「グローバル×プロ経営者」をコンセプトに、日本とシンガポールのパートナーが登壇する同社初のキャリアウェビナー
YCPグループは、戦略・ファイナンス・マーケティング等の分野におけるエキスパートが集い、クライアント企業の価値創出に向けて多様なソリューションを提供するマネジメントサービスと、中小・新興企業にリスクマネーを提供するプリンシパル投資事業を、グローバル17拠点で展開しています。
同社の特徴は、クライアント企業の支援のみならず、プリンシパル投資を通じて、社員に事業を推進する権限や責任を持たせ、グローバルな環境下で実践に強い経営人材の養成に努めている点です。
当イベントでは、YCPが他社と一線を画している「グローバルなキャリア形成」、「自社事業の経営」に焦点を当て、日本オフィスとシンガポールオフィスから1名ずつパートナーが登壇し、自身のキャリアの変遷や、実体験に基づく他社との違い、社内新規事業の起案プロセス、グループの展望等をお話しさせていただきます。
コンサルティングファームや投資を行う会社は数多くありますが、その両方の拡大を現在進行形でグローバルに実現しようとしている会社は意外と少なく、そのようなYCPのビジョンやミッションに強く共感し、実現に向けた当事者として同じ船に乗っていただける優秀な方々をお迎えしたいと思っております。
将来的にグローバルでのキャリアにチャレンジしたいと考えている方、経営人材としてのキャリアを志向されている方は是非ご一読ください。
ダイジェスト動画(音声あり)
※後日公開
イントロダクション、登壇者紹介
本日は「アジアを率いる経営者集団の創出を目指す〜グローバル環境下で活躍できる 実践に強いプロ経営者のキャリア」と題しまして、株式会社YCP Solidianceのパートナー・西村達一朗さん、同じくパートナーの石崎貴紘さんにお話を伺います。石崎さんはシンガポールからのご出演です。
私はモデレーターを務めさせていただきます、ヤマトヒューマンキャピタルの湊と申します。西村さん、石崎さん、本日はよろしくお願いいたします。
それでは早速、西村さんから自己紹介をお願いします。
西村氏:YCP Solidiance、日本オフィスパートナーの西村です。
私は2006年に新卒で経済産業省に入省いたしまして、石油・天然ガスの上流権益獲得に向けた資源外交など、主にエネルギー政策に従事いたしました。MBA留学の2年間を含めて経済産業省で9年強を過ごした後、2015年に当社に参画。当社には「マネジメントサービス」と呼ばれるコンサルティング事業と、自ら資金を投入して事業を運営・経営する「プリンシパル投資」という、2つの事業がありますが、入社後3カ月間は100%コンサル事業に従事。その後は約4年半、英語の幼児教育事業を展開する会社の経営に携わることになり、マネジメントサービスとプリンシパル投資を同じくらいのバランスで手掛けました。2020年12月に幼児教育の事業をイグジットしたので、現在は100%コンサルティング事業を手掛けています。
コンサルティング事業では、①自動車メーカーの国内店舗網の再編、自動車ディーラーの営業改善など自動車業界に対するアドバイザリー、②ベンチャー企業の海外進出やグローバル企業の日本へのマーケットエントリーの支援、デジタルトランスフォーメーションに向けたPMOなど、複数のグローバルプロジェクト、③スタートアップ・大企業が新しく事業を立ち上げる際の規制対応、ロビイングのプロジェクトなどを手掛けています。本日はよろしくお願いします。
ありがとうございます。続いて石崎さん、よろしくお願いします。
石崎氏:シンガポールオフィスパートナーの石崎と申します。今日はシンガポールからお話しさせていただきます。まず、私のキャリアについてざっとお話したいと思います。
私は新卒でPwCコンサルティングに入社して約3年間、事業再生プロジェクトに従事した後、ブティック系のファームに転職。約3年間、新規事業立案プロジェクトに携わっていたのですが、転職エージェントに「もう少し手触り感のある仕事がしたい」と相談したところ、「それならYCPしかない」というアドバイスをもらい、当社に入社した次第です。
最初の2、3年は日本オフィスでコンサルティングやマーケティング、ファイナンスなど幅広い業務に携わった後、シンガポールオフィスに赴任。シンガポールでの生活は今年で3年目に入りました。本日はよろしくお願い申し上げます。
YCPグループの会社説明
マネジメントサービス事業の特徴
続いて、西村さんからYCPグループの説明をお願いいたします。
西村氏:まずYCPグループの沿革とビジョンについてお話させていただきます。YCPグループは、外資系のプロフェショナルファーム出身のメンバーを中心に、2011年に創業。「日本発のプロフェショナルファーム」「日本発の経営人材輩出プラットフォーム」を目指そうということで立ち上げられた会社です。創業当初から「ニッポンが胸を張れるニッポンへ」というビジョンのもと、中堅企業やスタートアップ・新興企業を支援してきました。
コンサルティングで関わる企業の中には、アジアを中心に海外展開を進めたいという会社が多かったこともあり、お客様のニーズをより十全なかたちで実現するために出張ベースでの支援から一歩進んで、海外現地オフィスを次々と開設。日本企業のみならずローカル企業の支援も行うようになりました。これに合わせて、2013年には「Strive for Growth. Lead Asia. Impact the World」というビジョンを策定。このビジョンには、アジアから世界にインパクトを与えていこう、アジア発のプロフェッショナルファーム、経営者輩出プラットフォームを創ろうという思いが込められています。
さらに、2018年10月には、アジアパシフィック地域を中心に2006年から戦略コンサルティングサービスを提供してきた「Solidiance Asia Pacific」と経営統合。現在は、アジアを中心に世界17都市250名体制で、多国籍企業および現地企業への支援を行なっています。国境を跨いだチームを組んでクロスボーダー案件を手掛けたり、意欲のある社員には海外赴任や、海外オフィス開設のチャンスを与えたりと、密接な連携を取りながらグローバル展開を進めています。
西村氏:次に事業の概要についてお話したいと思います。先ほども少し触れましたが、私どもはマネジメントサービスとプリンシパル投資の2つの事業を展開しています(ハイブリッド事業)。マネジメントサービスは、コンサルティングに近い事業ではありますが、戦略コンサルティングや実行支援に加えて、グローバルリサーチや、FAやデューディリジェンス、PMIなどのM&Aアドバイザリーを手掛けることも少なくありません。具体的には、スタートアップから大企業まで企業規模を問わず、戦略/オペレーション、ファイナンス、マーケティング、デジタル、海外リサーチといった幅広いテーマを扱っています。また、中小企業やスタートアップに対して、常駐・半常駐といったかたちで、お客様に伴走しながら長期的な支援を行うケースも少なくありません。その意味で、マネジメントサービスは、一般的なコンサルティングサービスよりも幅広い概念といっていいと思います。
マネジメントサービスには大きく分けて2つの特徴があります。一つは、戦略・オペレーション、ファイナンス、マーケティングなど、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが揃っていることです。お客様の視点からいえば、戦略・オペレーションはもとより、M&Aのサポート、マーケティングまで、あらゆる経営課題、経営ニーズをワンストップで解決できます。これは当社の大きな強みといっていいでしょう。
もう一つの特徴は、“マルチアサイン”というかたちを採っていることです。一人が複数の案件を担当するとともに、”Give&Take”というコンセプトのもと、強みを発揮できる領域のプロジェクトでは、他のメンバーを積極的に助ける。逆に、未経験の領域や課題を感じている領域では、経験豊富なメンバーのアドバイスを仰ぎながら専門的な知識やスキルを身に付けていく。このように社員同士が切磋琢磨しながら成長していくことのできるカルチャーが根付いています。
プリンシパル投資事業とは何か
西村氏:一方、プリンシパル投資は、自社で資金を投入し、私どものメンバーが取締役や代表として入り、実際に“打席”に立って、経営を行う仕組みです。事業領域としては、パーソナルケア領域や飲食領域、ペットケア領域、戦略投資領域まで、多岐にわたるポートフォリオを組んでおり、若手を含めたあらゆるメンバーに門戸を開いています。
プリンシパル投資は、既存の企業を買収・出資するパターンもあれば、ゼロから会社を立ち上げるパターンもあります。「NewBiz制度」といいまして、半期に一度、職位や年次を問わず、手を挙げた社員が新規事業を提案する機会を設けています。提案者はスポンサーとなってくれるパートナーを探し、半期に一度開かれる全社会議で、会社設立計画や投資先候補等についてプレゼンを行ってもらいます。今週、下期の全社会議があり、70件近い事業提案が行われ、6、7件が承認されました。承認されたアイデアについては、次の半年間で磨き上げを行なった上で、事業へのエントリーと拡大に必要な資金提供を目指します。資金調達のための投資計画書(Investment Memorandum)を作成し、事業拡張性が認められた場合には、資金や人員が提供され、100億円規模の事業拡大を目指す仕組みです。
日本オフィスパートナー 西村氏へのインタビュー
プリンシパル投資事業の意義
ありがとうございます。続いて西村さんへのインタビューに移らせていただこうと思います。
御社の最大の特徴は、コンサルティングのみならず事業経営の機会を提供されている点にあると思います。西村さんが担当されてきた教育事業の概要と参画の経緯について聞かせてください。また、事業に対する想いについて聞かせてください。
西村氏:私が経営に携わっていたのは、東京・目黒を拠点としてインターナショナル・プリスクールや幼児向け英語教室等の事業を展開するベンチャー企業で、先ほどの分類でいえば、事業買収の一例です。この会社の経営に参画することになったのは、YCPグループCEOの石田の影響によるところが大きいですね。石田は高校生の頃に留学を経験したこともあり、日本でもグローバルレベルの教育をしたいという想いを持っています。この点で買収先の創業者夫妻と意気投合し、当社が経営に参画することになったのです。私は、買収を進める段階から参画し、クロージング、その後の引き継ぎ、イグジットに至るまで、約4年半、同社の経営に携わりました。私自身も海外生活が長く、子どももいるので、日本の教育に対して大きな関心を持っています。その意味でも、非常にやりがいのある仕事でした。
事業拡大に向けて、具体的に取り組まれたこと、苦労された点について聞かせてください。
西村氏:ビジョンはしっかりしていましたし、人脈を活用して大使館との連携を図るなどさまざまな取り組みを進めていたものの、創業間もない小規模な会社ということで、事業経営における安定性に欠ける部分がありました。そこで、買収1年目は、安定的に収益を上げられるようにするための仕組みづくりにフォーカスを当て、2年目以降、余剰資金を新規事業や既存事業の拡大に振り向けていきました。教育ビジネスには労働集約的な側面もあるため、スピーディにスケールさせることができなかったという反省はありますが、英語によるプログラミング教室や英語学童といった新しい試みを実現したほか、シンガポールや香港にも教室を構えるなど、さまざまな成果を挙げることができました。
2つの事業の相乗効果
マネジメントサービスとプリンシパル投資という2つの事業を共存させているのはなぜでしょうか。
西村氏:経営者輩出プラットフォームを確立するためです。自分が新卒だった頃と比べますと、経営者になりたい、あるいは起業したいという志を持った人は確実に増えています。その一方で、どのような業種を経営したいのか、どれくらいの規模の会社を経営したいのか、そして、自分がどのような経営者になりたいかといった点について、具体的なイメージを描くことができている人はほとんどいないのではないでしょうか。この点、マネジメントサービス事業を通じて、一部上場企業を含めて、比較的規模の大きい会社の役員、経営者と話をする中で、「自分にはまだまだこのスキルが足りない」「こういうところは見習いたいな」「自分ならこうするのに」といったことを感じ取ることができます。また、プリンシパル投資を通して、スタートアップに近い規模の会社の経営にハンズオンで携わることで、ゼロ・イチ、イチ・ジュウのフェーズで求められるスキルや経験を身に付けることができます。その過程で、どのような会社を経営したいのか、目指す経営者像が見えてくるはずです。
コンサルティングの経験が自主事業に役立つこと、逆に、自主事業の経験がコンサルティングに役立つことはありますか。
西村氏:相互に良い影響を与えていると思います。プリンシパル投資において経営に携わるのは小規模な会社がほとんどで、現場にべったり張り付いて、ひたすら泥臭い仕事をすることも少なくありません。今日明日のことで一喜一憂する日々が続くうちに、視野が狭くなり、短期的な思考に陥ってしまいがちなのです。こうした状況を防ぐために役立つのがコンサルティングの視点、すなわち、全体を俯瞰しながら、物事を体系立てて考え、中長期的かつ非連続的な成長を目指す視点です。日々の業務に追われながらも、1年後、3年後、5年後を常に思い浮かべながら仕事をすることができるのは、コンサルティングの経験があってこそだと思います。
一方、自社事業の経験が、コンサルティングに役立つケースもたくさんあります。私たちがコンサルティングで入るのは売上数千億〜数兆円規模の会社が少なくないので、自主事業の経験が本当に役に立つのか、半信半疑の方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、コンサルティングでも現場感覚がモノをいう案件が意外と多いです。例えば、自動車の販売会社の支援の場合、グループ全体の売り上げは約数千億円でも、個々の店舗はプリンシパル投資で手掛ける事業と同じような規模です。現場の社員の気持ちや日々の動き方についても自社事業の経験を通して理解していますので、現場でリサーチをする際にどこをどのように見たらいいか、感覚的につかむことができます。コンサルティング先の経営者から「現場を本当によく知ってるね」というお言葉を頂戴することも少なくありません。
シンガポールオフィスパートナー 石崎氏へのインタビュー
日本でのコンサルティング経験が強みに
続いて、石崎さんにお話を伺います。まず、石崎さんがシンガポールに赴任されることになった経緯について聞かせてください。
石崎氏:海外赴任する社員には、自ら手を挙げて赴任を志願する人と、会社から命じられて赴任する人がいます。私の場合は完全に後者です。私のキャリアのことを考えて海外赴任のきっかけを与えてくれたのだと思いますが、英語も全然できませんでしたし、まさに寝耳に水でした。
前職を含め、日本国内でのコンサルティングの経験は海外でも役立っていますか。
石崎氏:非常に役立っていますし、むしろマストだと思っています。住民のほとんどが英語を話すことができるシンガポールでは、英語力は強みになりません。一方、日本語を自由自在に操ることのできる人材は、“特殊能力者”のような貴重な存在です。加えて、コンサルティングに関する専門的な知識やスキルを身に付けている人はさらに稀少ですから、私のような存在が重宝されるんです。
シンガポールに赴任してよかったと思うこと、キャリアにとってプラスになっていることを聞かせてください。
石崎氏:日本オフィスに勤めていた頃は、日本と海外は全く別の世界で、そこには大きな壁があるものだと思っていました。有り体にいえば「海外」という言葉を聞くたびに身構えてしまうところがあったんです。しかし、シンガポールオフィスに赴任して2年余り、同国内はもとより、ベトナムのプロジェクト、さらにはアジア5カ国で同時に進行するプロジェクトなど、さまざまな仕事に取り組む中で「どの国もそこまで大きく変わらない」という実感が得られました。感覚としては、大阪や沖縄の人と一緒に働いているようなイメージでしょうか。いい意味で「海外だから〇〇しなければいけない」と考えることがなくなった。これが最大の収穫だと思います。
西村氏:おおっ。日本オフィスで一緒に仕事をしていた私としては、石崎がこうした話をするようになったこと自体、ある意味で感動的なんですよね。以前の石崎は海外を避ける傾向があったのですが、シンガポールオフィスへの赴任を経て、マインドがかなり変わりました。クロスボーダー案件で連携することもありますが、現地のことを広く、深く理解していて本当に頼もしいですよね。クライアントの評価もものすごくいいんですよ。
海外拠点におけるプリンシパル投資
海外オフィスに赴任中も、マネジメントサービスのみならず、プリンシパル投資にも関わるチャンスがあるのでしょうか。
石崎氏:もちろんです。シンガポールオフィスでは飲食店及び教育、ベビースキンケアブランドを自社事業として展開しています。社員約15人のうち、自社事業のマネージングディレクターを務めているメンバー、事業責任者を務めているメンバーがそれぞれ2人います。ちなみに、私はベビースキンケアブランドを担当しています。
成果については如何でしょうか。
石崎氏:当初は日本で成功を収めている手法をコピーして、そのままシンガポールで展開してみたのですが鳴かず飛ばずの状態が続きました。そこで、シンガポールのお客様が何を求めていらっしゃるのか。どこにバリューを感じるのか。ビジネスの原点に立ち返り、ゼロから事業を再構築していったんですね。消費行動の違いをしっかりと把握した上で、マーケティングの仕方を変えていった結果、売上は軌道に乗り、現地の小売店からの引き合いもかなり増えてきました。最近ではマレーシアの会社からお問い合わせもいただいています。
自社事業の経験がマネジメントサービスで活きることを実感する場面はありますか。
石崎氏:仮に自社事業を展開していなければ、コンサルティングの一環としてお客様と話す際、「他社は〇〇しています」「ほかに××という事例があります」「だから△△しましょう」という提案しかできません。しかし、自社事業を手掛けていることで、「私どもは◯◯を手掛けました」「××という失敗もありましたが、△△という成果を出すことができました」「成果を収めることができた要因としては、◇◇が考えられます」というように、非常に細かい部分までリアリティを持って語ることができる。自分で実践していなければ得られない知見をお客様に伝えることができるのは、自主事業を展開しているからこその強みだと思っています。
西村氏・石崎氏へのインタビュー
特徴あるビジネス、企業カルチャー
マネジメントサービス事業の特徴について、改めて聞かせてください。
西村氏:一般的なコンサルティングの範疇に入らないこともやる。これがマネジメントサービス事業の一番の特徴だと思っています。一般的にコンサルティングといいますと、イシューツリーを使った論点の整理や、スコープ設定からスタートして、2カ月後に200枚くらいのきれいなパワーポイント資料をつくるといったイメージを描く方が多いのではないでしょうか。こうした仕事を手掛けることもありますが、資料づくりよりも事業そのものを進めることに徹底的にコミットしたり、お客様が設立した子会社にCOOのポジションで入ったりと、一般的なコンサルタントのあり方にこだわることなく、さまざまなかたちで支援を行います。皆、楽しみながらやっていますよ。
石崎氏:そうですね。エクセルやパワーポイントを使い倒すといったイメージとはずいぶん違うと思います。正直な話、一般的なコンサルティングスキルに磨きを掛けたいのであれば、プロフェッショナルファームで仕事をした方がいいでしょう。当社は「経営者輩出プラットフォーム」を謳っているように、コンサルティングはもとより、事業の成長にどのように貢献できるかという点に重きを置いているんです。
アサインの仕組みについて特徴を挙げるとすれば何でしょうか。
西村氏:一人ひとりの希望を聞きながら、特定の業界、ファンクションに偏ることのないようにアサインしています。仕事の幅を広げたいというメンバーには、できるだけコンサルティングと自社事業の双方に携ってもらいますし、コンサルティングの中でも戦略コンサルや実行支援など、さまざまな仕事をバランスよく手掛けてもらうようにしています。“マルチアサイン”で、複数のチームの仕事を同時並行で進めてもらうことも少なくありません。
石崎氏:そうですね。一般的なコンサルファームとは異なり、アソシエイトやアナリストのうちは、特定のソリューション、インダストリーを手掛けるチームに配属されることはありません。私自身もファイナンスやコンサルティング、マーケティングなど、幅広い経験を積むことができました。
御社のカルチャーについて聞かせてください。
西村氏:コンサルファームというと“ドライ”なイメージを抱かれる方が少なくないと思いますが、当社はどちらかというと“ウェット”な社風です。例えば、グループCEO・マネージングパートナーの石田は、半期に一度、約250名の社員全員と1on1を行うなど、社員一人ひとりと非常に密なコミュニケーションを取っています。また、社員同士が切磋琢磨しながら互いに成長できる環境もある。ある意味では、日本企業らしいといえるのかもしれませんね。
YCPで求められる人材像
御社の求める人材像について聞かせてください。
石崎氏:正直な話、スキルは入社してから磨きを掛けていただければ十分だと思っています。大切なのはマインドセットです。ただし「私は〇〇という分野のスキルを極めたい」という思いがあまりにも強い人は、どこかで折れてしまうのではないかという不安もあります。と申しますのは、“マルチアサイン”を実践している当社では、さまざまな領域の仕事を並行して進めている社員が少なくありません。他社で一つの領域の仕事に専念している人に比べると、専門性という点では見劣りしてしまう可能性もあるんですね。むしろ当社に合っているのは「お客様のバリューを最大限に高めたい」という思いのある方です。幅広い分野の知識やスキルをバランスよく身につけながら、ビジネスの総合力を培っていただきたいと考えています。
西村氏:新卒採用と中途採用で比重は異なりますが、基本的な選考基準は「スキル」と「マインドセット」の掛け算です。石崎の話と重なりますが、「こういう仕事にチャレンジしたい」「スキルにもっと磨きを掛けたい」という“情熱”、コンサルティング先も自分の会社だと思って支援する“オーナーシップ”を兼ね備えた人と一緒に働きたいですね。“own your career”の精神のもと、自らの成長に対してハングリーであり続けることのできる人にとって、これほど面白い環境はないと思います。
Q&A
海外オフィスの仕事とは
海外オフィスへの赴任について聞かせてください。年間で何人くらいが、日本オフィスから海外オフィスに赴任するのでしょうか。
西村氏:会社から送り込まれるパターンと、自ら手を挙げて赴任するパターンの両方合わせて、年間1人か2人です。必ずしも全員が海外赴任を希望しているわけではありませんが、自ら積極的に手を挙げた人は、遅かれ早かれ海外で働くことができています。ただし、2020年に入ってからはコロナ禍の影響もあり、一人も赴任しておりません。
海外赴任の期間については如何でしょう。
石崎氏:一定期間を経て予定通りに帰国する人もいますし、そのまましばらく居続ける人もいます。私の場合は2年間の予定でシンガポールオフィスに赴任しましたが、3年目に入りました。
西村氏:香港からベトナム、あるいは、マレーシアから香港といったように、海外オフィスを渡り歩く人もいますね。
海外オフィスのコンサルティング先は、日系企業なのでしょうか。あるいは現地企業のコンサルティングも行なっているのでしょうか。
石崎氏:半分が日系企業、残り半分が欧米系の企業といったイメージです。海外進出のコンサルティングがほとんどで、現地企業のコンサルティングを行うことは相対的には少ないですが、ゼロではないです。
プリンシパル投資ではB2Cビジネスが多い印象を受けました。外食、小売りでは現場人材の育成が重要だと思われる一方で、これを海外で展開するとなると、非常に高いハードルを乗り越える必要があるのではないでしょうか。
石崎氏:高いハードルを感じてしまうのは、日本のサービスや仕組みをそのまま海外に持っていこうとしているからではないでしょうか。お客さまのニーズを理解して、正しいメッセージ、価値を追求し、提供していく。こうしたプロセスの重要性は日本でも、海外でも変わりありません。その意味でいえば、海外でB2Cビジネスを成功に導くことは不可能ではありませんし、やり方次第で十分可能だと思います。
YCPで身に付けられるスキル
外資のITコンサルタントを経て、現在、M&Aアドバイザリーでコンサルタントをされている方からご質問をいただいています。今後のキャリアについて、事業会社のM&A部門に転職しようか、FASに転職しようか迷われているそうなのですが。
石崎氏:FAS出身者という観点から申し上げますと、金融や会計などプロフェッショナルキャリアを歩みたいのであれば、FASに転職された方がいいと思います。一方、事業寄りのキャリアを歩みたいのであれば、当社のような会社、もしくは事業会社に転職された方が仕事の幅を広げられるのではないでしょうか。何れにしても、ご自身のやりたいことから逆算して考えることが大切だと思います。
事業会社の経営企画の仕事を通じて得られるスキルと、御社の仕事を通じて得られるスキルには、どのような違いがあると思われますか。
西村氏:事業会社でしたら、一つの事業に専念することを通して、専門的なスキルに磨きを掛けていくかたちになると思います。一方、当社に入社される方には、マネジメントサービスとプリンシパル投資の双方で場数を踏んでいただき、ファイナンスやコンサルティング、マーケティングなど、事業経営に欠かすことのできないスキルをトータルに身に付けていただく方針です。
未経験で入社しても、前職で培ったスキルや経験を生かし、持てる力を最大限に発揮することができるでしょうか。
西村氏:私の個人的な話になりますが、経産省を退職して当社に入社した当初は、コンサルティングのスキルが全くなくて引け目を感じていたのですが、ある程度スキルを身に付けてからは、規制対応やロビイングなど、経産省出身というレアな経験が重宝される場面が増えました。当社の仕事を数年経験し、コンサルティングのスキルがついてくれば、前職でのスキルや経験が“プラスアルファ”として強みになってくる機会も増えてくると思います。
では最後に、職位の全体像と、それぞれの職位で求められるスキルについて聞かせてください。
西村氏:アナリスト、アソシエイト、マネージャー、ディレクター、パートナー、マネージングパートナーの6つの職位によって構成されています。アナリスト及びアソシエイトは、現場で実際に手を動かしながら必要なスキルを身に付けていきます。一方、マネージャーには、案件をきちんと回すだけでなく、案件の継続や拡大に向けて、お客さまとのコミュニケーションを通して信頼関係を構築する力が求められます。パートナーになると、営業マンとして案件を獲得する役割の比重が大きくなります。ディレクターは、マネージャーとパートナーの中間というイメージです。
本日はこれにて終了とさせていただきます。西村さん、石崎さん、視聴者の皆様、お忙しいところありがとうございました。
西村氏:ありがとうございました。
石崎氏:ありがとうございました。