このページでは、FAS業界に関して解説します。キャリアの実情、転職ノウハウ・事例、具体的な求人情報について記載しますので、今後のキャリア形成の参考にして下さい。
今回の記事は現在FAS業界に従事する方はもちろん、FAS業界への転職を考えている方が将来のキャリアを考える上で役に立つ記事を作成することを意識しました。ただし、弊社ヤマトヒューマンキャピタルは転職エージェント会社ですので、業界や個別企業のマイナス面はこのような場では申し上げられません。
より突っ込んだ業界の実情や転職ノウハウ、事例をお知りになりたい方はこちらより無料キャリア相談にお申し込みください。
- FAS業界とはどのような業界か
- FAS業界に転職するメリットや、転職先・キャリア
- FAS業界の採用市場の傾向
- FAS業界の採用要件
監修者
ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
一般社団法人日本プロ経営者協会 代表理事
堀江 大介 | Daisuke Horie
野村證券、ITスタートアップ、コンサルティング業界専門の人材紹介会社を経て、ヤマトヒューマンキャピタル創業。
これまで、同領域に200名以上の方を支援した実績をもつ。
事業承継問題の解決には投資資金に加え「経営人材」を輩出するエコシステムが必要であると考え、一般社団法人日本プロ経営者協会をPEファンドパートナーと共同で設立し、代表理事を務める。
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・証券外務員一種
・FP(ファイナンシャルプランナー)2級
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- 志望業界の非公開&未経験OKの求人をご紹介
- 志望業界転職後のキャリアの選択肢を解説
- 志望業界のマイナス点、個別企業ごとの優劣をご説明
- 志望企業へ社長や幹部経由の特別ルートでの応募も可能
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FAS業界の転職市場の状況は?
FAS業界の市場については、各社厳選採用が続いておりますが、採用意欲は旺盛です。
特にBIG4 FASでは毎年数十人規模採用が続いており、国内独立系でも数十人規模の採用が行われている企業もあります。
未経験からのFASも、財務会計知識やExcelスキルがあればチャレンジ可能となっておりますので、業界知識が深い弊社コンサルタントに、お気軽にご相談ください
FAS業界への転職のポイントは何か?
未経験での転職は可能なのか?
未経験からの転職は可能です。
業界未経験で転職を成功させるためには、財務系の資格もしくは経理・財務、監査の経験が必要となります。
財務会計に携わったことがないレベルでは、転職は厳しいことが多いことは確かです。財務の資格は最低でも簿記2級は欲しいところです。
簿記2級をお持ちの方であれば、BIG4 FASでも少ないながらも応募可能なポジションはありますし、国内中堅ブティックを中心に応募は可能です。
また、公認会計士・米国公認会計士(USCPA)資格保有者は選考で有利となる傾向がはあります。
ただし、公認会計士資格は取得難易度が高い資格です。、英語が得意であれば難易度がやや下がるUSCPA(米国公認会計士)を取得すれば、チャレンジの幅は広がります。
自分のキャリアの可能性を狭めることはせずに、お気軽に弊社から情報収集ください。
現在の市場状況は?
BIG4 FASを中心に積極採用が続いています。
国内独立系ブティックにも案件が多数持ち込まれているため、厳選採用ですが採用ニーズは高くなっております。
若手からマネージャー以上まで、幅広く各社採用を強化しております。
どの会社に転職すべき?
FAS業界の頂点に位置するのが、外資系監査法人を母体にもつ「BIG4」と呼ばれる4社のFAS部門です。
・EYストラテジー&コンサルティング
・PwCアドバイザリー
・KPMG FAS
・デロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリー
この4社の中でM&Aのスペシャリストとしてのキャリアの土台を積むことで、将来的なファイナンス・M&A領域のキャリアは開けるでしょう
金額規模の大きさ、国内・海外案件の豊富さでは国内トップクラスでしょう。
国内独立系のFASや、コンサルティングファームのFAチームも魅力的です。
・山田コンサルティンググループ・FAチーム
・フロンティア・マネジメント
・プルータスコンサルティング
・AGSコンサルティング(FA部門)
・フーリハンローキー
等々、、、
BIG4以外にも、大きなディール・件数を行っているファームは沢山あります。
公認会計士・USCPA取得者、MBA修了者、監査法人経験で3年以上や、大企業の経理・財務や経営企画室での5年以上の経験があればBIG4 FASへの応募は可能です。
一方で、会計資格が簿記2級のみ、財務・経理経験が3年未満の方や、ファイナンス経験が全くないファイナンス・M&A未経験の方は、国内中堅ブティックでの経験を積むことをおススメします。
件数を多く積めることや、一気通貫でのM&Aに携われる点で力がつくでしょう。
FAS業界への転職難易度は?
企業群で考えると、BIG4 FASが一番採用ハードルが高いのは確実です。
どの部門も採用ハードルは高いのですが、あえて部門ごとの採用難易度をつけるとすると。
難易度順位
- M&Aアドバイザリー(コーポレートファイナンシャルアドバイザリー)
- 事業再生
- 財務DD(トランザクションサービス)、valuation&modeling
のようになります。
1:M&Aアドバイザリー(コーポレートファイナンシャルアドバイザリー)
投資銀行、戦略コンサルティングファーム、PEファンド、MBA修了者などが多くいるような部署です。
M&A戦略策定からPMI支援のM&Aの始めから終わりまで、
全体像をみながら業務にあたることから高いスキルと、M&Aの深い理解、高いコミュニケーション力が求められます。
もちろん、事業会社の経営企画室や財務部門の方でもチャレンジ可能ではありますので、採用ターゲットについては弊社コンサルタントにお気軽にお問い合わせください。
2:事業再生
再生支援では、厳しい状況のクライアントと膝を付け合わせてディスカッションするなかで困難を脱却しようとすることが求められます。
・根気強さ
・泥臭い仕事を厭わない覚悟
・肉体的
・精神的なタフさ
これらの要素が高い会計知識と併せて求められます。
事業再生へのアツい情熱も必要となりますが、事業再生コンサルタントへのアツい想いや、CFOを目指すかたにはやりがいがあるポジションでしょう。
3:財務DD(トランザクションサービス)、valuation&modeling
財務DDやバリュエーションといった手法に特化した、プロフェッショナル集団が集まる部門です。
※バリュエーション:企業の価値を評価すること
例えば単に、バリュエーションといっても
「インカムアプローチ」:DCF法
「マーケットアプローチ」:市場株価法
「コストアプローチ」:簿価純資産法
のような手法があります。
また、未上場会社・大企業・ベンチャー企業でも手法が大きく異なるため、専門的な知識と理解が必要です。
実際に「valuation&modeling」部門に入社される方にうかがうと、「かたちがないものに価格をつける手法が面白い」という情熱にあふれて仕事をしている方が多く、研究者タイプや一つのことに熱中するタイプの方がいらっしゃいます。
その中でも、比較的穴場なのが「valuation&modeling」部門です。
BIG4 FASでも、”簿記2級+事業会社経理・財務+一定以上の英語力(TOEIC600点以上)”のキャリアで採用可能性は十分あります。
また、財務モデリングのスキルを磨くことで、PEファンドに転職を成功された方もいらっしゃいます。
※(財務)モデリング:対象会社の市場状況やシナリオ別に事業計画を作成、M&Aを行った際の投資採算のシュミレーションを行う手法のこと
M&A未経験からPEファンドにチャレンジしたい方には、戦略コンサルティングファームや投資銀行以外では、おススメのポジションです。
いつ転職すべき? FAS業界への年齢別転職のしやすさ
それぞれの転職のしやすさ
未経験
会計士、USCPA(米国公認会計士)+英語力があれば有利に働きます
20代後半は特にFASを目指される方が多く、転職の可能性も高まります。
戦略・総合コンサル、投資銀行、大手事業会社の経理・財務・経営企画経験や会計士、USCPA(米国公認会計士)資格、英語力をお持ちの方であれば、大手のFASへの転職の道は開けます。
会計資格が簿記2級のみ、財務・経理経験が3年未満の方や、ファイナンス経験が全くないファイナンス・M&A未経験の方は、国内中堅ブティックでの経験を積むことをおススメします。
大手事業会社の経営企画室、総合商社の事業投資担当者・営業パーソンでの支援実績もございます。何かしらのM&Aに携わった経験が求められますが、まだまだFAS転職可能な年代です。
M&A経験が何かしらないと転職は難しい年代になってきます。
40代以上ですとマネージャー以上のポジション採用となるため、事業会社経営企画室や総合商社でのM&A経験、コンサルティングファームでのM&A経験がないと応募は難しいですが、シニア採用も積極的に行っている企業も多数ありますので、弊社コンサルタントにお気軽にご相談ください。
経験者
FAS業界経験者であれば、ポジションを一つ上げての採用も可能となります。
例:シニアアソシエイト→マネージャー
マネージャー→シニアマネージャー
実績や経験案件数にもよりますが、このような採用も行われておりますので、年収アップも狙えます
FAS業界で求められる経験・スキル・学歴は?
FASのFAチーム、財務DD、valuation&modeling
採用ターゲット
主な採用ターゲットは以下です
①金融機関出身者
・銀行・証券・保険等にて企業・産業等の分析業務や投融資・管理の経験者
②事業会社出身者
・財務経理、経営企画部やM&A関連業務経験者。投融資・子会社管理の経験者
③公認会計士(試験合格者含む)
・日本ないしは諸外国の公認会計士の有資格者、監査経験優遇
・会計大学院の卒業者で国際会計基準や米国会計基準に興味のある方
④戦略・総合コンサルタント
・戦略コンサルティングや産業分析を経験され、M&A領域に関心のある方
・IT系の企業にてERPソフト等の開発に従事された、M&A領域に関心のある方
スキル・経験
・高いPower Point、Excel、Wordスキル
・監査法人での監査経験
・財務モデル構築経験
・高い財務会計知識、P/L B/S,C/Fの高い理解
・経営者への交渉力と信頼を得るコミュニケーション力
・外資系企業であれば高い英語力(TOEIC800点以上)
valuation&modelingの部署であれば、簿記2級の資格のみでも応募可能な企業もあります。
学歴
基本的にはMARCH以上、旧帝大・早慶上智の学歴が書類選考通過しやすいことは事実です。
公認会計士・USCPAの資格をお持ちの方は、学歴面では優遇される傾向があります
事業再生
事業再生領域では、以下のような業務フローが一般的です。
この業務から見えてくる必要経験は以下があげられます。
必要経験
・高いPower Point、Excel、Wordスキル
・監査法人での監査経験
・財務モデル構築経験
・高い財務会計知識、P/L B/S,C/Fの高い理解
・経営者への交渉力と信頼を得るコミュニケーション力
・外資系企業であれば高い英語力(TOEIC800点以上)
・ハードワーク耐性
・企業に足繫く通う、フットワークの軽さ
事業再生を依頼するだけの、赤字の企業がほとんどですので、案件としてはハードなものになる傾向がありますが、案件達成の喜びや成長環境は揃っています。
事業再生コンサルタントを経て、事業会社のCFOになられる方も数多くいらっしゃいます。
USCPA?公認会計士? 持っていると有利な資格は?
持っていると有利な資格は以下です
とても有利
・公認会計士
・米国公認会計士(USCPA)
・MBA
こちらの資格をお持ちの方は、FAS側でも優先的に選考を進めていただけます。
私が記載した、USCPAの取得難易度、キャリアの幅の広がりについてもご参照ください。
他の経験と併せてもっていると有利
・TOEICの高い点数(700点以上)
・簿記2級・1級
こちらの資格をお持ちのかたは、外資系BIG4 FASや大手国内系FASにも、経理や財務・経営企画の実務経験と併せると強みが増す資格です。
FASを目指そうと思われる方は、これからの資格が時間に余裕があるときに取得するようにしましょう
転職者の主なバックグラウンドは?
- 監査法人勤務の公認会計士
- 戦略系コンサルタント
- 外銀IBD
- 財務担当 など
転職の主なバックグラウンドについて、よくある業界は以下です。
・監査法人
・事業会社での経理・財務
・(日本・米国)公認会計士資格保有者
・コンサルティングファーム
・総合商社の事業投資担当者・営業パーソン
・事業会社での経営企画室
・税理士法人
未経験からの転職では、以下からの転職実績がございます。
・不動産業界での財務管理経験者
・M&A仲介営業パーソン
・事業会社での経理・財務経験者
・証券会社営業パーソン
ファイナンスや財務経験が全くない営業パーソンの方も、FASへの転職果たしておりますので、幅広いファイナンスの知識を付けたい方やCFOを目指したい方は、弊社コンサルタントから幅広く情報収集なさってください。
FAS経験後のキャリアの可能性は?
身につくスキル
FASを経験することで身につくスキルは
・M&A全体の理解
・数字を扱う高いスキル(Excel)
・ファイナンス領域での幅広く、高い専門性
・レベルが高い人材の中で働く為、プロフェッショナル意識が高くなる
もちろん外資系ブティックでは高い英語力も身につきますし、国内中堅ブティックでは一気通貫のM&Aに関わることも可能です。
これらのスキルを活かして、以下で示すキャリアを歩むことが可能です。
よくあるキャリアパス
FASからのキャリアは多岐に渡っています
・より大きな企業群への転職(例:国内系FAS→BIG4 FAS)
・事業会社・経営企画室
・PEファンド
・独立
・スタートアップCFO
・PEファンド投資先経営者
・総合商社の事業投資担当者やコーポレート部門
・ベンチャーキャピタル
等々
M&Aや財務会計のプロフェッショナルとなるため、キャリアの幅は大きく増すでしょう。
FASの面接対策/志望動機は?
FAS独特の面接体系としては2点挙げられます。
①モデリングテスト
②ケース面接
①モデリングテストは、valuation&modelingの部署などで基本知識を問われることが多いです。時間は120-150分ほどで、特別なExcelが渡されて、財務状況やモデリングをしてもらうように提示されます。
②ケース面接は戦略コンサルティングファームのように、フェルミ推定や「売上を2倍にするには?」といった質問がされます。
特別な対策が必要ですので、対策方法については弊社コンサルタントにご相談ください。
特別な選考体系もありますが、一番大事なのは中途採用・転職面接の基本形です。
このポイントについて、ご自身で腹落ちするレベルで原稿化してください
・簡単な経歴(1分程度で話せる分量)
・転職理由
・FAS業界志望理由
・数多く企業がある中で、なぜ〇〇社なのか
・強み
・貢献できること
・成功体験、失敗体験
・逆質問
基本の質問は大事です。
弊社コンサルタントを通じて、添削・修正・フィードバックさせていただきます。
FAS業界への転職成功事例は?
一例ではございますが、弊社のご支援させていただいた候補者様の事例を紹介させていただきます。
・年齢:29歳
・性別:男性
・前職業界:不動産業界
・転職先業界:BIG4 FAS
・年収:約700万円+賞与
・年齢:34歳
・性別:女性
・前職業界:建築資材専門商社→国内MBA
・転職先業界:BIG4 FAS Corporate Finance
・年収(転職前、転職後):750万円+賞与
・年齢:29歳
・性別:男性
・前職業界:監査法人→事業会社
・転職先業界:BIG4 FAS 事業再生アドバイザリー
・年収(転職前、転職後):770万円+賞与
・年齢:26歳
・性別:男性
・前職業界:専門商社の経理・財務
・転職先業界:BIG4 FAS デジタルチーム(PMI・統合)
・年収(転職前、転職後):600万円+賞与
・年齢:32歳
・性別:男性
・前職業界:総合商社・営業部門
・転職先業界:国内独立系FAS M&Aアドバイザリー
・年収(転職前、転職後):1,040万円+賞与
FAS業界に転職して後悔したことは?
FAS業界に転職される方で気を付けた方が良いことは以下です。
このポイントを逃すと後悔することになるかもしれません。
・長時間労働な環境であることは間違いない
・深夜残業が続くことがある
・アナリストレベルでは、ひたすらExcelの数字と格闘する毎日がある
・優秀な人が多く、アウトプットに求められるレベルは高い
現時点での、openworkの情報ですが各社の残業時間(月間)は、以下のようになっております。(2024年3月時点)
デロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリー:60.1時間
EYストラテジー・アンド・コンサルティング:44.7時間(コンサルティング部門も含む)
PwCアドバイザリー:47.2時間
KPMG FAS:64.6時間
また、FASはM&Aのスペシャリストが多く投資銀行や戦略コンサルティングファーム出身者も在籍し、会計士の方も多く、人材のレベルは高い業界です。
求められるアウトプットのレベルは高いですが、自己成長の機会を求める方や手に職を付けたい方にはおススメの業界です。
この記事ももちろんですが、弊社からFASに転職した方にインタービューしたYoutube動画もありますので、そちらも併せてご覧ください。
そもそもFAS業界とは?
FASの業界は大きく3つに分かれます。
①BIG4 FAS
・EYストラテジー&コンサルティング
・PwCアドバイザリー
・KPMG FAS
・デロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリー
世界四大外資系監査法人が母体のFASです
FAS業界のヒエラルキーでは規模や扱う案件の大きさで、1件あたりの金額レベルで見ても頂点に来るファームです。
グローバル展開企業、上場企業・大企業が対象でフィーも高いことが特長です。
人数も大規模であり、数百名を超える企業が多いです。
・EYストラテジー&コンサルティング:4,243名(2024年3月1日時点)
・PwCアドバイザリー:768名(2024年3月28日時点)
・KPMG FAS:従業員数:1,926名(2024年1月1日 現在)
・デロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリー:1,656名(2024年3月28日時点)
②税理士法人やコンサルティングファームが母体のFAS
こちらの分類に当てはまる企業は
・山田コンサルティンググループ
・AGSコンサルティンググループ
・辻・本郷グループ
・南青山アドバイザリーグループ などが当てはまります
国内企業に強いコネクションがあり、顧客からの紹介やヒアリングで案件化をすることが多くあります。
案件規模ではBIG4 FASには見劣りしますが、強みはやはり日本全国の中小企業経営者とのコネクションの強さです。
特に山田コンサルティンググループは、案件実績では国内でも投資銀行やBIG4 FAS、メガバンクをしのぐ評価を得ており、質の高いFAを行っております。
出典:M&A(フィナンシャル・アドバイザー:日本市場版) 2022年Q2 フィナンシャル・アドバイザー
③独立系ブティック FAS
こちらの分類に当てはまる企業は
・プルータスマネジメントアドバイザリー
・フロンティアマネジメント
・マクサス・コーポレートアドバイザリー
・ロングブラックパートナーズ
等が当てはまります。
少数精鋭規模(数十人規模)で、大企業というよりは中小・中堅規模の会社をクライアントとしているところが特長です。
事業再生型(ロングブラックパートナーズ)、M&A型(フロンティアマネジメント)などの企業があります。
FASの業務内容は?
FASの主な業務内容は以下のように分かれます。
・M&Aアドバイザリー
・企業・事業再生
・フォレンジック
・経営戦略
各ポジションについて解説していきます。
M&Aアドバイザリー
FAS業務の中心的業務です。
M&Aアドバイザリーは、M&Aの流れで以下の3つに分かれます。
- M&A戦略立案・構築
- 相手先の選定から初期的交渉
- 基本合意
が当てはまります。
- デューディリジェンス(DD)の実施支援(財務・法務・事業DD)
- 最終交渉
- 最終契約書の締結からクロージング
PMIは細かく分解すると
- 経営統合
- 業務統合
- 社員の意識統合
3段階からなります
DXや組織統合、事業の方向性の策定、会計基準の統一など多岐に渡ります。
企業・事業再生
赤字の企業を以下に黒字転換させて、事業を継続できるかにコミットする企業です。
業務の主な流れは、
フォレンジック
フォレンジックとは、M&A実行時に、買収対象企業による粉飾決算・品質偽装などの不正、贈収賄などの法令違反で、企業価値が喪失するのを避けるため、不正調査・デジタルフォレンジックを行うことです
フォレンジックも
・不正リスク評価
・バックグラウンド調査
・コンプライアンス分析
・デューディリジェンス支援
等に分かれます
経営戦略
大手戦略コンサルティングファームが行うような、M&A戦略立案もFAS内部で行う企業もあります。
自分たちが実施するM&Aに戦略面でも入り込むことで、より精緻で強力なM&A支援が可能になることもありますし、戦略立案だけ行っても、その後のM&Aアドバイザリー案件の受諾に繋がることもあります。
FASの種類
ここでは大きくBIG4 FASと国内中小・独立系FASに分けてお話していきます。
①BIG4 FAS
採用はアナリストレベルや未経験からのチャレンジは30代中盤までが目安となっています。
理由としては、BIG4 FASは母体の監査法人からの異動も活発に行っており、特に若手からシニア層まで、内部での人材の確保が可能という理由があるからです。
BIG4 監査法人は各社会計士だけでも約1,000-3,000人、公認会計士試験合格者を合わせると1,500-4,200人規模もいますので、外からの採用も行いますが監査法人内からの異動も人気であるため、監査法人からの人材の補充はよく行われております。
一方で、BIG4 FASはグローバル展開企業や大企業がクライアントであり、譲渡金額も数千億円規模になることも多く、チーム編成も大規模になり業務面での裁量権は小さくなります。
BIG4 FASはM&A業界では知名度や年収面でも大きいですので、ブランド志向や箔をつけたい方にはおススメです。また、M&Aの一部分の専門性を高めることや、プロフェッショナルになっていきたい方は適しているでしょう。
②国内中小・独立系FAS
BIG4 FASとは異なり、中小中堅企業やIPOを目指しているスタートアップ企業などがクライアントとなってきます。
1件当たりの譲渡金額はBIG4 FASと比較すると小さくなりますが、
チーム編成も比較的少なく一気通貫のM&Aの経験をつけたいかたや、裁量をもったM&Aを行いたい方にはおススメのポジションです。
案件数も多くありますので、案件数を多く積んで実力をつけていきたい若手やM&A未経験社にもおススメです。
コンサルやIBDとの違いは?
改めて、FAS(Financial Advisory Service)について説明させていただくと、
企業の経営企画室や法務・財務・監査室、経営者、金融機関や投資銀行に対して、財務やM&A領域からアドバイザリーサービスを行う企業体のことです。
同じくアドバイザリーサービスを行う企業として
・コンサルティングファーム
・投資銀行や証券部門のIBD
これらのグループがあげられます。
※IBD:Investment Banking Divisionの略
M&Aや資金調達面でアドバイスを行っていく部門です。
外資系投資銀行系
- ゴールドマン・サックス
- モルガン・スタンレー
- BofA
- シティグループ
- UBSグループ
- ドイツ銀行 等
日系投資銀行系
- 野村証券
- SMBC日興証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- みずほ証券
- 大和証券 等
その他独立系ブティック
- フーリハンローキー
- グリーンヒル 等
コンサルティングファームも併せての違いを説明すると、以下のようにまとめられます。
企業グループ | 主な違い |
---|---|
FAS | 会計士を中心とした、財務や法務面のアドバイスやM&Aのスキーム提示など専門性の高いサービスを提供する 「M&A・財務のプロフェッショナル集団」 |
コンサルティングファーム | 企業のM&A戦略や「M&Aを行うべきか行わないべきか」という、企業戦略に関与する戦略コンサルティングファームや、DXやPMIといった領域に幅広く関与するファーム 「M&Aに関しては、戦略的アドバイスのみを行う」 |
IBD | 投資銀行や証券会社に設置された一つの部門資金調達方法のアドバイス(ECMやDCM)、M&Aアドバイザリーを行う 「資金調達を中心としたM&A戦略の立案」 |
FAS業界の給与水準は?
FAS業界は、コンサルティングファームのように職位ごとに給与テーブルが決まっております。
BIG4 FASの給与テーブルの一例は以下です。
基本給 | 賞与 | |
---|---|---|
アソシエイト | 600-700万円 | 100-200万円 |
シニアアソシエイト | 800-900万円 | 200-400万円 |
マネージャー | 1,000-1,200万円 | 300-600万円 |
ディレクター | 1,200-1,500万円 | 400-700万円 |
パートナー | 1,600万円~5,000万円以上 |
一般事業会社よりは高いレベルで給与が提示されます。
職位は人にもよりますが、2-4年で昇格していきます。
職位に応じた年収をもらえるという点で、魅力的なポジションでしょう。
FASは激務?
激務な分類に入ります。
以下のような、ポイントがあげられます。
・月間平均残業時間が50-80時間になることもある
・案件が繁忙の際は、深夜残業・休日出勤の可能性もある
・案件やクライアントの意向にも左右される為、イレギュラー対応も多い
・高い財務会計知識、法務知識、M&Aの深い理解、業界知識を求められ、周囲の人材のレベルも高いため業務についていくことは大変
プロジェクトベースの仕事ですので、イレギュラーな業務が多いことは確かです。
一方で、プロジェクト終了時や、休暇や有給休暇を取るタイミングもあります。
また、各社女性採用を強化する中で、働き方改革も推進しておりますので、以前よりは働きやすい環境が揃っております。
「専門性をより高めたい」「高いレベルの環境に身を置きたい」「激務でよいので、大手企業のような年功序列ではなく、自分に力をつける環境で働きたい」というニーズがある方には適した環境でしょう。
FAS業界の求人例
外資系BIG4 FASの一角
報酬:500-1,600万円+賞与
ポジション:Valuation, Modeling & Economics
株式・事業価値評価、 財務戦略策定支援ビジネス・モデリング業務
報酬:600~1200万円+賞与
ポジション:Corporate Finance
国内外における企業間のM&A(合併、株式交換、会社分割、買収、売却、資本提携)に関するアドバイザリー業務、企業・事業価値評価業務ならびにその他無形資産等の評価業務、ストラクチャリング業務
国内独立系プロフェッショナルファーム
報酬:700~1800万円+賞与
ポジション:プロフェッショナルサービス
事業再生支援(M&A、ターンアラウンドを含む)、コンサル(地方創生)、各種デュー・ディリジェンス対応
国内コンサルティングファーム
報酬:450~1,000万円+賞与
ポジション:コーポレートガバナンス(FAチーム)
役員報酬・コーポレートガバナンス分野におけるコンサルティングサービスの提供
FAS業界の企業一覧
- KPMG FAS
- デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)
- PwC ディールアドバイザリー
- EY ストラテジー・アンド・トランザクション
- AGSコンサルティング
- M&A BASE
- エスネットワークス
- M&Aクラウド
- クレジオパートナーズ
- グローウィンパートナーズ
- コーポレート・アドバイザリーグループ
- タナベグループ
- プルータスコンサルティング
- プルータスマネジメントアドバイザリー
- フロンティア・マネジメント
- マクサスコーポレートアドバイザリー
- ユニヴィスグループ
- ロングブラックパートナーズ
- 山田コンサルティンググループ
- MIT Corporate Advisory Services
- AIBJ
- NEX Consulting
- P&Eディレクション
- SXA
- TOMAコンサルティンググループ
- WARC
- アカツキパートナーズ
- アドバンスド・ビジネス・ダイレクション
- オーナーズ
- グリッドパートナーズ
- たすきコンサルティング
- デロイトトーマツTMAC
- リガーレ
- フーリハンローキー
- 丸の内FAS
- 辻・本郷ビジネスコンサルティング
- 中之島キャピタル
- 太陽グラントソントン・アドバイザーズ
- オーナーズ
- みそうパートナーズ
- ドーガン
- レコフ
- X-border Partners
- 名南M&A など
まとめ
FASの転職市場は活況ですし、将来CFOやスキルを付けてPEファンドを目指したい方、
M&Aやファイナンス領域の専門性をつけたい方にはおススメの業界です。
弊社からも毎月FASへの支援を行っておりますし、FASの人事の方とも毎日レベルでのやり取りがあり、直近の採用状況や求める条件、それに合わせた対策に自信がございます。
ぜひ、弊社に「いったん、話を聞いてみたい。情報を得るだけ」という温度感でも構いません。
お気軽にお問合せくださいませ。
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