~プロ経営者のリアル~求められるスキルとやりがい【イベントアーカイブ】

※こちらは2024年3月6日に視聴希望者限定で行われたイベントのアーカイブ記事です。

日本プロ経営者協会(JPCA)は、日本に数多くのプロ経営者を輩出するエコシステムを構築し、わが国を牽引するリーダーの輩出と事業承継問題の解決を目指し設立されました。

まだ日本にはプロ経営者が浸透しておらず、プロ経営者の働き方、プロ経営者になるためにどういったステップを進めばよいのか、求職ポジションにどれだけ出会えるのかという具体的な情報提供をしています。

また、具体的なプロ経営者案件として、事業承継の社長から直接オーダーいただいたものやファンドの投資先の社長としてプロ経営者のポジションをご紹介させていただいております。

当イベントでは、株式会社横井製作所代表取締役丸山様より求められるスキルとやりがいについてお話しいただきました。

目次
堀江

では早速本題に入りたいと思います。講演者、丸山様にバトンタッチしたいと思います。丸山様、よろしくお願いします。

丸山氏:改めまして丸山でございます。このような機会を頂戴しました、プロ経営者協会の小野様、堀江様、ありがとうございます。私コンサルの出身でもありませんし、先生でもありませんが、これからお話しするのは、私が長年、中小企業の経営に携わった経験を皆様にご共有することで、少しでもご参考になればということで僭越ながらお話をさせて頂くことになります。よろしくお願いいたします。本日の流れはこのような5部構成にしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

自己紹介

では早速ですけど、改めまして自己紹介でございます。横井製作所という会社は名古屋市に本社がございます。マラトンキャピタル様の投資先企業となります。

私の社会人人生は3つのフェーズに分かれているというふうに認識しておりまして、第1フェーズは新卒から45歳というところでございます。大卒後、欧州の高級食品専門商社に7年、世界最大の国際広告会社、これは当時ですけれども、グローバルで1兆円以上の会社に15年、国内外のプラチナブランドのマーケティング業務に22年携わったという経歴でございまして、この期間を私はマーケティング及び営業スキルの習熟期間と位置づけてございます。

この第1フェーズでは、一流企業の経営者や経営層との出会いもたくさんございまして、ご薫陶をいただいたり、刺激をいただいたりして、経営者になりたいという気持ちがより高まったという期間でもございます。とはいえ、結構大変な業界でございまして、失敗や挫折、達成を繰り返しながら結果大きな成果とスキルを習熟できたのかなという第1フェーズでございます。

第2フェーズはそこから55歳までの間でございまして、本格的に中小企業経営を学びたい、そこで社長になりたいというところが固まりましたので、思い切って中小企業に転職をしました。家族や周りの人はちょっとびっくりしましたけれども、オーナー経営企業のナンバー2として5年、オーナー経営の中堅企業で執行役員と社内カンパニーの代表執行役を5年、計10年にわたり経営に参画しました。そこでオーナー中小企業の経営の本質を学んだという修行時代と位置づけてございます。

実際に広告会社等で学んだマーケティングや営業ということを中小企業の経営で実践投入をした期間でもありますし、未知であった経営管理スキルといったところの習熟にも非常に役立ったと思っております。中小企業ならではの魅力、課題、後ほどまたお話ししますけれども、そこの認識理解が非常に高まりました。こちらは個人的な話かもしれませんけれども、東京一択の価値観から地方都市で暮らして仕事をするということの新たな価値観が芽生えた10年でもありました。

また、カルチャーショックもあり、でもこの10年の経験が現状社長させていただいている私の基礎になっているというところであることはもう間違いないなっていうところでございます。これは第2フェーズ。

第3フェーズが55歳から現在なんですけど、2016年から異なるファンド様の投資先である事業承継案件3社、今が3社目なんですけども、代取として8年を迎えて現在に至ると、これはプロ経営者としての奮闘期間と自分の中で位置づけていまして、まだまだ気力も体力も充実しておりますので、暫くの間頑張っていきたいなと思っている次第でございます。

結局ナンバー2や、執行役員だった修行時代も含めて、中小企業経営に携わって18年目になるということで結構長い時間だなとは思いますが、現状に満足することなく、まだまだ足りないところもたくさんありますので、更なる成長を目指して奮闘中であるといったところが私の自己紹介でございます。

プロ経営者としての略歴

続きまして、プロ経営者としての略歴、1社目2社目3社目というところをご紹介していきたいと思います。先程申したとおり、ファンド様は異なる会社様でありますけども、お陰様で間の空くことなく3社の代表をするに至っております。3社とも高度成長期に起業されて成功をした典型的なオーナー経営中小企業の事業承継案件で、全て地方都市での単身赴任であるということでございます。

1社目はファンドA社様、レンタル事業を主力とする専門商社で、2年間経営に参画しました。規模感としては、南九州3県で8事業所、社員数100名、23億という数字の会社でございました。こちらは業績も良くて地域での知名度も高い会社でありまして、申し分ない業績を誇っていた会社なんですけども、組織体制、労務、経理機能といったところに少し難がありまして、まず働き方の改革、職位の整備、組織体制の整備ってところから着手をしました。

結果、残業は実質ゼロ、休日も増え、社員のモチベーションが大幅に向上をして離職率が一気に低減しました。そしてまた中途で優秀な方が入ってくるようになりまして、結果2年連続で過去最高の利益が出せてきたということで、次の人にバトンタッチしたという流れでございます。

2社目は2018年からファンドB社様の投資先である小売り専門店チェーンを展開する中小企業の代取として4年間参画しました。南東北を中心に23事業所、社員数280名、繁忙期は350から400ぐらいに膨れ上がるんですけど、売上は45億、まあまあの規模感の事業承継でございました。こちらも創業者の引退に伴う事業承継案件です。在任中にM&AでEC企業にグループインしてもらいましたので、そちらの代取もしていました。

こちらの会社は1社目以上に知名度がありまして、TVCMもしていた関係もありますけど、利用率も非常に高い会社様でありまして、大人の男女であれば、ほぼ皆さん知っているよというぐらいの知名度の会社でございました。業績もまずまずでありましたが、1社目以上に小売業ということもありまして、働き方の部分に非常に問題があったということと、高い離職率がございました。バリューアップをすることを目的にプロ経営者になっていますので、そのためには、まずこの高い離職率を改善していくというところからスタートしました。

1社目で働き方改革を経験しておりましたので、非常にスムーズに働き方改革が実現できたというところで、離職率も結果として、大幅に低減したり、地域の国立大学の学生さんや有名私大の学生さんが毎年コンスタントに新卒で入ってくるというような嬉しい効果もございました。

3社目、マラトンキャピタル様の投資先である横井製作所の代取で、ちょうど1年半ほど経ちました。名古屋にある会社で、小規模なんですけれども、非常に良い会社で、得意先や仕入れ先も優良企業が多く、山椒は小粒でも、といった会社でございます。

金属加工部品の専門商社で、非常に幅広い業界にお客様がいらっしゃり、こちらは創業家の3代目のオーナー社長、ご長男の引退に伴う事業承継案件であったというところが、先の2社とは違う点でございます。こちらの会社については課題感というのはオーナーシップが強く出すぎていて、それが理由で社員が私の着任前に複数名退職をしてしまったといったような状況がありました。

一方で残った社員もオーナーシップが強いものですから、超受け身。チームワークが弱くて一人一人が殻に閉じこもったような状況で仕事をする傾向があって、このカルチャーを変えていかないととにかくバリューアップしないだろうというところで、1年目でそこに本格的に取り組んだというところでしたが、ほぼ今完了していまして、非常に安全運行になっていると喜ばしい状況になっています。

一方、並行して更なる利益体質の向上というところを目指しまして、営業面、仕入れ面といったところで方針を決めて取り組んでおりますので、利益体質が顕著に向上したといったところも成果として出ている状況でございます。ここまでがプロ経営者としての略歴のところでございます。

私にとってのプロ経営者のやりがい

続いての「やりがい」ですが、なぜ中小企業の経営者を目指したかとイコールの話でございます。

まず1つ目は、業務を通して地域社会への貢献をダイレクトに実感ができることです。大企業ですと、やはり一般の消費者やユーザーのところに届くまでのレイヤーが色々あると思いますけれども、中小企業の場合は、地域社会や地域産業に対しての貢献がもろにダイレクトに実感できます。これがやりたくて中小企業に来たようなものなので、非常に楽しく仕事ができているといったところでございます。2つ目は、中小企業ですから組織が小さいですけれども、小さくとも人の上に立って、自らの責任と決断で歯応え十分なミッションを成功に導く達成感、これも非常に魅力的だなと思っております。

3つ目が人を成長させて、人の力を合わせて、大きな物事を動かす魅力と醍醐味があるぞというところですね。これも非常に価値観に合っているというんでしょうか。非常に楽しくこの部分もやらせていただいているかなと思います。

一方、マンネリを許容することとは真逆な毎日です。チャレンジングな日常を経験できるというところも非常に魅力的なところでございます。私の場合は8年目の地方での単身赴任生活になりまして、多様な土地、仕事、人との出会いが大きな会社に勤めていた頃と比べて全然違いまして、多種多様な出会いがあったり、地域での発見があったり、自分自身の価値観も変わりました。人生を豊かにしてくれているなということを実感する毎日でございます。これがプロ経営者としてのやりがいでございます。

オーナー経営中小企業の特性

次は自分が経験した18年間の中小企業経営、特にオーナー経営の中小企業ということですけれども修業時代、社長になってからの経験をお話ししたいと思います。中小企業ならではの魅力と課題が満載でございます。最初の3つは今お話したやりがいの部分とイコールでございますので割愛しますが、創業家の創業オーナーというのはリアルビッグボスでございまして、創業をして成功して、何十億、人によっては何百億って稼いでいくわけなので、自分の会社のことは何でも分かるし、お客様、仕入れ先も全て分かるし、何でもできるスーパーマンですね。本当にビッグボスだなということを実感しますし、このビッグボスは非常に厳しいんです。本当に厳しい方が多いです。一方、地域、会社、商品、社員に対しての愛情がとても深い方が多く、その点についても沢山学ばせて頂きました。

課題については、これは皆さんご想像のとおりだと思いますけど、トップダウン経営の極みで「選択肢」という単語が存在しなかったり「パワハラ」という単語も存在しない、今は違っていると思いますけれども、しなかったという言い方がいいのかもしれませんが、大企業にあるものは中小企業にはないことが多いですし、鍋蓋の組織で一人数役が当たり前、かつ属人的な業務をして、従業員は忍耐強くて誠実、そして受け身。財務経理の機能が弱い、もしくはない。IT化と働き方は平成の真ん中くらいで止まっているということが多いです。

採用は難しく、特に新卒採用はハードルが高いのに離職率が高いから常に人手不足。規模は小さいので、先ほどお話ししたコロナのような社会情勢に左右されやすくて、もうかっていた会社が一気に厳しくなるという緊張感は常にあります。一番難しいというか、重要だと思うのがこの鍋蓋組織、一人数役、属人的な業務。それから従業員は忍耐強くて誠実、これ一見良さそうに見えるんですけど、ここが一番の歯ごたえのある改善ポイント、課題ポイントであります。他のものは知恵を使ってお金を捻出すれば全部解決する話なんですね。財務経理の機能が弱ければ、採用をしてもしくは外部の先生方にお手伝いいただくとか、IT化もお金を捻出してやればいいし、働き方改革もやればいいし、できます。

でも人の気持ちとかマインドセットっていうのは一朝一夕で変わるわけではないので、私は非常にこの辺のところは重い課題というか、M&Aでオーナーが変わってトップが変わればさっき言ったような物理的な部分っていうのは必然なので変えていくんですけれども、鍋蓋から理想的なピラミッドの組織にしていくというのは、まずそこにはめ込むピースが不足しているというか、そういう人がいなかったり少なかったりします。

じゃあ中途採用でそういう人を取ればいいじゃないか、全部取り替えるっていうわけにも勿論いかないし、そうなってくると知恵を絞ってどうしてやればいいのかっていうことを本当に考えていかないといけない、一番迷うところでもあるけれども、プロ経営者としての腕の見せ所なのかなっていう風に思っています。言葉を変えると、ここが変われば会社はがらっと変わりますし、活性化しますし、おのずと業績っていうのがついていくというのは、経験上実感するところであります。オーナー経営の中小企業の最大の課題は、この2つ。鍋蓋組織をピラミッド型組織に変えて、従業員が忍耐強く誠実っていうのは全然問題ないので良いんですけど、そこを能動的な人に変えていくというところをいかに限られた期間の中で実行するか、実行できるかというのは最大の課題だと思っています。

中小企業におけるプロ経営者の役割

プロ経営者の役割を、一つのエピソードを話すと非常にわかりやすくなるかなと思うんですが、ある日の中小企業で大事件が起こるわけです。何かというと社員全員が会議室に集められて、集合がかかるわけですね。そうすると社員たちは何だ、今日は何を怒られるんだとか、何の話だろうかってみんなそわそわ待っているわけです。扉が開くと、社長と見ず知らずの3、4人の大人がやってくるわけですよね。で社長から「何月何日付で私社長を辞めます。株主も変わります。株主はこの会社のこの方たちです。社長は丸山さんです。じゃあご挨拶をお願いします」そんなところから始まる訳ですね。で、プロ経営者にとってはここがスタートライン。その後、1週間程度で正式に着任するわけです。

で、それを知らされた従業員の皆さんのうち、売却をご存知の社員は、今までの経験上役員クラスで二人ぐらいとかだけど、今の会社では誰もご存じなかった。その中で会社が変わる、経営者も変わる、株主も変わる。一体我々どうなっていくんだろうかとか新しい社長さんはどんな人だろうか、今まで以上に怖いのかな、やだなとか、自分たちの身分は保障されるんだろうかとか、いろいろ臆測や不安の声が上がるわけですけど、そこが本当にスタートライン。

そこから1週間後ぐらいに着任して、彼らと対峙していくっていうのが、中小企業におけるプロ経営者のケースだと思いますけど、そんな中でプロ経営者は何をしなきゃいけないかというのは、まずは株主さん、僕のケースでいくと全てファンドさんですけども、バリューアップやイグジットの方針をよく理解するっていうことが大切です。デューデリの資料も当然、社外秘の資料ですけども、そちらを拝読して課題の優先順位を理解、認識すると。その上で社会情勢や業界トレンドから対象企業の現状を十分に考慮したビジョンや経営戦略を策定していくと、これもファンドさんとよく相談をしながらという一番の入り口の部分なんで、ここがずれていると後で全然かみ合わなくなっちゃうから、そこが1丁目1番地かなという風に思っています。

自己完結型の社長や教科書通りの経営をしようとする人はちょっと言葉きついですけど、全く機能しないって書いていますけど、機能しづらいなって思います。社長を志す方なので、当然将来自分はこういう社長になりたいとか、社長になったらこんなことやってみたい、もしくは大企業で見てきたことを中小企業でもやってみたいって色々な思いが当然あろうかと思うんですけれども、そういったところは正直機能しないことが多いかなという風に思います。

具体的には大きく3つの役割が求められる訳ですけど、お時間の都合もありますので、少し早めにお話をさせていただきます。バリューアップに向けた新たなリーダーシップの発揮というところで、自分がどういうアクションを起こせるかということですね。このリーダーシップの発揮っていうのが一番のポイントかなと思います。

この後お伝えする2つ目3つ目というのは、このリーダーシップを発揮するためのエレメントみたいなもので、一つは先ほど説明した組織体制、ガバナンス、中小企業流のガバナンスの強化。3つ目が従業員と会社のエンゲージメント醸成、ここ非常に重要です。支えてくれるのは従業員で、仕事をしてくれるのも従業員ですので、新しく変わった会社とのエンゲージメントが結べないと何をやってもうまくいかないと思います。そのために従業員にとって実感できる変革というものをスピード感を持って実行していく事が大切です。

働き方改革であったり、仕事の効率化であったり、評価制度であったり、離職率の低減で仕事がスムーズに進むようになるとか、そういったところを実感ベースで作り出してあげることが会社とのエンゲージメントの醸成にダイレクトに反映しますし、それができるとすごくうまく行くし、できないと全然うまくいかないということになろうかと思います。イコールそれがリーダーシップの発揮のし方とイコールになると思うんです。

求められるスキル

求められるスキル、順不同ですけど、経験。これは経営者経験、もしくは準ずる経験。業界の経験あれば尚可ですけど、僕は3社やっていますけど、3社とも業界経験がありません。それから経営管理業務。これは経験、もしくは知見がないと会社経営できないかなと思います。金融機関対応。これは銀行さんがメインでありますけれども、ここはできれば尚可というところでしょうか。ファンドさんへの方針への適応。これは経験があろうとなかろうとこれはマストかと思います。私1社目は当然経験はなかったわけですけど、あれば尚可といったところです。

リーダーシップ、こちらは規模、環境に応じた表現力や論理性、やはり情の部分だけではダメで、やっぱり論理的な話ができないと納得感が低いかなと思います。でもこれ逆もあって、論理的であるがゆえに情の部分が全くないとこれもダメ。トップセールスっていうのは営業して何か物を売ってくるってわけじゃなくて、困難や課題に自ら陣頭指揮を執って突破をしてあげてあとは任せるという意味です。そこで信頼感が作られると思います。あとは変革へのチャレンジ精神。これがない人はまずダメじゃないかなと思います。変革をする為に来ているので。あと決める度量。これイコール捨てる度量になるので、ジャッジをしっかりできる、できない。これはリーダーシップだと僕は思っています。最後ですけど、コミュニケーション。言動の一致、社内外への安定した適切なコミュニケーション、変化や環境への適応力、柔軟性/バランス感覚、これはやはり求められるかなという風に思います。もう一つございました。あとは自己管理、ストレス耐性、これはできればですけれども、先程ちょっとお話ししましたが、挫折の経験があるといいなっていう感じですかね。順調に今まできた方だとやはり挫折した時に二の句が継げなくなっちゃうっていうところもあると思うので、チャレンジして失敗して達成するっていう経験がやっぱり求められるかなと思います。後は常に前向きなマインドセットが持てるかと、ここも非常に曖昧な言い方ですけど、地域・業界・会社・従業員への愛情。これは「LOVE」の愛情ではなくて「リスペクト」という意味で書きました。ここがないと本質的にみんなに受け入れてもらえませんし、得意先にもそうです、腰かけの社長みたいに思われてしまうので。愛情というのは非常に情の部分では重要な部分かなというふうに思います。最後は健康な心と身体、これは言葉の通りです。

ここまでオーナー経営、中小企業のお話をさせていただいて、プロ経営者のやりがいから求められるスキルと話してきましたが、大企業でも当然課題が存在するし、中小企業も存在する。なので課題を解消していくっていうことは、基本的にはどこでも一緒だけれども、打てば響く、成長することを実感できる中小企業っていうのは、本当に魅力的な職業、仕事かなとは思います。ただ、プロ経営者という職業は、歯応えも十分ありますので、経済的なベネフィットのみを追求するとか、ただ単に社長になりたい。何で社長になりたいのかを答えられないっていうことになると、そういうモチベーションだと周りとうまくやっていけなくなる可能性が高いかなって思われます。私の場合のやりがいはここに示した通りなんですけれども、社長を目指す方については自分なりの何でもいいと思うんですが、プロ経営者をなぜ目指すのかということを自分なりに明確化してチャレンジしていただきたいなという風に思います。以上、拙いお話でございましたが、ご清聴の程ありがとうございました。以上でございます。

Q&A

堀江

丸山さんどうもありがとうございました。何て言うか非常にリアルな話を。当たり前ですけどね。楽なことばかりじゃなくて、泥臭くやり切ることが大事だなって強く感じました。ありがとうございました。
 
では、Q&Aタイムということで、ちょっとかぶっている部分があるかもしれませんが、ぜひよろしくお願いします。

Q.プロ経営者として成功する上で大切にしている考えを教えていただけますか。また、丸山さんの性格、価値観とその考えはどのように関係していますか。

堀江

ということですが。これは講演の中でなかった回答ですね。教えていただければ。

丸山氏:元々僕がモットーとしていることというか、社会人としてモットーとしているのは有言実行なんですね。よく言うのは「結果が出たから自信がついたよね」みたいな話があると思うんですけど僕は逆だと思っていて、「自信を持つから結果が出る」「結果が出るからもっと良くなる」っていう考えで、とにかくやりたいことを宣言するっていうことにしています。

何が正しいかではなくて、何をやりたいかって価値で判断しているので、とにかく自分でやりたいことを宣言して、それを愚直に実行するというのが、プロ経営者としての生業を支える僕のモットーかなと思っていまして。性格や価値観とはどのような関係がありますかというところは、まさに今お話させていただいたところかなというふうに思っています。人の意見が気になってしまうっていうところ。僕も人の意見ってすごく気になります。人の評価もすごい気になります。だけど実務においてもそうなんですけど、基本的にどんな発言であってもどんな人が言っていることであっても、全部一旦受け入れようっていうのをモットーにしています。

Aさんはこう言う、Bさんはこう言うのを全部聞いてあげる。その代わり全部それを一旦咀嚼して、自分流の答えを導き出していくっていうことでもありますし、あと人が自分の評価をこういうああいうっていうところについても全然言っていただいて構わなくて、だからいいように言われるように頑張るんだっていうところに繋げていくというところですかね。人の意見や人の評価って人間であれば絶対気になるので、そこはみんな共通だと思うんで、それをどう自分なりにポジティブに変えていくかっていうことじゃないかと思ったりしています。お答えになっていますかね。

堀江

ありがとうございます。そりゃ気になりますよね。これ全然気にならなくなったら周りのことが分からなくなっちゃって、逆にマズいかもしれませんね。

丸山氏:仰る通りですよね。

Q.今まで縁のなかった会社に経営者として着任する際に、最初にやるべきこと、やったほうがいいこととは。どう思いますか。

丸山氏:先程の中でも少し出てきましたけど、もうやっぱり中小企業は大企業と違って本当に少人数で会社を支えているんですよね。なので色々とそのテクニカルな部分を変えていくっていうことは後回しで、まずは人心掌握かなっていう風に思います。僕は3社と修行時代でもやりましたが、全社員と面談をするというのを自分のマル必として心がけています。1社目は100名でしたし、2社目は280名でしたし、今の会社は人数が少ないんで、3回目が終了してます。

デューデリの資料を読めば会社の課題は見えるし、ファンドさんから引き継ぎをすれば課題のメインのところも見えると。直近のオーナー様から「この人はこうで会社の中ではこうですね」って引き継いでいただけるので、大体分かるんですけど、自分の目と耳で確認をします。何を目的に働いてくれていて、何が課題なのかというところを実際に1時間喋ってもらってます。

280名の会社の時は人数が多いので、まず事前にアンケートで色々書いていただいて、それをベースに面談をしました。人心掌握のためには、まずその課題感をヒアリングして、自分の目と耳で聞いたものを確認をして、更にそこを絞り込んでいって会社に適した対策を立てて、それをスピード感を持って実行していく。ちっちゃい話から大きい話まで色々ありますよね。できるところから変えていく、そこはやっぱスピード感ですね。そうするとやはり信頼していただける。このリーダーに任せて大丈夫だよって思っていただけるものを作り上げていく。まさに人心掌握っていうところが重要。そこができると先ほども申した通りですけど、業績って勝手に上がっていくんだよなっていうところは実感としてあります。

堀江

ありがとうございます。ですね。では、追加でこの場でいただいている質問ですね。

Q.丸山さんは40代半ばで転職をされていますが、初めての転職で苦労されたことはありますか。

丸山氏:国際広告会社のときは、非常に多様なカルチャーで、世界中に仲間がいて、グローバルな会社でいい会社だったので、ないものがないっていう感じでした。お客様も本当にプラチナブランドというか、そういうところでした。中小企業の社長になりたくて40代半ばで中小企業2社に転職して10年やりましたけれども、そこのギャップというんでしょうか。最初の会社はやっぱギャップがかなりありまして。で、自分が培ってきた経験とか言動とか、そういったものを一旦は白紙にして、この会社にあった自分の言動や中小企業にフィットする発言や言動をしていくというところに、少し最初は戸惑いました。服装一つとってもそうですし、あと朝の朝礼があってラジオ体操があって企業理念の唱和があっていうところの朝のスタートから始まってですね。そんなの当たり前じゃんってみんな思っていることが当たり前じゃなかったり、あとは社屋の外を竹ぼうきで掃いたり、そういう何でもかんでも自分でやらなきゃいけないっていうところにギャップがやっぱりあったりしました。だけど、そこも学びたくて敢えて修行に出たというか、中小企業に転職したので最初は少し戸惑いもありましたが、すぐに慣れました。

堀江

ありがとうございます。

Q.今私は大企業に勤めております。いち社員から経営者のステップアップっていうのは、ギャップが非常に大きいと思います。経営者になる場合に、やっぱり中小企業で経営に近いポジションをやらないとだめでしょうか?

丸山氏:大企業で培った経験やノウハウ、会社の風土、これは全然無駄ではない。人生に無駄はないので、無駄には絶対になりませんし、それが生きてくるタイミングっていうのは必ずあるんですけども、いきなり経営者にはなれないと思うので、経営層にチャレンジしていくっていうことは必要じゃないかなというふうに思います。なぜならば、やっぱり選ばれないと思うんですよね。経営者として招聘されないというか、やっぱり「経営の経験ありますか」って聞かれて「経験はないんですけど、やる気満々です」「大企業のどこどこにいてこういう仕事もしていました」って言っても、やはり比較した時にライバルに負けてしまうというところはあるので。選ばれなければなれないので、そこに選ばれるためのチャレンジはすべきかなと思います。

堀江

ありがとうございます。小野さん、ファンドの観点からこれどうですか。中小企業の経験は必須ですかね。

小野:中小企業経験、我々がmustにしている理由は、実は私は13年、14年目くらいファンド経験があるんですけども、過去に「このナンバー2が優秀だからいいんじゃないか」って上げたところ「ちょっとやっぱり社長としてこういう感じの大変さがあるのは分かんなかったので、もうちょっとごめんなさい。無理です」と。現場では非常にこの会社の成長に寄与した方だってお話はあったし、多分最初に上がる時はその方もそれなりにやる気もあったとは思うんですけれども「やってみたらちょっと難しかったです。降ろしてまた戻してください」って言われて下に戻したことがあります。

あと、やっぱり同じように経験がない方を入れたところ、似たような感じで「こんなに大変だとは思いませんでした」っていうのをですね。それは私がやったものじゃなかったので、「そりゃそうだろ」と僕は横から見て思ったんですけども、結果としてはそういう結果になったのもありますので恐らくですけども、大企業から直接実家を継いだら結構成功したみたいな息子さんとかいらっしゃると思うんですけども、そういうのは多分中にはあるんだけれども、恐らくファンドっていうのは人のお金を運用しているので、極力高い確率で悪くならない、高い確率で成功するし、イチかバチかみたいな勝負はしたくないので、極力経験値がある人でと思っています。経験値があってやるってことはある程度大変なことを分かりながらやるので「こんなに大変だとは思いませんでした。ごめんなさい」みたいな話にはあまりならない可能性が高いので。

要は統計的に正しいことをやっていこうって考えると。未経験な人、やる気はあります!もう何でもやります!みたいな人を入れてしまうっていうのは、ちょっとあまりつながらない可能性が高いので、やらないことにしているっていう感じですね。よっぽど何かに光るものがあれば絶対ではないんですけども、基本的には難しいと思っていますね。

堀江

ありがとうございます。ということで能力とかスキルの面もありますし、ファンドからすると安心感。やっていたことがあるかどうか、この感覚値があるかどうかっていうのも選ばれる基準になりそうですね。

小野:よくあるのは例えば部長しか経験がないけれども、竹中工務店の部長をやったことがあって、その中でスーパースターのようにすごい人ですと。ある中小企業で竹中工務店とかそういうブランド力がある建設業で、いろんな営業力がある人が入れば会社を伸ばせるんだと。一方で管理の方はもうがっちりできているから、営業ががんがん上手い人を入れたい、竹中工務店とかすごい人脈があって、横のつながりも非常にあるみたいな人がいれば、もしかしたら何か経営経験なくても、ものすごい光るものが別にあった場合に、そういう人を入れる可能性は0ではないんですけど、一般的な話でいうとなかなか難しいというイメージですかね。

堀江

ありがとうございます。そうですね。お時間になりましたので、締めに入りたいと思います。丸山さん、今日はありがとうございました。

小野:丸山さんに一つ質問したいなと思っていて。丸山さんはオーナー経営者の下に入る場合とファンドの下に入る場合っていう場合に、良い点悪い点がもしお互いにあったらお話いただきたいんですけど。ちょっと言いづらいこともあるかもしれないですけど。

丸山氏:経営者を目指してオーナー経営者様のセカンドとかサードで入るということですか。私が修行で入ったような感じですかね。

小野:そうですね。ナンバー2なんだけど、最終的にはナンバー1になるよみたいな、ナンバー1で入ったことがないので、ちょっと純粋には比較できないのかもしれないですけど。

丸山氏:なるほど、それとファンドの下で社長をするという比較ですかね。

小野:良し悪しみたいのがあればですね。

丸山氏:ファンドさんの下で入る最大のメリットっていうのは、投資される会社様っていうのは基本的に優良企業様が多い、再生案件はちょっと置いておいて。ファンド様の下の会社っていうのは、やっぱり優良案件が多くて、ビジネス上も非常に優秀な会社が多いと。ただ継ぎ手がいないっていうケースがほとんどだっていうふうに認識をしていますので、そういった意味での経済的な部分での安定感っていうのは、ファンド様の投資先の社長っていうのは非常にあるんで、それを維持伸張してバリューアップしていくっていうのがプロ経営者の仕事だというふうに僕は理解しています。ファンド様の傘下であろうと、オーナー様企業の下にナンバー2で入ろうとやることは基本的に一緒ですし、中小企業ゆえに一生懸命やれば成果が出る、一生懸命やらなきゃ成果が出ないってもう本当にわかりやすい仕組みでできているので、大変さっていう意味においては変わらないかなって僕の経験上は思います。

ただ、その大企業から中小企業に移ったっていうところのギャップ感っていうのは当然どっちに行ってもあると思うんで、先ほどの話ではないですけど、やはり少しワンクッション、どこかで経験をされた方がナンバー2で入るにしても、ファンド様の投資先で社長をやるにしても、より成果も早く出るかなというふうには思ったりもします。お答えになっていますかね。

小野:はい大丈夫です。一つと言いながら、もう一つになってしまうんですけど。皆さん経営者になりたいけど、まだなれてない人が恐らく今日来ている方の9割、8割だと私は思っていますけれども、そういう方々に今振り返ってみて、もっと例えば40歳ぐらいで何とか社長になろうと思ったらこうした方が良かったとか、もし30代に戻れるならこういう動きをするというのがもしあれば。極力小さくてもいいから中小企業とか、大企業だと上がかなり分厚く入るので、もう少し早く転職して小さい方でなんとか上の方に行けるポジションを探すとかですね。そういうのがもしあれば。

丸山氏:全然ありだと思います。やはり昔と違って情報量が圧倒的に多いので。昔はやっぱり社長になるっていうと、新卒もしくは中途で入って何十年勤めてようやくたたき上げで何万人の一人の社長になれるみたいなパターンしかなくて、後は起業するしかなかった。今はこういった多様性のある社長業っていうのはあるんで、それを若いうちから目指して早めに転職をして中小企業ということに絞って言えばですけど、中小企業にコミットして経験を積んで、そこで早いタイミングで社長になるチャンスを見つけるっていうのは全然ありだと思います。

ただ、やはり一通り社会人としての経験値を積んだ年齢っていうのが果たして20代なのか、30代なのか、40代なのか分かりませんけれど、あまり若過ぎるというのは、候補の対象からは外れてしまうかなっていう風に思います。30代真ん中、社会人を10年以上やられている方であれば十分その可能性はあるんじゃないかなっていう風に思います。僕の場合も実は30歳に転職して15年間と国際広告会社にいましたけど、そこはちょっと仕事が楽しすぎて長居してしまって。正直経営者を目指すはずだったのに、そこであまりにも仕事が楽しくて長居をしたっていうところとあと修行の10年間もリーマンがあったり、東北大震災があったり、社会情勢があまりにも良くなくて、結果的に10年間修行していたいうところもありますので、55歳じゃないと社長になれないとかっていうのは全然ないと思いますし、本人次第っていうところもあると思います。

小野:一つお伝えすると、なんかファンドでも60歳の壁、みたいな話もちょっとあったりすることもあったりするんですけども、やはりオーナー様も自分が65歳で引退したいっていう人がいて、じゃあ後継者を探しましょうとなった時に62歳となると…となってしまって。本当であれば52歳とかの方が決まりやすいんですけども、ただこうやって丸山さんとお会いしてみると、非常に若々しいですし、まだまだ5年とか猛然とやっていけそうな雰囲気もあるので、こういう感じになれば全然いいなっていう感じはあったので、ある意味経営経験がもう60歳になってもある人であれば、全然75歳で引退するみたいなオーナーさんも結構いたりするので、60代前半とかでも全然いけたりもするので、そういう意味だと本当にプロ経営者っていうのは長い時間、働きたければの場合ですけど、働ける仕事だなと思います。

キャリアはまだまだ60歳前半と若いので、あと10年ぐらいはチャレンジできる時間があるっていう職業かなと思っていますので、皆さんまだまだお若い方が多いと思うので。私がよく言うのが大企業に張り付いて役員になる可能性、100分の1の可能性を目指すんだったら、どっかで極力若いタイミングでできるだけその組織の上の方に入れるチャンスを狙って。それベンチャーでもいいのかちょっとのか分かんないですけども、ベンチャーに参画するって手も一つあるかもしれないですけども、そうすると3人ぐらいの組織でやりましたって感じだとある意味ちゃんとした経営なのかって疑惑も出てくるので、難しいところがあるんですけども、極力そういうものを探していってほしいなと思ったりしていますね。本当にやりたいのであれば楽しいです。

丸山氏:そうですね。プロ経営者になるっていう決断をして修行して、でも実際プロ経営者になったら一日一日が勝負なので、やっぱりなるにあたっては、自分の中の仕事のやりがいとかなりたい理由が明確で、1年1年が勝負だよっていうところの覚悟みたいなものも必要かなっていうところは正直あると思います。

堀江

丸山さん、今日はお時間ありがとうございました。

丸山氏:ありがとうございました。

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