株式会社パラダイムシフト キャリアウェビナー IT領域特化型M&Aアドバイザリーの可能性【イベントアーカイブ】

※こちらは2020年10月3日に視聴希望者限定で行われたイベントのアーカイブ記事です。

目次

IT領域におけるM&Aアドバイザリーのパイオニア、そしてトップランナーとしてM&Aを手掛ける同社は、他の追随を許さない国内最大規模の支援実績を誇る。

仲介業者としての単純な売り買いだけではなく経営の核心にも踏み込み、自分たち自身もITセクターにおいて事業開発を行うという、『IT×金融×経営』の少数精鋭プロフェッショナル集団。

PEファンドや銀行・証券との業務提携により、レガシー産業×ITのイノベーションを推進しようとする同社の社会的役割は非常に大きい。

最大の強みは、国内IT企業の総数が30,000社と言われている中、その内の10,000社強のIT企業との繋がりを持ち、様々な企業の最新情報が集まる仕組みを構築していること。そのため、他のM&Aアドバイザリーに比べ、IT業界についての知識や情報力は圧倒的である。

現在では年間30件から40件のM&Aをサポートしており、IT領域のM&Aアドバイザリーとしては国内最大規模にまで成長している。
代表取締役の牟禮氏は「IT(情報技術)化が遅れている分野は山ほどある。仲介業務は今後もっと伸びる。」と強調する。(2020年8月20日掲載 日本経済新聞より抜粋)

パラダイムシフト株式会社 ご紹介

IT業界特化型M&Aアドバイザリーファーム。
M&Aアドバイザリー及び仲介業務を主軸としつつ、事業企画系のコンサルティングサービスも行う。
年間M&A成約案件数は40件を超え、IT領域特化型のブティックとしては国内最大級の規模を誇る。
昨今はクロスボーダー案件(特に日中間のM&A)も増加、中国にも事業所を構える。
また、M&Aアドバイザリーで稼いだ収益を自社の新規事業に投資し、複数事業の展開を狙う。
国内のIT企業約3万社のうち1万社と付き合いがあり、大都市における地銀のほぼ全てと提携している。

イントロダクション、登壇者紹介

YHC

本日は、株式会社パラダイムシフト代表取締役の牟禮さんと公認会計士の家田さんにご登壇いただきます。私は本日のモデレーターを務めさせていただきます、ヤマトヒューマンキャピタル株式会社の湊と申します。
最後までよろしくお願いします。

牟禮氏:パラダイムシフトの牟禮と申します。よろしくお願いします。
最初に簡単な自己紹介をさせていただきたいと思います。私は大学院修了後、新卒でベンチャーキャピタルのジャフコという会社に入社しました。
当時のジャフコは野村グループの一社として、未上場株への投資事業をメインで手掛けており、私はIT企業本部で3年間、IT企業への投資とM&Aのお手伝いをさせていただきました。
M&Aの業務フローや仕事の流れがある程度わかってきたこともあり、2009年、インターネット関連サービス事業を展開するオークファンに9人目の社員として入社。
約2年間、担当役員として周辺事業のM&Aに携わるなかで、M&A仲介会社とお付き合いさせていただいたのですが、自分で手掛けた方がお客様のニーズに答えられるのではないかと考え、2011年に当社を創業いたしました。

当社は「IT分野で常に新しい価値観を創造する」を経営ビジョンに掲げ、次の2つの事業を中心に展開しています。
一つはITセクター特化型の「M&Aアドバイザリー」で、IT企業のM&Aや資本提携のお手伝いをしております。
もう一つは「事業開発」で、国内外のさまざまな会社と連携し、新規事業の立ち上げを行なっています。
当社の事業内容等につきましては、後ほどあらためてご説明させていただきますが、本日はもう一人、コンサルタントの家田が参加しております。
家田さん、自己紹介をお願いします。

家田氏:パラダイムシフト M&A事業本部の家田と申します。
大学卒業後、公認会計士としてあずさ監査法人で約8年間、上場企業や子会社の会計監査・内部統制監査を経験した後、通信販売事業を展開する上場企業ベルーナに転職し、約8年間、経理や単体・連結決算、短信・有価証券報告書作成、企業買収、子会社譲渡などの幅広い業務に従事。
2020年2月に当社に入社し、M&A案件のサポート及び事業開発、WEB集客戦略などを担当しております。

社歴が浅い分、転職を考えていらっしゃる方のお気持ちもわかるかと存じます。本日はよろしくお願いいたします。

牟禮社長による会社紹介プレゼン

M&A業界の市場動向とパラダイムシフト

牟禮氏:M&A市場の動向についてお話しさせていただきます。
本日ご視聴の皆さまのなかには金融機関の方もいらっしゃいますので、“釈迦に説法”になる部分もあるかもしれませんが、今回は当社に寄せたかたちでご説明させていただきたいと思います。
まず、新聞などで報じられている通り、M&Aの件数は年々増加しており、10年前に比べるとほぼ倍増しています。
そのなかでITセクターが占める割合は35%に上りますが、私たちの知る限り、現時点でITセクターに特化してM&Aの支援をしている会社はありません。これが私どもからみたM&A市場の現状です。

次に、M&A仲介の大手上場企業と、当社との違いについてお話したいと思います。
上場各社は主に事業承継のニーズを取りにいっているのに対して、当社が特化しているITセクターでは事業承継のニーズはまだそれほど顕在化していません。
そこで当社が何を行なっているかというと、収益性向上や売上・シェア拡大、人材強化、グローバル化といった、企業が抱える本質的課題を解決するためのM&Aのお手伝いです。
例えば、ベンチャー企業に対して大企業の傘下に入ることを提案し、事業拡大や企業課題の解決を目指していきます。
その分、コンサルタントには高度な能力が求められるわけですが、競合とバッティングすることもなく、年間30〜40件のM&Aを支援しています。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大のM&A市場への影響についてご質問をいただくことがありますが、統計的にはそれほど大きな影響は出ていません。
2020年4月〜6月の緊急事態宣言発令中のM&Aの件数は30〜40%減少したものの、同宣言が解除された後は、止まっていたディールが再び動き出し、元の水準に戻っています。
2020年のM&A件数も昨年並みか、もしくはそれ以上になる見込みです。ITセクターのM&Aに関してもコロナ禍の影響は全くといっていいほどありません。

DX推進のためのM&Aを一気通貫で支援

牟禮氏:昨今、メディア等で盛んに取り上げられているように、コロナ禍の影響によって「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」の対応が急務となっています。
「店舗を訪れる顧客が減った」、「イベントを開催できない」といったニーズに合わせ、あらゆる業界でデジタル化、ネット化、IT化を進めることが必要になってきているわけですね。
こうした流れは数年前から存在しましたが、コロナ禍の影響で“まったなし”の状況になったといっていいでしょう。

DXを推進しなければいけない会社というのは、基本的にはITを手掛けていない会社です。
こうした会社がDX化を進めたり、IT企業を子会社化したりして、成長戦略を加速させるのは容易ではありません。
ざっくりしたニーズはあっても、経営的・戦略的な指示を出すのは難しいからです。
この点、当社は伊藤忠商事さんのグループ企業である伊藤忠ファッションシステムさんと連携し、アパレル業界のDX推進に向けた取り組みをスタートさせています。
M&Aの戦略の策定から実行までは私どもがサポートし、その後のPMIやDX化の推進については伊藤忠ファッションシステムさんが行う仕組みです。
この取り組みは、日本経済新聞で報道されたことから大きな反響を呼び、百貨店やアパレルメーカー、小売店などからお問い合わせをいただいています。

また、DXと近いところでは、インフラ企業や総合商社、鉄鋼会社など、M&Aを実施することを決めている大企業に対して、戦略やターゲットの策定から実行に至るまで、一気通貫でお手伝いするサービスも提供しています。
こうした取り組みをご覧いただくことで、単にM&Aを成立させるだけでなく、一手間、二手間かけながら、M&Aの実行までを一気通貫で支援している会社だということをご理解いただければと思います。

IT領域特化型M&A事例の紹介

牟禮氏:次に、当社がお手伝いしたM&Aの事例をいくつかご紹介したいと思います。
「市場拡大」の事例としては、政府系ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」の子会社のマザーズ上場企業への売却を支援したことが、その一例です。
REVICの子会社は地方創生の一環として東京圏からの移住促進事業を展開していたのですが、買い手のマザーズ上場企業も同じようなビジネスを展開していました。
M&Aによって事業規模の拡大を実現した好例といっていいと思います。

また、「デジタル化支援」の一環として、地図やガイドブックで有名な出版社による、インターネットでの集客に強みを持つ沖縄の旅行事業会社の買収をお手伝いした事例もあります。
この出版社には、地図やガイドブックを販売するだけでなく、集客から旅行実施までを一気通貫で手掛け、収益化していきたいというニーズがありました。M&Aにより、製販一体に近いかたちでの事業拡大を可能にしたケースです。

パラダイムシフトによる事業開発

牟禮氏:ここから先は、M&Aアドバイザリーと並ぶもう一つの柱、「事業開発」についてお話させていただきたいと思います。私どもが事業開発と呼んでいるのは、複数の企業を提携させることによってバリューチェーンを組み上げて、新たな事業を立ち上げていく取り組みなのですが、なかなか分かりづらいと思いますので、いつも引き合いに出している「クーポンサービス」の事例を参考にしながらご説明させていただこうと思います。

私どもの「クーポンサービス」は、ある携帯キャリアの販売店に展開してもらっているサービスで、月額500円を支払うと、コンビニエンスストアやファーストフードショップで利用できる計2000円分のクーポンをもらえる仕組みです。
ユーザーは商品を安価に購入できるほか、小売店舗は集客のきっかけを獲得することができます。
また、携帯キャリアの販売店には当社が毎月インセンティブをお支払いいたします。
私たちはこうしたスキームの構築やKPI、資金管理を担っていますが、オペレーションは皆さんにお任せしています。
海外の著作権を活用してこうしたビジネスのスキームを構築したり、逆に、日本の著作権を使って海外で新たな事業を立ち上げたりしていきたいと思っています。

パラダイムシフトの組織増強について

牟禮氏:次に、今後の組織増強についてお話ししたいと思います。
現在、メンバーがどんどん増えている状況です。コンサルタントに関しては2020年2月、3月に1人ずつ、コロナ禍を挟んで、8月・9月に2名ずつ入社しました。
当社のメンバーは、基本的にはM&A未経験者です。採用基準に関しても、M&Aの経験・知見があるかどうかは全く見ていません。M&A仲介の手法もスキームも、他社とは大きく異なる部分があると思いますので、経験の有無よりも、柔軟に対応する能力が必要です。
また、チームワークを大切にしているので他のメンバーとの協力関係を構築できる人、IT業界に関する強い興味をお持ちの方にメンバーに加わっていただきたいと思っています。

パラダイムシフトが見据える将来イメージ

牟禮氏:当社は現在、拡大過程にあり、さまざまな事業に挑戦しています。M&Aアドバイザリーと事業開発という二本柱を中心に事業を拡大し、コングロマリット化を進めていく。
これが将来に向けた基本戦略です。事業によっては撤退したり、他社に譲渡したりするものも出てくると思いますが、時代環境の変化に合わせ、新たな事業を次々と立ち上げていきたいと思っています。

YHC

ありがとうございます。今のお話を受けて、私の方からいくつかお伺いしたいと思います。
御社は他のM&A仲介会社とは一線を画した存在だと思うのですが、同業他社がITセクターのM&Aになかなか携わることができないのはなぜなのでしょうか。

牟禮氏:さまざまな要因があると思いますが、M&Aの仲介やアドバイザリー業務は、業務が“従来型の金融寄りである”ことが大きいと思います。
銀行などの金融機関出身者、証券会社の出身者が携わっているケースが多いからかもしれません。
つまり、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)でいうと、BS寄りの話題になることが多くを占めるのだと思います。
一方、IT企業はBSに計上されている項目がほとんどなく、PLの話をしなければいけない。
過去のPLや市場動向を参考に、PLをどう伸ばすか、またPLのもとになっているエンジニアをどう確保するかといった話が中心になるので、入口が全く違うんですね。
一言でいえば、一般的なM&A仲介、アドバイザリー会社にとってITセクターのM&Aはやりづらいということです。

YHC

御社は、日本のIT企業約3万社のうち1万社とコネクションを築いていると伺いますが、ソーシングはどのようにして行っているのでしょうか。

牟禮氏:半分は、金融機関や過去にM&Aをお手伝いした会社からのご紹介です。残りの半分は、「ここの会社はM&Aのニーズがあるのではないか。営業を掛けてみよう」といったところから、若手のメンバーが新規でアポイントを取ってきています。変わったことをしているわけではありません。地道な努力を積み重ねてきた成果です。

YHC

ありがとうございます。御社のメンバーと折衝をさせていただいたことがありますが、M&A仲介の営業というよりはコンサルに近い印象を受けました。
ITコンサルや財務コンサルなど、コンサルティング会社の方も歓迎ですよね。

牟禮氏:そうですね。実際に入社してくれていますよ。

コンサルタント家田氏へのインタビュー

パラダイムシフトへの入社の動機

YHC

ここからはコンサルタントの家田さんへのインタビューに移らせていただきたいと思います。まず、パラダイムシフトさんに入社された動機について聞かせていただけますでしょうか。

家田氏 前々職のあずさ監査法人では監査、前職のベルーナでは経理の仕事に携わってきたのですが、これまでとは違ったことをやりたい、自分の領域を広げたいと考えたのが転職を志した理由です。転職活動にあたっては、“過去”をチェックする「監査」、お金のやり取り等を記帳・検討する「経理」よりも、未来志向の仕事がしたいと考えました。そのなかで、比較的規模の小さい会社なので経営者に近いところで仕事ができること、未来を見据えて物事を考え、意思決定を行なっているクライアントと共に仕事ができることに魅力を感じ、当社への入社を決めました。

YHC

もともとIT分野に興味をお持ちだったのでしょうか。

家田氏 前職のベルーナは通信販売の会社でしたから、ITやECはどちらかというと身近な存在で、興味はありました。ただ、専門的な知識はほとんどありませんでした。恥ずかしながら、“DX”という言葉を知ったのも、当社に入社した後のことでしたからね。クライアントとの商談のなかで専門用語が出てくるたびに勉強していますが、今後、どのような業種でもDX化の推進が欠かせなくなることを考えるとやりがいがありますね。

YHC

家田さんはIT分野に明るいというわけではなかったんですね。人柄も採用のポイントになるのでしょうか。

牟禮氏 そうですね。この点、家田は口数が多い方ではないけれども、とにかく明るい。これはとても重要な要素ですよ。

M&Aコンサルタントの業務内容

YHC

家田さんが手掛けていらっしゃる業務について教えてください。

家田氏:大きく分けて3つの業務を担当しています。
メインは「M&A仲介」で、クライアントとの面談から、案件化する際の資料作成、セルサイドのバイサイドへの紹介、デューディリジェンス、バリュエーションのサポート、クロージングまで、全般的に手掛けています。
第2は「事業開発」です。今、メインで手掛けているのはゲームのパブリッシング(販売)で、海外のゲームデベロッパー(開発会社)が製作したゲームの日本の市場でのリリースをサポートしています。
第3は「集客」です。インバウンドを増やし、案件化に結びつけるための方法の企画・実行を担当しています。

YHC

各業務の比率については如何でしょうか。

家田氏:4:3:3くらいですね。仲介がメインですけれども、事業開発やインバウンドにも力を入れているといった感じです。

YHC

「事業開発」の仕事内容について、もう少し具体的に聞かせてください。

家田氏:海外のゲームデベロッパーと、国内のゲームパブリッシャー及びプラットフォームを保有している会社をつなげるためのスキームをつくることを目標に、ローカライズやデバッグを行うことのできる会社を探しています。

YHC

転職時の希望通り、もともと手掛けていらっしゃったこととは全く別の仕事をなさっていますね。

家田氏:そうですね。監査や経理に携わっていた頃は、いかにして売上をあげるということは念頭にありませんでしたからね。

YHC

M&A仲介事業について、もう少し詳しく聞かせてください。
月間でどの程度の案件が動いているのでしょうか。

家田氏:弊社は成果報酬型と期間サービス型の二つ契約形態でやっておりまして、成果報酬型は常時動いているのが30、40件程度。期間サービス型は3、4件動いているイメージです。これらを約20人で回している感じです。

YHC

成果報酬型と期間サービス型という、二つの契約形態の違いについて聞かせてください。

家田氏:成果報酬型はセルサイドから動く案件で、ある会社をより大きな会社の傘下に入れることで、収益性向上や売上・シェア拡大を図るタイプのM&Aです。
一方、期間サービス型はバイサイドから入る案件で、買い手のご要望に基づいてM&Aの対象となる会社を数十〜数百社リストアップし、まとまった時間をかけて交渉していきます。

地銀、PEファンドとの関係構築

YHC

先日、御社と地銀との提携に関する記事を拝読しました。
その狙いについて聞かせてください。

牟禮氏:地方には、M&Aを繰り返しながら成長を続けている優良企業が少なからず存在します。東京圏のIT企業はともかく、地方では私どもの知名度・認知度が浸透していないこともあり、こうした企業とお付き合いをさせていただくのは容易ではありません。
地銀さんと提携することで、地方の優良企業を紹介してもらい、私たちのお手伝いできる範囲を広げていきたいと思っています。

YHC

最近は地銀に加え、PEファンドと一緒に動いていらっしゃるというお話も伺っているのですが、そのあたりについては如何でしょうか。

牟禮氏:ほんの4、5年前まで、PEファンドはITセクターの会社をほとんど買わなかったんです。
IT企業はBSがなかったり、EBITDAが安定しなかったりと、PEファンドからすると手が出しづらい領域だったからです。
しかし、私が認識しているところではポラリス・キャピタル・グループさんが投資された駅探さんの上場、ワークスアプリケーションズさんへの投資をされた2011年頃から流れが変わりはじめ、最近ではPEファンドがフルエクイティでITセクターの会社を買収するケースが増えてきた。
私どもとしては、PEファンドにどんどんITセクターの会社を買収していってもらおうと仕掛けているところです。

パラダイムシフトの仕事のやりがい、そして課題とは

YHC

御社での仕事のやりがい、楽しさについて聞かせてください。
逆に、ここはきついなとか、課題に感じていらっしゃることがあれば教えてください。

家田氏:やりがいを感じるのは、非常にレベルの高い方々とお会いして、話ができるということですね。
バイサイドであれば、取締役や経営企画室長など、豊富な知識と経験を兼ね備え、業界の酸いも甘いも知り尽くした方と交渉することが多いですし、セルサイドであれば経営者と直接話をするケースがほとんどです。
両者の対談の場に立ち会い「こういうことをやりたい」「こういった方向に進んでいきたい」といった、会社の将来を左右する議論を間近にみることもあります。
経営に対する姿勢や考え方、こだわりを学ぶことができるのは非常にいい刺激になりますし、自分ももっと精進しなければという気持ちが湧いてきます。

厳しさを感じるのは、仕事に対する要求水準が極めて高いということですね。
クライアントのなかには、IT業界のトレンドはもとより、私の専門である会計や税務についても熟知されている方が少なくありません。絶えず自己研鑽に努めていなくてはやっていけないと思います。

YHC

日々進化するITの専門知識を常にインプットしていく必要もありますよね。

家田氏:ええ、そこが非常に難しいところなんですよね。
IT業界ではB2CとかO2Oといった3文字の略語や新しい専門用語が次から次へと出てきますし、ときには会社独自でつくられている用語が飛び交うことも少なくありませんからね。

YHC

牟禮さんは如何ですか。
やりがいを感じるのはどういった点でしょう。

牟禮氏:新しい市場、新しい時代を創り上げているという手応えを感じられるところです。
創業した頃は「ITセクターのM&Aなんてあり得ない」と言われていましたからね。

YHC

課題、仕事上で厳しさを感じられる点についても聞かせてください。

牟禮氏:優秀なコンサルタントをいかに集めるか、どのようにして顧客をさらに拡大していくかといった課題はあるものの、解決策はある程度見えています。
その意味では、“課題”というほどでもないと思っています。

厳しさを感じる点を敢えて挙げるとすれば、経営者の人生に関わるケースが少なくないということですね。
「息子が難病で今後どうしていこうか考えている」、「妻が病気で治療に付き添いたいが、会社はどうしようか」といった話を聞くたびに、いろいろと考えさせられます。ただ、これはやりがいにつながる部分でもあります。

YHC

今後、御社の仕事を通じて成し遂げたいことについて聞かせてください。

家田氏:ITセクターのM&Aや事業開発、新しい事業に携わることで、自分の領域をさらに広げていくこと。
そして、一人で仕事ができるというくらいのスキルセットを身につけること。これが現時点での私の目標です。

牟禮氏:当社においてM&A仲介は数ある事業のうちの一つという位置付けです。
単なるM&A仲介会社ではなく、「パラダイムシフトって、新しいことをいろいろやっている会社だよね」というかたちで、皆さまに認知してもらえるような存在になりたいと思っています。

YHC

今後、御社の知名度は加速的に高まっていくと思っています。数あるM&A仲介会社のなかでも、DXをお手伝いできる仲介会社として唯一無二の存在ですからね。

牟禮氏:ありがとうございます。
今後もメンバーを増強していく予定ですので、引き続きよろしくお願いします。

YHC

皆様からのお問い合わせをお待ちしています!

Q&A(報酬制度、研修体制他)

YHC

ここからはQ&Aに移りたいと思います。
御社のM&Aアドバイザーの報酬制度に関しまして、粗利の一定割合を支払うというインセンティブ制度がないと思いますが、導入の可能性はありますか?

牟禮氏:一般的なM&A仲介会社と異なり、弊社では担当者が上げた粗利の一定割合を担当者個人に配分するといったかたちのインセンティブ設計は行なっておりません。
収益は賞与原資として一旦プールし、各自の貢献度合いに応じた差をつけ配分するという仕組みを構築しています。
なぜ、こうした方式を採っているかと申しますと、個々人の成果よりも、チーム全体で成果を上げることを大切にしているからです。この考え方を変えるつもりは今のところありません。

YHC

この点にも関連する部分だと思うのですが、本日のウェビナーでは、御社の働き方がかなり“ホワイト”という点も押し出していこうと思っていたんです。

家田氏:おっしゃる通り、残業時間はかなり少ない方だと思いますが、ベンチャー企業として、さらなる成長に向けて一丸となってやっていかなければという強い思いもあります。

YHC

ありがとうございます。
次に、「関西エリアのオフィスの設置予定はありますでしょうか」というご質問をいただいております。

牟禮氏:現時点ではありません。
関西のお客さまともお取引をさせていただいており、売上の約20%を占めているのですが、日帰りで出張できますし、打ち合わせはオンライン会議ツールで済むものも少なくありません。
オフィスを構える必要は今のところ考えていません。

YHC

続いて「コンサル出身の人材に求めるものは何でしょうか」というご質問なのですが。

牟禮氏:先ほど当社は大企業のM&Aの戦略の策定から実行までをお手伝いするというお話をさせていただきましたが、M&Aの戦略策定の段階では、エビデンスや公開データを集めてまとめたり、ロジックを組み立てたりといった“コンサルティング”としての要素が強い仕事も多々あります。
その意味で、コンサルティング会社での経験は存分に活かしていただけるのではないかと思います。

YHC

では次、「未経験で入社した場合、キャッチアップしていくための研修制度等はありますか」というご質問です。

牟禮氏:内定から入社までには少なくとも2、3カ月のギャップがありますよね。
その間に「少なくともここまではキャッチアップしておいてください」「こういったかたちで勉強しておいてください」といった課題をパッケージとして揃えています。
大企業のようにeラーニングの動画を用意しているわけではありませんが。

YHC

パッケージの中身について聞かせていただくことは可能ですか。

牟禮氏:分野ごとに非常に細かく設定しています。「このテキストのここから、ここまでを勉強しておいてほしい」とか、ITの知識に関しては「ウェブメディアは必ず毎日チェックしておいてほしい」「用語を覚えるためにITパスポートの勉強はしておいてほしい」といった具合です。

YHC

クライアントの全社戦略、成長戦略が不明確な段階からサポートする場合、その時点でクライアントからフィーをいただくのでしょうか。
それともM&Aが成約して初めてフィーをいただくのでしょうか。

牟禮氏:弊社のビジネスモデルは基本的には成果報酬型ですが、クライアントのM&A戦略、成長戦略が不明確な段階からサポートする場合、フィーは2段階でいただいています。月々のコンサルティング費用に加えて、M&Aの成約時にもフィーをいただく仕組みです。

YHC

ありがとうございます。
お次は「案件サイズとプロジェクトチームの構成、人数について教えていただけないでしょうか」というご質問なのですが。

牟禮氏:案件サイズとしては買収金額ベースで1億〜50億円のM&A案件をお手伝いしています。
一つのチームは2人ないしは3人です。単独プレーは避けたいが、3人以上は推奨しないということで、この人数に落ち着いています。

YHC

入社したばかりの社員は、ベテランのアドバイスを仰ぎながら仕事を覚えていくと考えてよいでしょうか。

牟禮氏:そうですね。若手を家田や社内の弁護士と組ませたり、家田のチームに若手をいれたりと、案件の特徴やフェーズに応じてチームを構成し、仕事を覚えてもらっています。

YHC

なるほど。ご質問は以上です。
牟禮さん、家田さん、視聴者の皆様、本日はお忙しい中ありがとうございました。

牟禮氏:ありがとうございました。

家田氏:ありがとうございました。

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