「出来事というものは、その人にとって必要なことが起きているのだ」ストライク荒井社長へのインタビュー

今回は、日本で初めてM&Aマッチングサイトを立ち上げられた、株式会社ストライク社長の荒井邦彦さん。公認会計士を経て起業し独立、上場に至るまでのサクセスストーリーついて話を聞きました。(敬称略)

荒井 邦彦|Kunihiko Arai

株式会社ストライク
代表取締役社長

70年千葉県生まれ。一橋大学商学部卒業。93年太田昭和監査法人(現新日本監査法人)入社、株式公開支援、財務デューデリジェンス業務を経験。98年株式会社ストライク設立、現在に至る。

なぜ起業したのか?

会社を立ち上げられた経緯について、お話を聞かせてください。

荒井氏:私は新卒で監査法人に入りました。そこで担当していた非上場のお客さまのM&A案件の財務デューデリジェンスに関わった時に、初めてM&Aディールの成約を目の当たりにする機会がありました。

会社をまるごと売買するという仕事に対し、とても魅力とやりがいを感じ、当時は25歳でしたが「ぜひこのビジネスにチャレンジしたい」と感じました。それが会社を設立する数年前のことです。当時所属していた会社からはかなり引き止められましたが、最終的に28歳の時に退職しました。

個人で手がけられる中小企業に狙いを定め、その際はネットを活用した方が合理的ではないかと考え、ネットを介して会社を売り買いするビジネスを日本で初めて立ち上げました。当時資金が無かったのでHTMLを独学しながら自分でホームページを作り、1998年の10月にホームページを公開しました。

最初に手がけたのは事業承継。2年がかりで成約にこぎ着ける

初めて成約したのはどのような案件でしたか

荒井氏:最初の案件は成約するまで2年以上かかりました。ネット経由で売り手サイドから情報が来たのですが、実はそのオーナーさんは体が不自由で、言葉をうまく話せない状態でした。

その会社は年商数億円程度のビルメンテナンス事業を手がける会社でした。お子さん、社員ともに事業承継の意思がなく、お困りになられていました。初めての案件で2年程度の時間を要しましたが、何とか承継先を見つけることに成功し大変お喜び頂けました。

その企業様との関係は今も続いており、とても思い出深い案件でした。

御社のコンサル組織の体制、組織にフィットする人物像について、どのようにお考えですか

荒井氏:入社したての頃は、営業はできても実務が分からないといった悩みもあると思いますが、専門家によるヘルプデスク的な機能を社内に備えています。会社としても担当者によって品質にばらつきがないようにしています。

ある程度分業ができているので、営業が得意な人は営業に特化できるという面は強みになると思います。当社がコンサルタントに求めるのはやはり行動力です。きれいな会社分析よりもお客さまのところに電話をかけて出向いて、断られてもまた行くというような、本当に泥臭いことをあなたはできますかというところを問います。

性格は人それぞれで、別に性格が大人しくても構いません。淡々とやってくれれば、それでいいと思います。

上司の一言が独立を後押し

ご自身のキャリアを振り返られて、ターニングポイントと言えるものはありましたか。

荒井氏:会社を立ち上げると上司に言ったときには、当時のヘッドが「うちを辞めるのか。いいんじゃないか」と、他の上司が退職を止める中で応援してくれたことでしょうか。

「お前の担当しているベンチャー企業の経営者を見てみろ、経営の知識のないところから創業しているオーナーが多いだろう。お前は会計士だし、多くの会社経営をみてきたのだから君にもできるさ」と背中を押してもらえました。

その後、事業計画の相談にも乗って頂き、実は当社の上場記念パーティーで乾杯の音頭をとって頂いた方がその方です。今でも本当に感謝しています。

今後の事業の方向性についてお聞かせください。

荒井氏:今は事業承継型のM&Aが増えているため、M&Aを行う会社もそれにつれて増えています。本来M&Aは選択と集中、資本の効率性を求めるもので、事業承継型M&Aはニッチマーケットと言えるでしょう。

このため我々でもそこ(事業承継)に注力すれば、十分存在感を出していけるマーケットだと言えます。今後もこのマーケットを伸ばしつつ、スタートアップのM&Aなど顧客ニーズはあるが、マーケットが完成していない領域で存在感を発揮していければと思います。

御社の人材採用について、採用にあたって重視している点を教えてください。

荒井氏:コンサルタントはどうしても歩合制のセールスマンのようになりがちなところがあり、行動の基準がお金だけにならないようにして欲しいと思っています。

経済的に豊かになりたいと思うこと自体は良いことですが、人の役に立ちたいという想いがないとこの仕事は続かないと思います。その観点は是非共有してもらいたい理念です。

私としてはきちっと根底がしっかりしている人を採用したいと考えています。応募者の中には、M&Aと直接関係のない、製薬メーカーやIT業界でコンサルティング営業に従事されている方もおられます。

当社はバックアップ部隊に弁護士・会計士の資格を持っている者が多いので、ある程度ソーシングができてくると、そういう専門家の方のサポートも得ながら成果が出せるようになると思います。理念に共感頂ける方は是非弊社の扉を叩いて頂きたい。

人生には、乗り越えられる苦難しか待ち受けていない

現在、多くの金融・財務系の若手ビジネスパーソンが、弊社にご相談に来られます。最後にそのような方に、若い頃の荒井社長ご自身を振り返って頂き、アドバイスをされるとすればどのような声を掛けられますか。

荒井氏:偉そうに言える立場ではありませんが、会社を始めた頃は子供も生まれたてで、いろいろと気を遣うことが増え、十二指腸潰瘍になってしまいました。その時は大変な苦労だと思えるこも、過ぎてみれば何でもなかった事のように思えます。

出来事というものは、その人にとって必要なことが起きているのだと、ある方から言われました。乗り越えられる事しか起こらないということです。それを聞いて気が楽になりました。

つらいことに直面して落ち込むよりは、むしろ成長のチャンスだと思った方がいい。まず行動することが大事だと思います。結果失敗したとしても、それが財産になるのではないでしょうか。

-つらい経験も、後から振り返れば財産になるということ、若いうちはまず行動してみることが大切だということがよく分かりました。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
(聞き手=堀江大介)

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