるので、その担当者と一緒に行くっていう感じですね。

堀江

LP投資家さんに伝えるのはどのタイミングなんですか?

和田氏

LP投資家に伝えるのは、もう投資が決まってからです。
で、キャピタルコールする時にこういう案件なんで投資しますっていう形ですね。

堀江

投資するか判断の時にはLPさんは全く出てこない?

和田氏

出てこないです。
それは全てのPEファンドそうです。
意思決定権は我々が持っている形ですね。

で、独占交渉権を取ったらデューデリジェンスとか、あとはローンを調達するのであれば銀行さんとのLBOローンの交渉とかが入ってくるので、ガッツリM&Aのエグゼキュージョンが入ってくるって感じですね。

堀江

どこの会社に売却しようとか、どの業界にもっていこうというのは、どのぐらいのタイミングで頭にあるものですか?

和田氏

ある程度最初の投資をする段階では構想は作りますね。
それは投資委員会の事業の必須項目だったりするので、イグジットの想定ですね、何年でどういうところに行くかみたいな感じで。

基本線は我々のサイズ感だとあまり上場のイグジット、IPOイグジットってないので。
トレードセールになる。

伸び続けてる会社だったらもう一回ファンドに売りましょうとかあるかもしれないですし、そうではないと言うか、そんなに右肩上がりの業種でなければ、同業他社が第一線になったりとか、そのシナリオを事前に立てるっていう形ですね。

でも、最終的には投資先の経営陣とか旧オーナーの意見を聞いてイグジットします。
一番高いところに何でもいいから無理やり売るっていうことはやらないですね。

堀江

VCだと10件投資して、1件IPOしたら大成功だと思うんですけども、プライベートファンドだと10件投資して1件はすごくうまくいって、他の9件は黒字そこそこだとすると感覚的にはどのくらいのバランスで勝ち負けなんですか?

和田氏

感覚的には全部二塁打打つって感じですかね。

超ザックリなんで、いやいや三塁打じゃねえのか、シングルヒットじゃないのかよって言われたら全然にロジカルに返せないんですけど、イメージとしてはそんな感じですね。

堀江

9個良くて1個失敗したらもうファンドとしては相当厳しいという感覚ですか?

和田氏

いや、そんなことないですけどね。

やはりポートフォリオを組んでいるので、1件あたりのエクイティーとして出すチケットサイズもそこまで大幅に変えないんで、1個全損したぐらいではそんなに影響はないと思いますけどね。

和田さんが今後やりたいこと

堀江

ということで、かなり業務内容が分かりましたね。

和田さんは今後やりたいこととか、ファンド業界でこんなキャリアがいいなと考えはありますか?

和田氏

そうですね。
マラトンを始めたばかりなので、マラトンを大きくしていくですかね。

ちょっとまだ存在しないんですけど、こういうスモールマイクロキャップをメインでやっているファンドで一千億の規模を作るファンドってないんですよ。

堀江

今一番大きいとこでどのくらいですか?

和田氏

ミッドキャップだとAPさんとかポラリスは、千億以上を超えてやっているんですけど、そこら辺ってEBITDA一億前後の、日本で一番事業承継に困ってて、仲介さんが扱ってるところをメインでやっているファンドってやっぱりいないんですよね。

ほとんどのファンドさんって最初五十億とか百億から始めてもファンドサイズが上がっていけば、それに伴ってディールサイズも大きくなっていって、スモールキャップから卒業していくみたいな感じなんですけど、我々はどんなにファンドサイズを大きくしてもここに残る、やりきる。

残り続けて、今正直日本の事業承継の課題ってM&Aだけでは解決しないって言われてるんですよ。
数も多すぎるし年間のディール数なんて数千にとどまっているんで。
ただ、その中でも千億のファンドを作って、我々が年間五十件百件投資しますみたいなファンドになれれば少しはそういったところの役に立てるかなっていうのもあるので。

そういうスモールバイアウトの初の先駆ファンドみたいな。

堀江

スモールキャップの巨人になるんですね。

和田氏

はい、目指してます。

堀江

そうすると、結構人が必要ですよね?

和田氏

そうなんですよ。
なので、その分の管理報酬で従業員は多く雇いますし、やはりアウトソースする部分もすごく大きくなっていくんですけど、そこら辺は仕組みかなと思っていて。

今までPEファンドの業界ってどちらかというと、こうエリートとか投資銀行戦略コンサル出身の人が少数精鋭で大きなディールを動かすみたいなところがメインなところだったと思うんですけど、キャリアの民主化じゃないですけど、仕組み化をしっかりしていって、キャリア的には投資銀行とかピカピカの人じゃなくても、未経験で入ってもすぐに1、2カ月でディール回せるようになるような仕組みとかというのを作っていって、このマーケットに留まり続けていこうかなというイメージです。

堀江

そんなファンドは存在しないですね。

和田氏

今のところまだないですね。
小野の前職の日本グロースが一番近い、そこで進んでいると思うんですけど。

まとめ

堀江

はい、かなり細かくPEファンド業界を和田さんに教えていただきましたので、皆さんかなりイメージわいたんじゃないかと思います。

今日は和田さんどうもありがとうございました。

ということでPEファンド業界へ興味を持った皆さん、そして和田さんのようなキャリアを作りたい方は、ご相談いただければと思います。

それではまた。

弊社のキャリア支援のポイント
堀江

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