年収3,000万円を捨ててどこへ向かう?M&A仲介トップランナーが明かす「ネクストキャリアの真実と選択肢」

※本記事は2025年3月19日のキャリナー動画「M&A仲介後のキャリア選択肢。業界経験者が語る転職後のメリットデメリットとは!?」を記事化した内容となります。

高収入・高成長環境として圧倒的な人気を誇る「M&A仲介業界」。
しかし近年、若くして成果を上げたコンサルタントたちが、次のキャリアへと踏み出すケースが増加しています。
彼らはなぜ年収数千万円のポジションを離れ、どのような道を選ぶのでしょうか?

本記事では、業界経験者3名と専門家を招き、データと本音で「ポストM&A仲介の全貌」を徹底解剖します。

〈番組紹介〉
業界経験者が語る、M&A仲介後のキャリア選択肢を深掘り!

〈出演者〉
原 大輝(元M&Aキャピタルパートナーズ 現ダイエーホームCEO)
岡部 祐太(元日本M&Aセンター 現フリーコンサルタント) 
山田 留唯(元日本M&Aセンター 現グッドパッチ) 
奥井 奈々(アナウンサー)
堀江 大介(ヤマトヒューマンキャピタル)

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データを分析!M&A仲介経験者の「その後のリアルな進路」

奥井 奈々(MC):皆さんこんにちは、MCの奥井です。本日は「ポストM&A仲介キャリア」をテーマに深掘りしていきます。そして一緒に進行してくださるのが、ヤマトヒューマンキャピタルの堀江 大介さんです。堀江さん、今回のテーマを取り上げる背景について教えてください。

堀江 大介:はい。M&A仲介コンサルタントはここ数年すごく人気の職種になり、優秀な人材が一気に集まりました。一方で「仲介に行ったはいいが、その後のキャリアにはどんな可能性があるのか」という相談が急増しています。まずは実際の転職データを見てみましょう。

転職先で最も多いのは「同業・独立」?驚きのデータ内訳

堀江 大介:M&A仲介業界からの転職先データを集計した実態スライドをご覧ください。M&A仲介業界全体(新卒・中途含む)では年間およそ700名〜最大1,000名ほどの採用が行われていますが、そこからの転職先として最も多いのは約3分の2(約66%)を占める「同業転職・独立」です。次いで「FA・FAS業務」が約2割。一方で、事業会社M&A担当、経営コンサル、個人M&A、PEファンドなどは、まだ数名レベルの非常に稀な事例となっています。

奥井 奈々:同業や独立が圧倒的に多いんですね。ゲストの皆さん、このデータをご覧になって率直な印象はいかがですか?

岡部 祐太(元日本M&Aセンター 現フリーコンサルタント):経営コンサルに行く人がこんなに少ないのかと驚きました。もう少し多くてもいいのかなと思いますね。

堀江 大介:戦略コンサル等は学歴フィルターがある場合も多く、学歴以外の営業力等で勝負してきた若手が中小企業向けコンサルに転職しようとすると、年収が激減してしまうというギャップ構造があるため、実際に行ける人が少ないという背景があります。

原 大輝(元M&Aキャピタルパートナーズ 現ダイエーホームCEO):私の周りもほぼ100%「独立」ですね。仲の良いメンバーで会社を立ち上げるか、先輩の独立についていくケースばかりで、大手が分裂して中小ブティックが乱立しているのが現状です。個人の力で稼げるノウハウがつく証拠でもあります。

山田 留唯(元日本M&Aセンター 現グッドパッチ):僕の周りでも、事業会社のM&A担当に行った人は1人もいませんね。同業独立を目指す気概を持った人が多い印象です。

年収数千万円の世界からなぜ離れた?M&A仲介を辞めた「本当の理由」

奥井 奈々:では、皆さんがなぜ高収入が得られるM&A仲介業界を離れる決断をしたのか、それぞれの理由をお聞きしていきます。

【事業会社M&Aへ】アドバイザーではなく「当事者」として案件に向き合う限界(山田氏)

山田 留唯:私のフリップは「M&Aを極めたい」です。新卒で入社し、23歳〜28歳くらいの事業経験がない若手が、百戦錬磨のオーナー経営者や大企業役員にアドバイスをすることへの限界を痛感しました。仲介はどうしても営業的側面が強く、売買成立のためにすべての材料をポジティブに見せて「シナジーがあります」と提案しがちです。「真の当事者(買主)としてリスクも背負いながらM&Aに向き合いたい」と考え、グッドパッチのM&A担当へ転職しました。

【個人M&Aへ】会社の看板を借りず「自分の力」で勝負したい(原氏)

原 大輝(元M&Aキャピタルパートナーズ 現ダイエーホームCEO):私のフリップは「看板を借りず自分の力を試したい」です。売上全社1位というトップ成績を収めましたが、「どんだけ売上を上げても一番すごいのは会社の看板だ」という思いが拭えませんでした。1番になれたタイミングで辞め、個人で企業を買収して経営者になる道を選びました。直近の10月1日にも九州の会社をもう1社買収したばかりです。仲介を経験しているからこそ、仲介会社のポジティブな提案を鵜呑みにせず、冷徹なDD目線で物件を精査できています。

【経営コンサルへ】営業支援から「真の経営キャリア」へ近づくために(岡部氏)

岡部 祐太:私は「経営キャリアに近づくため」です。仲介の仕事は営業職の中で言えば最も経営に近い知識や話題を扱いますが、本質的には「契約を決めるための営業支援」であり、経営そのものとは異なります。当事者またはハンズオンの支援者として経営の真ん中に立つため、コンサルファームへの転職を選びました。

なお、仲介の離職率が高い理由は「仕事を通じて経営の面白さが見えるため起業・経営をしたくなる」ことと、「そもそも就職時から独立志向・キャリア志向が極めて強い人間が集まっている」からです。日本M&Aセンターの新卒同期15名も、全員「将来ビッグになって独立する」という気概でした。

転職後の「光と影」——年収ダウンの激震と手に入れたスキル

奥井 奈々:続いてのテーマは「転職先の職種を選んで良かったこと、逆に悪かったこと」です。年収やスキルの変化について切り込んでいきます。

年収は4分の1に急激ダウンも「経営の戦略思考」を獲得(岡部氏)

岡部 祐太:仲介時代は最終的に年収3,000万〜4,000万円ほど稼いでいたため、コンサル転職で収入が約4分の1に下がったのが最大のデメリットでした。しかし良かった点として、ビジネスDD、PMI、営業改革といったハードスキルを上場企業社長やファンド向けに実践できたことです。仲介は「契約を決める前提」で動きますが、コンサルでは「そもそもディールを実行すべきか否か」を客観的・戦略的に判断する思考力が養われました。

買手当事者になって見えた「リスクと粉飾事業計画」(山田氏)

山田 留唯:買主の立場になり、のれん減損リスクや売り手側が提出してくる強烈な事業計画の実現可能性を、ポジティブ・ネガティブ双方から精査する視点が身につきました。私の実家は焼肉店を営んでおり、将来2代目社長として事業を継ぐためにも、仲介から一度当事者として経営観点を挟むプロセスは不可欠だったと感じています。

「すべて自分次第」の自由と「失敗したらすべてを失う」連帯保証リスク(原氏)

原 大輝:オーナー経営者の良い点は「すべて自分次第」なことです。拠点の開設(昨年も札幌支店を開設)も給与・歩合決定もすべて自分の決断で動かせます。悪い点は「失敗したらすべてを失う」こと。銀行融資の個人連帯保証を負うため、一発の判断ミスや社員の大きな損害事故で何千万円・何億円という負債を抱え、即退場になる恐ろしさと背中合わせです。

【視聴者Q&A】M&A仲介からの起業は成功するのか?

堀江 大介:視聴者から「M&A仲介から別事業で成功する起業家は生まれるか?」という質問が来ています。

岡部 祐太:仲介スキルだけ(営業のみ)で別事業を立ち上げるのは厳しい面もあります。営業以外の経営要素を足していく必要があるでしょう。

原 大輝:私は十分いけると思います。仲介で活躍できる人はビジネススキルが高く、新規営業の熱量や泥臭い修正能力があるため、何をやっても成功しやすいです。

山田 留唯:僕も同感です。何百社もの企業の内情を見て「どの業界のどんなモデルが儲かるか」を熟知しており、業界ネットワークも活かせるため、起業の種を作りやすい環境だと思います。

外に出て初めて分かった「M&A仲介キャリア」の強みと弱み

奥井 奈々:次のテーマは「M&A仲介を離れて分かった、M&A仲介キャリアのいいところ・悪いところ」です。

営業の総合格闘技としての強みと、20代で「調子に乗りがち」な罠(原氏・山田氏)

原 大輝:M&A仲介は「営業の総合格闘技」です。1日100〜200件のテレアポから始まり、超優秀なオーナー経営者の懐に入る営業力、財務分析、多種多様な利害関係者の調整力まで全方位の能力が鍛えられます。これらを経験すれば、経営者になってからの社内調整や数字把握は格段に楽に感じます。

山田 留唯:良い点は「人生の目標となる素晴らしい経営者に出会えること」。悪い点は「調子に乗りがち」なことです。新卒2〜3年目で年収1,000万〜3,000万円を稼ぐと、銀座あたりで「自分はすごいんだ」と錯覚しがちです。しかし後から振り返ると、会社の整った仕組みや先輩方のアシストのおかげであったと気づかされました。

明快な成果主義の裏にある「スキルの偏り」という罠(岡部氏)

岡部 祐太:仲介の良さは個人の成績が明快に出る点です。しかし「スキルの偏り」には注意が必要です。仲介特有の営業インセンティブ構造ややり方をそのまま製造業などの他業種に持ち込むと、生産現場の組織や人事評価とズレが生じて失敗します。他業界に出て初めて、仲介特有の前提条件に気づかされました。

年収とキャリアの相関図——ポストM&A仲介のマップと年収水準

堀江 大介:M&A仲介からのネクストキャリアと年収構造を整理します。アドバイザー側(仲介、FAS、投資銀行)と経営主体側(事業会社、ファンド、個人経営)で分かれます。

FAS・コンサル・投資銀行・PEファンド・事業会社の年収レンジ構造

堀江 大介:仲介は成果報酬型で年収数千万円〜1億円も可能ですが、固定給は控えめです。一方、コンサルやFASは職位(役職)ごとの固定給ベースで年収が上がります。投資銀行やPEファンドは激しいインセンティブやキャリー(キャピタルゲインの分配)が存在し、ディレクター以上で数千万円〜数億円規模になります。

【視聴者Q&A】事業会社M&A担当への転職の現実と求められるスキル

奥井 奈々:「事業会社のM&A担当への転職は現実的か?求められるスキルは?」という質問が届いています。

山田 留唯:非常に現実的で求人も増えています。求められる最大のスキルは「ソーシング(買収対象の発掘・アプローチ・打診)」です。財務分析などは外部プロに委託できるため、ターゲットを泥臭く見つけて話を取りまとめる力が評価されます。年収は下がりますが、将来経営を目指す上での価値あるステップになります。

【BMA決定】経験者が語る「現職の最大の魅力」とは?

奥井 奈々:最後のコーナーです。視聴者のモチベーションを最も高めた登壇者に贈る「ベストモチベーティングアワード(BMA)」を視聴者投票で決定します。一言ずつ現職の魅力をフリップで発表してください。

オーナー経営者の圧倒的成果(原氏)&  事業会社におけるM&Aの再定義(山田氏)

原 大輝:フリップは「自由」です。自分が下した意思決定で成果が出れば「100%自分のおかげ」と言い切れる。本当の力を試したい人にとってオーナー経営者は最高の環境です。

山田 留唯:フリップは「M&Aの価値を再確認」です。グッドパッチで次の成長戦略を描く中でM&Aの重要性を痛感しており、事業会社の中で当事者として貢献できる喜びを感じています。

【BMA受賞】年間2,000〜3,000万円を稼ぎつつ家族と過ごす「理想の自由」(岡部氏)

岡部 祐太:フリップは「自由」です。フリーコンサルとして稼働を抑えても年間2,000万〜3,000万円を稼ぎつつ、家族との時間を大切にしながら優秀な方々と知的な仕事ができる。自分にとっての理想の自由を実現できています。

奥井 奈々:投票の結果、BMAは2番の岡部祐太さんに決定いたしました!おめでとうございます!

岡部 祐太:ありがとうございます!多様な選択肢が存在すること自体がこのキャリアの魅力です。優秀な人材がさらに参入し、業界全体がレベルアップすることを願っています。

奥井 奈々:皆さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

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