【2024年更新】 公認会計士の転職まとめ(年齢別評価、キャリアプラン、求人例、転職先の選定基準、転職失敗例、おすすめのエージェントなど)

監修者

堀江大介

ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
一般社団法人日本プロ経営者協会 代表理事

堀江 大介 | Daisuke Horie

野村證券、ITスタートアップ、コンサルティング業界専門の人材紹介会社を経て、ヤマトヒューマンキャピタル創業。
これまで、同領域に200名以上の方を支援した実績をもつ。
事業承継問題の解決には投資資金に加え「経営人材」を輩出するエコシステムが必要であると考え、一般社団法人日本プロ経営者協会をPEファンドパートナーと共同で設立し、代表理事を務める。

【書籍】
ポストコロナのキャリア戦略 経営×ファイナンスロギカ書房

【保有資格】
証券外務員一種
FP(ファイナンシャルプランナー)2級

目次

はじめに

公認会計士の需要は転職市場において非常に大きく、様々な転職先を選択することができます。

コロナ禍で転職市場全般が落ち込んだ期間であっても会計士は一定以上のニーズがあり影響はほとんど見られなかったといっても過言ではないほどです。

資格取得者のうち全体の約90%以上が以下職種への転職を実現しており他の公的資格のなかでも群を抜いて有利に働く可能性があります。

転職先一例

【事業会社】CEO、CFO、CxO、経営企画、経理、監査
【監査法人】BIG4監査法人、その他独立系中小監査法人
【コンサル】BIG4FAS、その他独立系FAS、戦略コンサルファーム、M&Aブティックファーム
【士業】会計士事務所、税理士法人
【投資系】投資銀行、PEファンド

本記事では公認会計士の転職事情や主な転職先、転職する際に注意したいことなど公認会計士の転職についてまとめて紹介します。

この記事でわかること
  • 公認会計士の転職事情
  • 公認会計士のキャリアプラン
  • 公認会計士の転職先求人例
  • 公認会計士の転職先の選び方

公認会計士の転職事情とは?

公認会計士の需要

転職市場において、公認会計士は転職しやすいキャリアの一つです。

事業会社であれば、会計面での専門知識を有する人材を広く求めており経理/財務ポジションで採用される可能性は非常に高いと言えるでしょう。またCFOポジションにおいてコーポレートファイナンスへの熟知を求められるケースが多く、このスキルを図るひとつの要素に公認会計士の資格があります。

またコンサルファームにおいては、M&Aブティック系はもちろん戦略コンサルタント、実行支援コンサルタントなども非常に有利に働きます。

顧客折衝において公認会計士を有することがイメージアップに繋がり、かつ業務への親和性も非常に高いからです。

ご経験次第では投資銀行やPEファンドへ直接転職も可能でM&Aやコンサル業界のご経験を一段踏むことで更に転職可能性が高まります。

もちろん未経験でチャレンジ可能な求人もありますのでどのようなステップを踏めば投資銀行やPEファンドに転職できるのかご興味ある方は是非弊社へお問い合わせください。

公認会計士はなぜ人気があるのか?

公認会計士は弁護士、医師と並ぶ三大国家資格に挙げられる非常に難易度の高い資格・専門職です。

財務/管理会計論、監査論、企業法など幅広く難易度の高い試験が科せられるため、毎年10%前後の合格率を推移しています。

それでも人気な理由は「非常に高い転職ニーズ」と「高い平均年収」、「専門性の高い業務を経験できる」という3つが挙げられます。

公認会計士は転職先を選びやすい売り手市場であり、年々採用ニーズが高まってくるとともに年収も上がってきており転職先のオファー年収が1000万円を超すケースも珍しくない現況です。

特にM&Aブティックにおいては2000万円を超す年収提示も可能性として出てきています。

業務内容としても非常に専門性が高く、会社運営の中枢を担うケースが多いため、収入だけでなくやりがいを感じやすいのが公認会計士です。

弊社のキャリア支援のポイント
浦田

転職相談頂いた方にはメディア記事では書けない下記情報をお伝えします!

  1. 公認会計士の方が転職可能性のある人気求人をご紹介
    PEファンド、VC、M&A、コンサル、スタートアップ、大手事業会社 etc
  2. 監査法人から上記業界に転職した方の事例や感想をご紹介
  3. 公認会計士が注意すべき面接のポイントをマンツーマン面接対策でお伝えします

☆志望業界に直接転職できない方も、1社挟んで業界にたどり着ける最短ルートを伝授

\転職意思が固まる前の情報収集も歓迎/

20代・30代・40代・50代の年齢別転職市場の評価は?

年齢別の評価と転職のしやすさ

新卒:監査法人への就職が9割 非常に有利に転職できる
20代:非常に有利に転職できる
30代:有利に転職できるが、35歳を超えると何らかの実務経験が必要なケースが増える
40代:何らかの実務経験と管理職経験が必要
50代:何らかの実務経験と管理職経験が必要

公認会計士の転職事情は、年代によって異なります。

転職希望者の年代は30代が一番多く、次に20代、40代以降と続きます。

一般的に「35歳以下を採用したい」求人ニーズを出す企業が多いため「35歳以下であるか」が就職難易度を決定するひとつの要素となり得ます。ただし公認会計士は非常に売り手市場なため、40歳を迎えるまでは選択肢は比較的多いと言えるでしょう。

公認会計士への合格時期やどのような業務経験を行っているかによりますが、20代中盤〜30代前半までは難易度の高い投資銀行、PEファンドへの就職も比較的狙いやすくあります。その他M&Aアドバイザリー(FAS)、M&A仲介、その他コンサルファーム、事業会社経理財務など幅広く選択肢があります。

35歳を超えてくると実行支援コンサル、事業再生、FAS、事業会社経理財務などのポジションが一般的です。これまでFASやコンサルファームでの実務経験があればPEファンドへの転職も可能です。

40歳以上であれば実務経験だけでなく管理職経験を求められるケースが多くなってきます。ポテンシャル採用の求人は稀有なものとなってくるでしょう。この年代の公認会計士は年収が1000万を超えている方が非常に多いため、提示年収が合わなくなることも転職先の選択肢がなくなる要因のひとつです。これまでのマネジメント経験と実務経験を活かし、事業会社のCFOや経理部長などへの転職が一般的です。

公認会計士が転職市場で評価されるポイント・求められる能力は?

公認会計士は登録までに監査法人でファーストキャリアを積むのが一般的です。

そのうえで公認会計士が転職市場で評価されるポイントは以下です。

・豊富な会計知識
・法的要件や規制遵守における知識
・難関国家資格取得者という勤勉さと安心感

大手中小問わず企業運営において法令遵守や税務・会計業務は切っても切り離せない内容であり、公認会計士を有するというアドバンテージが幅広い業界に有利に活きるケースが多いです。

その後どのようなオプションスキルを獲得していくかは「どのようなゴールを見据えるか」によって変わってきます。

後述のよくあるキャリアプランに一例を記載していますので参考にしてください。

公認会計士の主な転職先と求人例は?

公認会計士は転職先の選択肢が多く、高待遇であることが特徴です。

独占業務である監査法人をはじめ、アドバイザリーファームや事業会社など、前職の経験や専門スキルに応じてキャリアを選ぶことができます。

公認会計士の主な転職先や求人例を見ていきましょう。

事業会社(経営企画/M&A)

大手事業会社やスタートアップの経営企画ポジションは会計士に人気の職種の一つです。
会計バックグラウンドを活かして未経験からM&A担当業務に従事できるケースもあります。

東証プライム上場のHRメガベンチャー

報酬:1200万円~1500万円

ポジション:経営企画

業務内容

・担当事業・グループ会社の課題整理
・事業改革・業務改善の企画・推進
└場合により外部コンサル会社と協力のうえ、担当領域の事業企画・推進を担当。
・海外子会社・投資案件の管理・対応
・PMO業務(担当事業・グループ会社によるプロジェクト管理業務の支援)

事業会社(経理/財務部)

事業会社の経理/財務部は、ワークライフバランスを重視して働きたい方へおすすめのポジションです。
これまで培ってきた会計知識だけでなく、税務や予算編成などさまざまな経験を積むことができます。
ゆくゆくは経理部長やCFOを目指すこともでき、バランスのよいポジションと言えます。

リース業をはじめ銀行やクレジットなどの金融サービスを展開する日系大手企業

報酬:アソシエイトクラス(500万円~900万円)マネージャークラス(1,000万円~1,200万円)

ポジション:経理/財務

業務内容

・グループ経理:決算、税務
・事業経理:M&A案件事前対応、グループ会社指導/支援/管理、部門支援
・グループ経理統括:会計処理の統括/管理、経理ガバナンス

ベンチャー企業CFO

IPOを目指すベンチャー企業のCFOは給与だけでなくストックオプション付与の可能性もあり、上場した際に大きなバックを得ることができる人気ポジションです。

数年以内にIPOを目指すIT系スタートアップベンチャー

報酬:1,000〜2,000万円程度+SO付与

ポジション:CFOポジション

業務内容

・上場に向けた一連のCFO関連業務
・金融機関との折衝
・資金調達
・社内の管理体制の強化 

PEファンド

PEファンドは近年希望する方が急増している人気の転職先です。

特にEXITボーナスが非常に大きく、ファンドによって大きく差はありますが、数千万円以上を期待できるケースもあり、「年収1億円」も夢ではない業界です。

国内未公開スモール~ミッドマーケットへのバイアウトファンド

報酬:1000万円~2000万円+EXITボーナス

ポジション:アナリスト/アソシエイト

業務内容

・新規投資の初期検討(分析、ドキュメント)
・投資先へのハンズオンコンサル業務
・LPへのプレゼン等

VC(ベンチャーキャピタル)

スタートアップの経営支援への関心からVCを志望される方も多いでしょう。

特にSaaS系スタートアップへ投資するVCは多く、新しいITプロダクトへ強い興味を持たれるならばVCが魅力的に感じるはずです。

自らもSaaSプロダクトを持つSaaSに特化したVC

報酬:800~1,500万円

ポジション:キャピタリスト

業務内容

・SaaSリサーチ業務(国内外の企業同行をリサーチしレポート作成)
・投資業務(ソーシング、DD、投資実行、投資先支援)
・SaaS事業立ち上げ

戦略系コンサルティングファーム

戦略コンサルはファンド、VC、CFO、その他コンサルと次のキャリアアップに隙がない転職先です。非常に難易度は高い傾向にありますが、近年では少しハードルが下がり目指す方も増えている印象です。

世界最高峰の経営戦略に特化したコンサルティングファーム

報酬:
アソシエイト(1年目):700~750万円
シニアアソシエイト(2年目~):約800万円
コンサルタント(3~5年):約1500万円
プロジェクト・リーダー(実力次第):約2100~2600万円
プリンシパル 実力次第 2500~3000万円~

ポジション:コンサルタントポジション、経営戦略コンサルタント

業務内容

・事業・マーケティング・新規事業・財務など各種戦略立案や実行
・中長期経営計画/バリューマネジメント
・ポートフォリオ改革/商品開発/営業力強化
・M&A/組織改変 など

事業再生、実行支援コンサルタント

財務と事業双方のスキルをバランスよく高めることができ、経営の現場を手触り感をもって経験できる事業再生、実行支援コンサルタントは会計士にとって魅力的なキャリアの一つと言えます。

CFOやファンドへのキャリアを目指す場合、PMI能力が求められるためその経験を培うために同ポジションを目指す方も多いです。

日本を代表する事業再生ファーム

報酬:600万円~1000万円

ポジション:事業再生コンサルタント

業務内容

・事業再生・経営改善支援業務
・事業再生局面におけるM&Aアドバイザリー業務
・事業成長支援・事業承継支援業務

経営者の視点で企業の持続的成長を支援する会計・財務・税務のプロフェッショナル集団

報酬:800万円~1500万円

ポジション:経営実行支援コンサルタント

業務内容

・担当領域に関する問題分析(各種資料の閲覧、データ分析、インタビュー等) 
・抽出課題に対する解決策の検討 
・各種成果物作成 
・クライアント側メンバーを巻き込み、解決策の実行

M&Aブティック

M&A業界はコーポレートファイナンススキルを身に着けつつ、高い報酬を得られる会計士に非常におすすめなキャリアです。主にM&A仲介とFAやバリュエーションを手掛けるコンサルファームに区別され、前者は数千万円以上の報酬を、後者は高い専門性の習得に期待ができます。非常にプレーヤーが増えている同業界ですが、日本における事業承継問題は深刻化しており、深い会計知識をもつ公認会計士は顧客にとっても頼りになるビジネスパートナーとなり得ます。

日本トップクラスの年収を誇るM&A仲介企業

報酬:420万円+インセンティブ ※平均年収3000万円Over

ポジション:M&Aアドバイザー

業務内容

・譲渡企業の発掘(ソーシング)
DMの送付、テレアポ、譲渡企業との選任契約の締結、企業概要書の作成…など
・譲受企業とのマッチング(エグゼキューション)
譲受企業への打診、Top面談の開催、QA対応…など 
・譲渡契約の締結(クロージング)
交渉条件の調整、契約書の作成、調印式の実施…など

会計系アドバイザリーファームのリーディングカンパニー

報酬:500万~1000万円

業務内容

・ M&Aに関するアドバイザリー業務
・企業・事業価値評価業務
・動産・無形資産等の評価業務
・M&Aに係るストラクチャリング業務
・財務モデリング業務

投資銀行(IBD)

監査経験のみの公認会計士が外資系投資銀行へ直接転職することは一般的に難易度が高い傾向にあります。ただし日系投資銀行であればタイミング次第で未経験可の募集もあり、大きなディールを経験したい方にはオススメです。

ネット証券トップクラスの規模を誇る国内証券会社の投資銀行部

報酬:400万円~2000万円

ポジション:投資銀行部門 未経験者採用

業務内容

以下いずれかのポジションに配属
・投資銀行部(上場企業担当):上場企業を中心としたカバレッジ業務
・企業金融部(未上場企業担当):未上場企業(IPO志向企業)を中心としたカバレッジ業務
・M&Aアドバイザリー部:M&A、アドバイザリープロダクトのオリジネーション、エクセキューション業務
・投資銀行調査室:IPO志向企業を中心とした企業価値算定業務
・公開引受部:IPO志向企業に対する上場指導、アドバイザリー業務
・ECM部:エクイティファイナンスプロダクトのオリジネーション、エクセキューション、シンジケーション業務
・DCM部:デットファイナンスプロダクトのオリジネーション、エクセキューション、シンジケーション業務
・投資銀行戦略部:投資銀行部門の企画、管理、個別案件サポート業務

公認会計士のよくあるキャリアプラン

公認会計士のキャリアプランは大きく以下に区別されます。

もちろん経験や志向性によってこの限りではありませんが、資格を有効的に活用するならばほとんどの公認会計士が以下のキャリアを選択していると言えます。

監査法人への転職もしくはキャリアアップ

監査法人へ出戻り転職をするor新卒入社のままパートナー職位をめざすケースです。

英語能力・税務スキル・ITスキル・マネジメントスキルなどを身につけることによって業務の幅が広がっていきます。

特に現代社会においてIT監査は非常に重要な業務なため、この分野に特化したスキルを身につけることで転職市場において有利に働きます。

BIG4監査法人のパートナーまで上り詰めることができれば1500万円以上の年収にも期待できます。

独立・開業を目指す

会計事務所や税理士法人、コンサルファームへのセカンドステップを挟み、中小企業向けの税務や経営全般のコンサルティング能力を身につけることができれば独立や開業が具体化していきます。

特にファーストキャリアの監査法人は大手企業向けの業務であることが一般的なため、中小企業に向けた業務経験を培うことが肝要です。

投資銀行・PEファンドへの転職

M&Aブティックや戦略コンサル、事業再生・実行支援コンサルなどで「M&Aの経験・大企業及び中小企業向けのコンサル実務経験」を身につけることで道が開けていきます。

20代であれば未経験採用を行っている日系IBDやファンドも存在しますが、狭き門です。

M&Aブティックではエグゼキューション業務において会計士や監査法人の経験が活き、コーポレートファイナンス全般を学ぶことができるため投資銀行やPEファンドへの転職において有利に働きます。

コンサルファームにおける実務経験は特にPEファンドへの転職を希望する方におすすめで

事業再生や実行支援コンサルなどで培った企業へのバリューアップ経験はそのままPEファンドの投資実行後の業務フローに通じる部分が多くあります。

事業会社CFOへの転職

コンサルファームやM&AブティックでM&Aやバリューアップを経験することで目指せるようになります。

特に「攻めのCFO」を採用したい企業ニーズは増えています。「攻めのCFO」とは資金調達やM&Aを通じて会社全体のバリューアップを図るような業務をメインとします。

上場企業の経営企画室やCFOは「いかにM&Aで会社を成長させるか」というテーマで動く場合が増えてきており、特にM&A業界での経験は有利に働くケースが多いでしょう。

ファンド投資先CxOへの転職

PEファンドが投資実行した会社へCEO、CFOのポジションで転職を目指す方も増えています。プロ経営者としてのキャリアプランになり、複数の企業のバリューアップを図りながらイクジットボーナスを狙っていくポジションです。

基本的には事業再生・実行支援コンサルなどで手触り感のある業務を経験するか、戦略コンサルなどで企業全体のマネージを経験していれば目指せるようになってきます。

戦略コンサルへの転職

多くはありませんが、戦略コンサルを転職先に選ぶ方もいます。

最終キャリアまで戦略コンサルにいらっしゃる方は少数派なため、

次なるキャリアとしてファンド、プロ経営者、その他コンサルファームなどを選ぶ場合が大半です。

事業再生・実行支援コンサルへの転職

手触り感のある業務が行いたいならコンサルファームへの転職がおすすめです。

将来的に独立したい方やファンドを目指す方にもおすすめできる職種で、企業経営全般を現場で経験することができ経営のスペシャリストとして活躍できるようになります。

経験や年齢にもよりますが、公認会計士の有資格者であれば未経験でも採用確度は高く年収も1000万を超えるケースが散見されるため、バランスの取れたキャリアプランです。

M&Aブティックへの転職

FASやM&A仲介を生業とする会社へ転職するのも近年オススメのキャリアプランです。

特に日本は経営者の高齢化が非常に深刻で、事業承継問題が社会問題化しています。

FASなら高い専門性を、M&A仲介であれば高い報酬に期待ができます。

上場しているM&A仲介企業などは特に公認会計士を積極採用しており、年収1億円プレーヤーも視野に入ってきます。

ゆくゆくはCFO、ファンドへの転職を視野に入れつつセカンドキャリアとして目指すこともオススメです。

事業会社経理財務への転職

一般的に30代前半までであれば比較的容易に転職できます。

上述のポジションと比較すると年収待遇は抑えめですが、ワークライフバランスを重視しつつ自身のペースで業務できる点が非常に魅力的なキャリアプランです。経理財務ポジションを若いうちに経験していれば守り側の事業会社CFOやFASへのキャリアチェンジも可能です。

公認会計士の給与水準

当たり前ですが企業によって大きな差異があるため、あくまで参考程度ですが以下のような給与水準になっている場合があります。

BIG4監査法人

アソシエイト:500万円前後
シニアアソシエイト:600万円~700万円
マネージャー:800万円~1000万円
ディレクター:1000万円~1500万円
パートナー:1500万円~2500万円

BIG4FAS

アソシエイト:700万円~900万円
シニアアソシエイト:900万円~1400万円
マネージャー:1300万円~1800万円
ディレクター:1600万円~2200万円
パートナー:2000万円以上

日系投資銀行

※企業により大きな差異あり

アソシエイト:1000万円~1500万円
VP:1500万円~2000万円
ディレクター:2000万円~3000万円
MD:3000万円以上

戦略コンサル

アソシエイト:900万円~1300万円
マネージャー:1300万円~2000万円
パートナー:3000万円以上

事業再生・実行支援コンサル

コンサルタント~シニア:700万円~1000万円
マネージャー~シニア:1000万円~1900万円
ディレクター:1800万円以上
プリンシパル:2500万円以上

M&A仲介

約500万円~1000万円+インセンティブ(数千万円)
※上場大手企業だと20代でも平均2000万Over

CFO

大手企業:2500万円~5000万円
中小企業:1500万円~2500万円
スタートアップ:800万円~1500万円+SO

社会人で公認会計士の資格を取得!未経験からの公認会計士への転職

公認会計士は非常に難易度の高い資格ですが、専門的知識を習得できハイキャリア転職を実現できるようになるため、社会人でも継続して資格取得を目指し転職される方はいらっしゃいます。

とはいえ「一旦社会人になった今からでも公認会計士の資格を取得し、業界へのチャレンジは可能なのか」は非常に気になるところかと思います。

社会人で公認会計士の資格を取得した場合、年齢や経験次第で資格取得後の転職難易度が変わってきますが、売り手市場の現在、就職先に大きく困ることはないでしょう。

20代の場合は経験問わず比較的容易に監査法人、会計事務所、事業会社経理などへの転職が可能です。

30代は難易度は上がるものの、これまでのビジネス経験次第で採用の可能性は存分にありえます。ご自身のセールスポイントを押さえて転職活動を行う必要があるため、転職エージェントへ相談することをおすすめします。

公認会計士は最強の資格?社会人からでも資格取得を目指すべき人の特徴は?

公認会計士を目指す社会人は増加傾向にあります。全体合格率約10%に対して、社会人からの合格率は約5%と低く、働きながら勉強することは時間的制約から学生よりも確かに不利になります。とはいえ5%と聞くと非常に難しく感じますが、逆に言えば20人に一人は合格している計算になりますので、しっかりと計画を立ててコツコツと勉強すれば目指せない資格ではありません。

公認会計士のメリットとして以下がありますが、こちらに魅力を感じる方は資格取得を目指してみるのも手です。

・安定した高い報酬を得られる
・景気に左右されにくい安定した就業が期待できる
・大手企業の監査やコンサルなどレベルの高い業務を行うためやりがい抜群
・医師免許や弁護士免許と同等ランクの社会的信用度の高い資格
・経験次第で将来的に独立開業しやすい
・ネームバリューのある大手監査法人や誰もが知る大企業への転職チャレンジができる

公認会計士でも転職に失敗する?

一般的な転職と同じく、公認会計士の転職でも失敗例はあります。

転職に失敗しないためには、実際にあった失敗例を把握し、同じような失敗をしないように対策を立てるとよいでしょう。

よくある失敗には、求人票に書かれているのと実際の業務内容が違った期待していたようなスキルが積めなかったなどがあげられます。

どのような失敗例があるのか、具体的に見てみましょう。

転職の失敗例とは?

安易に転職を決めてしまう

公認会計士は転職ハードルが低いため、安易に転職してミスマッチを起こし短期離職を繰り返してしまうケースがあります。

1社だけで決めるのでなく、複数社を比較検討しながら慎重に決めることを視野に入れましょう。

社風に馴染めない

監査法人は近年リモートワークの導入などで比較的自由な風土があります。

そういった環境から事業会社へ転職すると社内規則や古い慣習などに馴染めず監査法人に出戻りしてしまうケースがあります。

専門外の雑務やレベルの低い業務が多い

いくら会計士とはいえ、いち従業員のため自身の業務に関係のない広範な雑務を任される可能性があります。

事業会社への転職の場合、会計の専門家が自身ひとりしかいない場合も多いため任される業務のレベルが低くやりがいを感じない&思うようなスキルを習得できないといった声もあります。

想定よりも給与が低い

監査法人は一般的な事業会社よりも年収が高いため、転職先によっては年収が低いことを理由に失敗したと感じる人もいるでしょう。

転職に失敗しないための対策とは?

転職に失敗しないためには、以下が重要です。

・転職先の業務内容や実際に携わる仕事をよくリサーチする
・どのような選択肢があるのか詳しく調べる、もしくは相談する
・将来的なゴールを設定してキャリアプランを設計する
・信頼できる転職エージェントへ相談し、失敗しないノウハウや成功パターンを把握する

特に将来的なキャリアのゴールを設定し、次の転職先を決定することがおすすめです。

弊社ではそのような転職の方法を「トランジット型転職」と定義しています。
※トランジットとは:航空機がフライトの際に必要な燃料などを経由地で補給するために一次着陸すること

最終的なキャリアゴールについて

・業界をどこに設定するか(PEファンド、コンサル、スタートアップなど)
・どのような働き方をめざすか(経営者・プロフェッショナルキャリア・独立起業・管理職など)

上記をイメージし、自身に足りない経験スキルを身につけるための転職と割り切って活動することで失敗リスクのない転職が実現できます。

詳しくは是非お問い合わせください。

公認会計士の転職成功事例

スーパーゼネコン経理→事業再生ファーム→スタートアップCFO

1社目年収:600万円▶2社目年収:900万円▶3社目年収:1500万円+SO

スーパーゼネコンの支店経理を行ううちにスキル停滞と将来的なキャリアに不安を感じUSCPA(米国公認会計士)を社会人から勉強して取得。将来的にスタートアップのCFOを目指すため、まずは手触り感のある事業再生ファームにて経験と知識を習得したのちにCFOへ就業。

中堅監査法人→BIG4FAS→PEファンド

1社目年収:500万円▶2社目年収:700万円▶3社目年収:1800万円+Exitボーナス

大学在学中に公認会計士を取得したのちに中堅監査法人へ就業。PEファンドの監査を担当することとなり同業界へのチャレンジを決意。
まずは足りないスキルを身につけるため、BIG4FASに就業しバリュエーション、財務DD、モデリングを経験。のちに経験を活かしてPEファンドへ就業。

BIG4監査法人→実行支援コンサルファーム→ファンド投資先CEO

1社目年収:600万円▶2社目年収:1200万円▶3社目年収:2000万円+Exitボーナス

大学在学中に公認会計士を取得しBIG4監査法人へ就職。
いつか起業するために現場での経営経験や知識を身につけるためハンズオン型コンサルファームへ就業。ゼロから事業を立ち上げるよりもすでにある企業のバリューアップに価値を見出し、ファンド投資先CEOとして従事。

公認会計士が転職するときに注意したいこととは?

前述の通り公認会計士は転職のハードルが低い分、安易に転職を行うと大きなミスマッチを起こし、いたずらに転職回数を増やしてしまうことは特に注意が必要です。

最強クラスの資格取得者だからこそ原点に立ち返り情報収集を行い自身の志向性を模索し、どのようなキャリアパターンがあるのかイメージすることが肝要です。

特に目指す業界次第では、経験すべき業務が180度変わってくるため、業界に強い専門の転職エージェントを選ぶことをおすすめします。

公認会計士の転職先の選び方

以下のような要素からご自身の志向性を把握し、転職先の情報を収集していきましょう。

ワークライフバランス重視

高い報酬が得られる公認会計士ですが、反面残業なども多いです。
年齢を重ねてくると収入よりもワークライフバランスを重視される方が増える印象です。
そのような方には以下業界がおすすめです。

・大手事業会社経理、内部監査
・中小監査法人
・会計事務所、税理士法人

年収重視

年収2000万を超えるような高待遇を重視するためには、公認会計士の資格だけでは不十分です。前述の通りゴールを設定し、「自身になにが足りないのか」を考えて就職するとうまくいく可能性があがります。
年収重視派には以下のような業界がおすすめです。

・PEファンド、VC
・戦略コンサル
・事業会社CEO、CFO
・BIG4監査法人、FASのパートナー職位
・独立、起業

やりがい重視

どのような業務にやりがいを感じるか、自身の志向性の棚卸しがまずは重要です。

手触り感のある業務が行いたいのか、なるべく社会的インパクトの大きい業務がしたいのか、知的好奇心を満たしたいのか、しっかりと見極めましょう。

志向性次第ですが、やりがいを重視する場合は以下がおすすめです。

・戦略コンサル
・事業再生、実行支援コンサル
・PEファンド、VC
・FAS
・M&A業界 

短答試験合格者や科目合格者の転職における評価は?

一般的に公認会計士の試験合格者とは「論文式試験合格者」を指しています。

正確には実務要件を満たす→補修所へ行き単位取得→修了考査試験合格というステップを踏んで晴れて公認会計士となります。

短答試験合格のみや論文式試験科目合格だけだと公認会計士とはみなされないため、比較的選べる選択肢は狭まってくると言えるでしょう。

ただし希望する業界や職種によっては基礎的な会計知識や素養があると判断し、ポテンシャル採用をいただける企業も十分考えられます。

勉強に集中して一気に論文式試験合格まで駆け抜けるほうがオススメではありますが、勉強時間を比較的割くことのできるワークライフバランスが整った会社であれば短答式合格や論文式試験科目合格のみでも、ひとまず実務経験を積むために就業することも一つの手です。

まとめ

公認会計士は転職に非常に強い資格であるため、手に職をつけたい、勉強が苦にならない、高待遇の報酬を得たいという志向性をお持ちであるならば是非受験をご検討ください。

一方で簡単にネット上から情報を収集できる現代社会は、情報量が多く正しい情報の取捨選択ができず、公認会計士とはいえ転職失敗を招きかねません。

どのようなキャリアのゴールを見据えるのか、自身にどのような選択肢があるのか、何を重要視して転職活動するのか、包括的に見極めて活動する必要があります。

ひとりでの活動だと限界があるかと思いますので、業界に強い専門エージェントを利用して効率的な就職活動を行っていきましょう。

弊社のキャリア支援のポイント
浦田

転職相談頂いた方にはメディア記事では書けない下記情報をお伝えします!

  1. 公認会計士の方が転職可能性のある人気求人をご紹介
    PEファンド、VC、M&A、コンサル、スタートアップ、大手事業会社 etc
  2. 監査法人から上記業界に転職した方の事例や感想をご紹介
  3. 公認会計士が注意すべき面接のポイントをマンツーマン面接対策でお伝えします

☆志望業界に直接転職できない方も、1社挟んで業界にたどり着ける最短ルートを伝授

\転職意思が固まる前の情報収集も歓迎/

執筆者

編集者

浦田 充 | Mitsuru Urata

大学卒業後、ITコンサルティング営業に従事した後、大手人材紹介会社へ転職。コンサルタントとして最優秀賞をはじめ、多くの表彰を受賞。後に、新規事業開発や大規模拠点のマネジメント及び人事に携わる中で、「経営層やマネジメント人材」の採用・転職支援への関心が高まり弊社にジョイン。
経営人材の輩出を通じて日本経済の成長に貢献することを目標とする。

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